ニュースリリース

2013年11月11日
大鵬薬品工業株式会社

切除不能大腸癌を対象としたTS-1第Ⅲ相臨床試験結果がThe Lancet Oncology電子版に掲載

大鵬薬品工業株式会社(本社:東京、代表取締役社長:小林 将之)は、切除不能大腸癌を 対象に国内で実施したTS-1の第Ⅲ相臨床試験(SOFT*試験)の結果が、がん研究領域の主要医学誌であるThe Lancet Oncology電子版に掲載されましたのでお知らせいたします。

SOFT試験は、切除不能大腸癌の患者さん(512名)を対象とし、標準療法の一つとされているmFOLFOX6/Bev療法(5-FU/ l -LV /oxaliplatin+bevacizumab)に対して、SOX/Bev療法(TS-1/oxaliplatin+bevacizumab)の有効性が同等であることを検証する目的で実施されました。その結果、無増悪生存期間において、mFOLFOX6/Bev療法(中央値11.5カ月)に対するSOX/Bev療法(中央値11.7カ月)の非劣性が統計学的に証明され、試験の目的が達成されました(HR=1.04, p=0.014)。また、SOX/Bev療法で認められたGrade3以上(有害事象共通用語規準)の主な有害事象は、感覚性神経障害10.0%、下痢 9.2%、好中球減少8.8%、高血圧6.0%、食欲不振5.2%、貧血5.2%であり、忍容可能との結果でした。

なお、本試験の結果は、2013年米国臨床腫瘍学会(ASCO®)で報告されました。内容につきましては、2013年6月6日のニュースリリースをご参照ください。
日本版 : http://www.taiho.co.jp/corporation/news/2013/20130606.html
英訳版 : http://www.taiho.co.jp/english/news/20130606.html

大鵬薬品は、今後もがん領域における治療開発に継続して取り組んでまいります。

*SOFT:A Randomized Phase III Trial of S-1/oxaliplatin (SOX) plus bevacizumab (Bev) versus 5-FU/l-LV/oxaliplatin (FOLFOX) plus Bev in Treating Patients with Metastatic Colorectal Cancer

【ティーエスワン®(TS-1)について】
フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤であるティーエスワンは、吸収後、抗がん剤フルオロウラシル(5-FU)に変換される代謝拮抗物質のテガフール、体内で5-FU の分解を阻害するギメラシル(5-chloro-2,4-dihydroxypyridine、またはCDHP)、消化管で5-FU のリン酸化を阻害するオテラシルカリウム(Oxo)の3化合物の配合剤です。胃がんの治療薬として開発され、1999 年に国内で最初に承認を受け、現在では胃がんの標準治療薬となっています。日本においては、他に結腸・直腸癌、頭頸部癌、非小細胞肺癌、手術不能又は再発乳癌、膵癌、胆道癌の6つの追加効能を取得しています。海外では、胃癌の適応でアジア(7カ国・地域)、欧州(15カ国)で販売されています。       

(2013年10月現在)

【The Lancet Oncologyについて】
がん研究領域における主要医学雑誌の一つです。(2012年 Impact Factor: 25.117)

【SOFT試験について】
(試験名)
切除不能・再発大腸癌に対する5-FU/l -LV/oxaliplatin(FOLFOX) + bevacizumab とTS-1/oxaliplatin (SOX) + bevacizumabとのランダム化比較第Ⅲ相試験
(概 要)
2009年2月~2011年3月の間に、日本国内の82施設が参加し、切除不能大腸癌の一次治療例が、mFOLFOX6/Bev療法群(256例)とSOX/Bev療法群(256例)にランダム化割り付けされた。 mFOLFOX6/Bev群においてはBev 5mg/kg,l -LV 200 mg/m2とoxaliplatin 85 mg/m2に続いて5-FU 400 mg/m2急速静注を第1日目に、また5-FU 2,400 mg/m2の持続点滴静注を46時間かけて投与し、これを2週間毎に繰り返した。 SOX/Bev群ではBev 7.5mg/kgおよびoxaliplatin 130 mg/m2を第1日目に投与し、TS-1を体表面積に従って40-60 mgを1日2回2週間服用し、これを3週間毎に繰り返した。 主要評価項目は、非劣性の許容限界を1.33とする無増悪生存期間であった。また、副次評価項目は、全生存期間、奏効率、病勢コントロール率、無増悪期間、治癒切除施行割合、有害事象発現率であった。
本試験は、日本医薬情報センターに臨床試験登録された試験である。(JapicCTI-090699)

【論文名】
Leucovorin, fluorouracil, and oxaliplatin plus bevacizumab versus S-1 and oxaliplatin plus bevacizumab in patients with metastatic colorectal cancer (SOFT): an open-label, non-inferiority, randomised phase 3 trial
Yasuhide Yamada, Daisuke Takahari, Hiroshi Matsumoto, Hideo Baba, Masato Nakamura, Kazuhiro Yoshida, Motoki Yoshida, Shigeyoshi Iwamoto, Ken Shimada, Yoshito Komatsu, Yasutsuna Sasaki, Taroh Satoh, Keiichi Takahashi, Hideyuki Mishima, Kei Muro, Masahiko Watanabe, Yuh Sakata, Satoshi Morita, Yasuhiro Shimada, Kenichi Sugihara

The Lancet Oncology, doi: 10.1016/S1470-2045(13)70490-X

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