ニュースリリース

2007年06月04日
大鵬薬品工業株式会社

ASCOにてSPIRITS試験の結果発表

TS-1にシスプラチンを併用することにより生存期間が延長

大鵬薬品工業株式会社とサノフィ・アベンティス社は本日、未治療の進行胃癌の患者さんを対象とした第III相試験(以下SPIRITS試験)の結果について、シカゴで開催中の第43回米国臨床腫瘍学会(以下ASCO)にて発表された事を報告いたします。

SPIRITS試験には日本の医療機関から305名の進行胃癌の患者さんが登録され、経口抗癌剤であるティーエスワンRカプセル(以下TS-1)にシスプラチンを併用して治療する群とTS-1単独で治療する群に無作為に割り付けて追跡調査が行われました。その結果、TS-1・シスプラチン併用群はTS-1単独群と比較して死亡のリスクが22.6%有意に減少することが示されました(ハザード比: 0.774, 95% 信頼区間 [0.608-0.985])。

2年間に及ぶ追跡調査の結果、主要評価項目である全生存期間においては、TS-1単独群と比較してTS-1・シスプラチン併用群が有意に優れていることが証明されました(全生存期間の中央値はTS-1・シスプラチン併用群で13ヶ月、TS-1単独群で11ヶ月,P=0.0366)。注目される点は、既に報告されている進行胃癌に対する化学療法に比べてTS-1単独による治療においても良好な全生存期間の成績が得られたことです。

また腫瘍の縮小効果を評価する奏効率についても、TS-1単独群と比べてTS-1・シスプラチン併用群において有意に上回っていることが確認されました(TS-1・シスプラチン併用群で54.0%、TS-1単独群で31.1%, p=0.0018)。強く現れる副作用についてはTS-1にシスプラチンを併用することにより、TS-1で特徴的な血液毒性ならびに消化器毒性(食欲不振や悪心など)の頻度が高まることが示されました。

ASCOでの発表者である楢原啓之医師は「SPIRITS試験はTS-1・シスプラチン併用療法が進行胃癌の患者さんに対して最適なリスク/ベネフィット比を有する化学療法であることを明らかにしました」と述べると共に「今回の試験結果は進行胃癌に広く使用され、市販されてから8年もの期間が経過したTS-1の有効性を裏付けるものです」と述べています。

SPIRITS試験

SPIRITS(S-1 plus cisplatin vs S-1 In RCT In the Treatment for Stomach cancer)試験は進行胃癌患者さんに対するTS-1と他の抗癌剤の併用について検証する臨床試験の一つです。本試験は未治療の切除不能または再発胃癌患者さんにおけるTS-1・シスプラチン併用療法とTS-1単独療法を比較し有効性ならびに安全性を検証することを目的として計画されました。
SPIRITS試験に登録された患者さんは、体表面積に従い80-120mg/日のTS-1を1日2回28日間連日内服した後14日間休薬する群と、TS-1を1日2回21日間連日内服しつつ8日目にシスプラチンを静脈内投与し、14日間休薬する群のいずれかの方法にて治療されました。
SPIRITS試験における主要評価項目は全生存期間であり、副次評価項目は奏効率、治療成功期間および副作用でありました.本試験は、過去に行われた臨床試験の結果からTS-1単独療法の全生存期間を8ヶ月、TS-1・シスプラチン併用療法の全生存期間を12ヶ月と想定し、90%の検出力で全生存期間におけるTS-1・シスプラチン併用療法の優越性を検証する試験として設計されました。

TS-1

TS-1は、5-FUのプロドラッグであるテガフール(FT)に5-FUの分解酵素阻害剤ギメラシル(CDHP)とリン酸化阻害剤オテラシルカリウム(Oxo)の3剤からなる配合剤です。
本剤は、5-FUの血中濃度を最大限に高めることにより高い抗腫瘍効果を発揮し、かつ消化器毒性を軽減した経口抗癌剤です。
現在、日本国内では胃癌、結腸・直腸癌、頭頸部癌、非小細胞肺癌、手術不能又は再発乳癌ならびに膵癌の適応症で使用されています。海外での開発状況としては欧州、米国、その他の国において胃癌の第III相試験が進行中です。

胃癌

世界中で毎年934,000人以上の方々が新たに胃癌に罹患し、その罹患率は癌の中でも第4位であります。また,毎年700,000人以上が胃癌によって死亡しており、その死亡率は世界第2位です。日本においては、毎年100,000人以上が新たに胃癌に罹患し、約50,000人が胃癌によって死亡していることからその罹患率ならびに死亡率は全癌腫の中でそれぞれ第1位と第2位となっております。なお、米国においては約22,800人,ヨーロッパにおいては143,000人以上の方々が毎年新たに胃癌に罹患しています。

大鵬薬品

大鵬薬品工業株式会社(本社:東京)は医薬品の研究,開発,製造及び販売を行い、癌領域に注力している製薬会社です。

サノフィ・アベンティス社

サノフィ・アベンティス社は世界で第3位、ヨーロッパでは第1位の製薬会社です。サノフィ・アベンティス社は、世界クラスの研究開発組織に支えられ、循環器、血栓症、癌、糖尿病、中枢神経系、内科系、ワクチンの主要7治療分野で主導的な地位を占めています。サノフィ・アベンティス社はパリ(EURONEXT: SAN)およびニューヨーク(NYSE: SNY)に上場しています。

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