膵がん

異常がみられたらすぐに病院へ

高齢になるほど増加する膵がん

年齢別にみた膵がんの罹患率は60歳ごろから増加し、高齢になるほど高くなります。死亡率は、男性の方が高く、わが国では、30,000人以上の方が膵がんで亡くなっています。特に高齢者に増えています。

  • 年齢階級別がん罹患率[膵臓 2014年]
  • 年齢調整罹患率の推移

資料:国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター

膵がんのリスク要因

膵がんのリスク要因として確立しているのは、喫煙だけです。糖尿病の罹患によってリスクが上がるということもほぼ確実となっています。

膵がんの症状

特に早期の膵がんに特徴的な症状はありませんが、膵がんの患者さんの受診理由は、

  • 胃のあたりや背中が重苦しい
  • なんとなくお腹の調子がよくない
  • 食欲がない
  • 体重減少
  • 黄疸(身体や白目が黄色くなる)
  • 身体がかゆい
  • 尿の色が濃い

などです。

膵がんの検査

まず、超音波検査や内視鏡・胃X線検査などを行って、胃炎・胃潰瘍・胆石などの一般的な消化器の病気がないかを検査します。
膵臓や胆管などに病気のある可能性がある場合には、CTやMRIなど超音波以外の方法で身体の断面を観察することのできる検査を行います。
超音波検査でしこりの有無を見るほか、膵管(膵液が通る管)の太さを見て、ふくらんでいる場合はCTやMRIで評価します。これらの検査で診断がつかない場合、ERCPという内視鏡検査を行い、膵液を採取してがん細胞の有無をチェックします。最近では、MRIを利用してERCPと類似した情報を得ることができるMR胆管膵管撮影(MRCP)という検査も行われます。

日常生活の注意点

  • タバコは吸わない
  • 高脂肪食や肉の摂取を控える
  • 野菜や果物を多くとる
  • お酒はほどほどに

胆のう・胆管がん

肝臓、膵臓、胆のう、胆管は、お腹のみぞおちにあり、治療する診療科も同じです。ここでは、胆のう・胆管がんについて説明します。胆管は肝臓から十二指腸につながる管で、胆のうは途中にある袋状の臓器です。胆のう・胆管がんは、年間2万人強の人が診断されており、高齢者に多いがんです。初期症状は黄疸(身体や白目が黄色くなること)です。進行してから見つかることが多く、治療は手術が基本です。

早期発見はむずかしい。

膵臓は身体のまん中にあり、胃・十二指腸・小腸・大腸・肝臓・胆のう・脾臓などに囲まれており、発生しても見つけることが非常に難しいがんです。その上、どんな人が膵がんになりやすいのかもよくわかっていません。また、早い段階では特徴的な症状もありませんので、診断が難しく、胃がんや大腸がんのように早期のうちに見つかるということはほとんどありません。現状では膵がんとわかった時にはすでに進行しているということが多いのです。
異常を感じたら、積極的に精密検査を受けましょう。

指導:国立研究開発法人国立がん研究センター 社会と健康研究センター検診研究部 部長 中山 富雄 先生