胃がん

胃がんの早期発見のために

胃がんは男性に多い

胃がんの罹患率は減少を続けています。かつては若い女性にも多いがんでしたが、現在は高齢者の男性に多い病気となっています。

  • 年齢階級別がん罹患率[胃 2014年]
  • 年齢調整罹患率<sup>※</sup>[胃 2014年]

資料:国⽴研究開発法⼈国⽴がん研究センターがん対策情報センター

胃がんとは

胃がんは、胃の壁の最も内側にある粘膜内の細胞が、何らかの原因でがん細胞になることから始まります。特殊な胃がんとして、主に胃壁の中で広がって粘膜の表⾯にはあまり現れない「スキルス胃がん」があります。

胃がんの原因

胃がんは、小児期にヘリコバクターピロリ菌が胃の粘膜に感染し、数十年後に慢性萎縮性胃炎となり、そこから胃がんが発生すると言われています。
ピロリ菌は、かつては日本人の50代後半以上は8割が感染していましたが、現在40代以下は1割前後に低下し、胃がんもそれにつれて減少しています。

胃がんの検診

胃がんの検診で、“効果がある”と判定されている検査は、「胃X線検査」と「胃内視鏡検査」です。そのほか「ペプシノゲン検査」、「ヘリコバクターピロリ抗体検査」などいろいろな検査があります。50歳以上の方は、2年に1回の検診が厚生労働省から推奨されています。

胃X線検査

胃X線検査は、バリウムと発泡剤を飲み、胃の中の粘膜を観察する検査です。きゅうくつな姿勢をとる必要があるので注意が必要です。

胃内視鏡検査

胃の中を内視鏡で直接観察する検査です。内視鏡を口や鼻から挿入するため、検査の準備としてのどの麻酔が必要です。胃内視鏡検査は胃の中の小さな病変を見つけることが可能です。

ABC検査

血液検査によって胃粘膜の萎縮度を調べる「ペプシノゲン検査」と、ヘリコバクターピロリ菌の感染の有無を調べる「ヘリコバクターピロリ抗体検査」の組み合わせをABC検査と呼びます。これは胃がんを見つけるための検査ではなく、将来の胃がんにかかるリスクを調べる検査です。C群あるいはD群に分類された人は定期的に胃内視鏡検査を行う必要があります。

ピロリ菌

ピロリ菌による胃炎が内視鏡で確認された場合、除菌治療が健康保険で可能です。これにより胃がんのリスクはかなり低下しますが、ゼロになったわけではないので、胃内視鏡検査を5年に1回程度受けてください。

男女ともに、50歳以上は2年に1回、胃がん検診を受けましょう

胃がんはかなり進⾏しても全く症状がない場合も多くみられます。しかし、一方では治療を受けている方の約半数が早期胃がんで、そのうち約半数は何らかの症状がきっかけで検査を受けています。早期胃がんは病変に潰瘍を伴うことも多いので、そのための痛み、胃部不快感などの症状が検査を受けるきっかけになることがあるのです。
定期的な検診はもちろんですが、症状が続くときには早めに病院を受診することが、胃がんの早期発見につながります。

指導:国立研究開発法人国立がん研究センター 社会と健康研究センター検診研究部 部長 中山 富雄 先生