栄養ドリンクを飲むタイミングは?
目的に合わせた飲み方を解説
充実した日常生活のためには「疲れ」と上手に付き合うことが大切です。「疲れたら休む」が基本ですが、栄養ドリンクも活用してみましょう。栄養ドリンクの頼れるポイントや飲むタイミングをご紹介します。疲労回復や集中力の向上など目的に合わせたタイミングをはじめ、風邪を引いている方や妊娠・授乳中の方が飲む時の注意点などを解説します。
栄養ドリンクはその成分によって「医薬品」「医薬部外品」「清涼飲料水」の3種類に分けられ、身体に対する作用も異なります。今回は主に「医薬品・医薬部外品」を対象として説明します。
そもそも栄養ドリンクの頼れるポイントとは?
日々の健康を支えてくれる栄養ドリンク。栄養を補うことで疲労回復や集中力の向上を助けてくれます。そんな栄養ドリンクにはどんな成分が含まれているのでしょうか。ここでは代表的な成分とそれぞれの特徴について解説します。
疲労回復にタウリン
タウリンとは、たんぱく質が分解される過程でできるアミノ酸に似た物質のことです。体内で作り出すこともできますが、量が足りないため食品や栄養ドリンクで補う必要があります。タウリンは主に貝類やイカ・タコといった軟体動物に多く含まれており、正確な必要量は明記されていないものの一日500~2,000mg程度の摂取が目安とされています。
タウリンには筋肉のダメージや疲れ、臓器機能の低下などを緩和させる効果があります。そのほかの代表的な効果は以下の通りです。
- 身体の疲労回復
- 肝機能を向上させ、解毒作用を強化
- 血中のコレステロールや中性脂肪を減らす
- 心機能を向上させる
- 血圧を正しく保ち、高血圧予防になる
- インスリンの分泌を促進し、糖尿病予防になる
- 視力の衰えを防ぐ
エネルギー代謝を助けるビタミンB群
ビタミンB群はエネルギー代謝に広く関係するビタミンで、糖質の代謝を助けたり、脂質の代謝を促したり、健康な肌や髪を作るのに欠かせません。
栄養ドリンクによく含まれているのはビタミンB1、B2、B6です。豚肉や未精製の穀類(B1)、レバーやハツ(B2)、赤身の魚や肉、ニンニク(B6)に多く含まれます。水溶性で一度にたくさん摂取しても尿として排出されてしまうため、食品や栄養ドリンクで毎日、継続的に摂るのが大切です。
それぞれのビタミンの役割や不足した場合の身体の変化は下記の通りです。
ビタミン | 役割 | 不足すると? |
---|---|---|
ビタミンB1 | 糖質をエネルギーに変えるのに欠かせないビタミンです。 | 疲労、だるさ、食欲不振などを感じます。ブドウ糖をエネルギー源にしている脳や神経にも影響が出ます。 |
ビタミンB2 | 脂質、たんぱく質、糖質の代謝に必要なビタミンです。発育促進や皮膚、髪、爪などの細胞の再生にも関与しています。 | 皮膚や粘膜の保護機能が低下し、口内炎、口角炎、舌炎、角膜炎などを引き起こします。 |
ビタミンB6 | 酵素の働きを助ける役割があり、アミノ酸の代謝に関与します。免疫機能の維持や脂質の代謝、ヘモグロビンの合成などにも関わっています。 | 皮膚炎、舌炎、口内炎、口角症、貧血、リンパ球減少症を引き起こします。うつ状態や錯乱などといった、神経系の異常が起こることもあります。 |
ビタミンB1
役割
糖質をエネルギーに変えるのに欠かせないビタミンです。
不足すると?
疲労、だるさ、食欲不振などを感じます。ブドウ糖をエネルギー源にしている脳や神経にも影響が出ます。
ビタミンB2
役割
脂質、たんぱく質、糖質の代謝に必要なビタミンです。発育促進や皮膚、髪、爪などの細胞の再生にも関与しています。
不足すると?
皮膚や粘膜の保護機能が低下し、口内炎、口角炎、舌炎、角膜炎などを引き起こします。
ビタミンB6
役割
酵素の働きを助ける役割があり、アミノ酸の代謝に関与します。免疫機能の維持や脂質の代謝、ヘモグロビンの合成などにも関わっています。
不足すると?
皮膚炎、舌炎、口内炎、口角症、貧血、リンパ球減少症を引き起こします。うつ状態や錯乱などといった、神経系の異常が起こることもあります。
実は多彩な魅力があるカフェイン
眠気覚ましで有名なカフェインですが、ほかにも以下のようなさまざまな効果が報告されています。
- 覚醒作用による集中力の向上
- 利尿作用により老廃物の排出促進
- 神経や筋肉を刺激し、身体の疲労回復を促進
- 中枢神経を刺激して、自律神経の働きを高める
生活習慣病を予防するイノシトール
イノシトールには動脈硬化や脂肪肝などの生活習慣病の予防効果があるとされています。また、脳や神経細胞に多く含まれるリン脂質の構成成分となるため神経機能を正常に保つ効果があるとされています。肝機能が弱い方や日常的にアルコールやカフェインを多く摂取する方におすすめです。
500種もの酵素の補酵素として働くニコチン酸アミド(ナイアシン)
ニコチン酸アミドは補酵素(酵素の働きを助ける)として作用します。そのため、エネルギーの産生や糖質・脂質・たんぱく質の代謝、アルコールの代謝など様々な働きを助けています。
必須脂肪酸であるトリプトファンから体内で合成することができます。幸せホルモンとしても知られる「セロトニン」もトリプトファンから生成されるので、ニコチン酸アミドが不足するとセロトニンも作られにくくなります。そのため心の健康のためにも重要な成分です。
栄養ドリンクに飲むタイミングってあるの?
基本的に栄養ドリンクを飲むタイミングによって成分の吸収率に極端な差はないため、好きなタイミングで飲んで問題ありません。
しかし、栄養ドリンクは飲んでから効果を感じるまで30分~1時間程度かかるとされています。そのため「寝ている間に疲れを取って、朝は気持ちよく起きたい」「朝からだるい」など、目的・期待する効果によって飲むタイミングを変えるのも良いでしょう。
ここからは目的別の飲むタイミングについて解説していきます。
栄養ドリンクを飲むタイミングその①
有効成分の吸収を良くしたい時
栄養ドリンクに含まれている有効成分の吸収率を少しでも上げたい場合は、食後(胃に食べ物がある状態)に飲むのがおすすめです。食べ物があることで栄養ドリンクがゆっくりと腸を流れるため、腸がしっかりと栄養をキャッチし吸収しやすくなります。お腹が減っている方は軽食を摂ってから飲むのも良いでしょう。
栄養ドリンクを飲むタイミングその②
疲れた身体を回復したい時
疲労回復には寝る前に飲むのがおすすめです。人は寝ている間に身体が修復されるので、就寝時に必要な栄養素を補給すれば、身体を効率的に回復でき、起きた時のスッキリ感も変わるはずです。
寝る前ですので、低カロリーやノンカフェインの栄養ドリンクにすると良いでしょう。
栄養ドリンクを飲むタイミングその③
疲れが取れない時
朝疲れが残っている場合、起床後に栄養ドリンクを飲むのもおすすめです。
起床後は栄養や水分が足りていない状態なので、栄養ドリンクを飲むことで速やかに栄養を補給できます。カフェイン入りのものであれば脳の働きの活性化にも効果があります。
栄養ドリンクを飲むのに注意したいタイミング
栄養ドリンクには飲むのを避けた方がいいタイミングがあります。ここでは、飲んでもいいのか悩みがちな場面や注意したい4つのケースについて見ていきます。
薬を飲んだ時は注意
栄養ドリンクには微量ながらアルコールを含んだ商品もあります。薬を飲んだ後にアルコールやカフェイン入りの栄養ドリンクを飲むのは避けましょう。薬との組み合わせによっては思わぬ副作用を起こすことがあります。日常的に薬を服用する必要がある方は医師や薬剤師に相談してください。
風邪を引いた時は飲んでもいい?
風邪の時に栄養ドリンクを飲むのは問題ありません。風邪を引くとビタミンが不足したり、抵抗力が落ちたりするので、栄養補給は有効です。ただし、風邪薬と併用する際は注意が必要になります。なるべく、アルコールやカフェインが入っていないものを選ぶようにしましょう。
妊娠・授乳中でも飲んでも平気?
栄養ドリンクは、妊娠・授乳期や産前産後の栄養補給としても使用できます。記載されている用法・用量を守って飲むようにしてください。
ただし製品によっては、妊娠・授乳期・産前産後の飲用が推奨されていないものもあるので、必ず効能・効果を確認しましょう。効能・効果の箇所に「産前産後の栄養補給」や「妊娠・授乳期の栄養補給」等といった言葉が記載されていれば、飲用できます。
持病をお持ちの方は医師へ相談を
栄養ドリンクに含まれている成分によっては肝臓や心臓、血圧に影響が出てしまいます。持病を持っている方は事前に医師に確認してから飲むようにしてください。
まとめ
心と身体の健康をサポートする栄養ドリンク。基本的にはいつ飲んでも成分の吸収率に差はありませんが、栄養を効率的に吸収したい場合は「食後」、疲労回復を期待するなら「就寝時」、疲れが取れない場合は「起床時」など、目的に合わせたタイミングを選ぶと良いでしょう。
含まれている成分によって期待できる効果が変わってきます。成分もチェックして目的に合った栄養ドリンクを選ぶようにしてください。
また、疲れたからといって、栄養ドリンクを1日に何本も飲んでも良いわけではありません。医薬品や医薬部外品の栄養ドリンクは、お茶やジュース等の清涼飲料水と違い、用法・用量が決まっています。飲用する際は用法・用量はお守りのうえ、お召し上がりください。
【監修】管理栄養士 黒木紅宇
管理栄養士キャスティング事業「えいようJoin」所属。
女子栄養大学を卒業後、エステティックサロンに勤務し、のべ1000件以上のボディメイクサポートや栄養管理をおこなう。現職では、えいようJoinの運営に携わり、様々なクライアントの企画提案や商品開発、プロモーション等に関わる。自身も管理栄養士として「MISS GRAND JAPAN 2019」ファイナリストやカバディ日本代表選手の栄養サポート、週刊FLASHでのインタビュー掲載、テレビ番組の企画協力など多岐にわたって活動中。