若々しくアクティブな毎日に!
尿もれなど気になる尿の悩みを改善
せっかくの外出、アクティブに過ごしたいですよね。でも、「尿もれ」や「頻尿」に悩みをお持ちの方も少なくありません。そこで、この記事では医師監修のもと日常的に実践できる「尿もれ」や「頻尿」の改善方法をご紹介します。
その症状、過活動膀胱の兆候かも?
過活動膀胱に悩んでいる人は1000万人以上?
過活動膀胱とは、膀胱が自分の意志とは関係なく収縮してしまう病気です。加齢とともに発症することも多く、けっして特別な病気ではありません。
40歳以上の12.4%、80歳以上では約35%の方が過活動膀胱に悩まされているというデータもあり、これを人口に当てはめると過活動膀胱の患者数は1000万人以上と推定されています。
医師に相談できずにお悩みの方も含めると、実際の患者数はもっと多い可能性も。どなたにも起こりうることなので、決して恥ずかしいことでありません。
過活動膀胱ってどんな症状があるの?
『過活動膀胱』という言葉を初めて聞く方も多いかもしれません。過活動膀胱とは、膀胱が自分の意志とは関係なく収縮することで、尿意切迫感(抑えきれない尿意)が必ずある症状であり、一般的には頻尿と夜間頻尿を伴うものです。
日常生活に支障をきたす方も多く、深刻な悩みとなるケースも。日中に8回以上トイレに行かれたり、我慢できないほどの尿意を週に1度以上感じたりするようになったら、過活動膀胱の可能性があるので注意しましょう。
体操やお薬などで改善することもできるので、尿トラブルでお悩みの方は、早めに医師に相談してください。
過活動膀胱だけじゃない!尿もれ、頻尿の原因とは?
尿トラブルは誰にでも起こりうる問題です。過活動膀胱によって引き起こされることもありますが、他にも要因があります。原因によって改善方法も異なるので、この機会に確認しておきましょう。
尿もれの原因はひとつではない?
尿もれにはいくつかの種類がありますが、多くは「切迫性尿失禁」「腹圧性尿失禁」と、この2つの両方の要素を含んだ「混合性尿失禁」があります。
過活動膀胱からくる切迫性尿失禁
切迫性尿失禁とは、突然我慢が難しいほどの尿意(尿意切迫感)を感じ、尿もれを起こしてしまう症状です。過活動膀胱によって意識していないのに膀胱が勝手に収縮し、尿もれを引き起こしてしまいます。
尿意を感じるタイミングはさまざまで、ドアに手をかけた時に尿意を感じ失禁してしまうケース(ドアノブ尿失禁)や、水に手を付けたり、水の流れる音を聞いた時に急激に尿意を感じてしまうケース(手洗い尿失禁)もあります。
とはいえ、尿意を感じるタイミングは人によって異なるので、一概には言えません。尿意切迫感にお悩みの方は、どういった時に尿意を感じるのか記録しておくようにしましょう。
筋肉の衰えからくる腹圧性尿失禁
腹圧性尿失禁とは、咳やくしゃみ、笑った瞬間や立ち上がる時など、お腹に力が入った時に尿もれを起こしてしまう症状です。閉経や出産などの影響があるので女性に多く見られ、骨盤底筋が弱まることで、尿もれを引き起こしてしまいます。
下記で紹介する体操で改善することもできるので、腹圧性尿失禁でお悩みの方はぜひお試しください。
頻尿の理由はさまざま!
頻尿を引き起こしてしまう原因には、過活動膀胱の他に前立腺肥大症、膀胱炎、膀胱がん、心因性によるものもあります。今まで問題がなかった方でも頻尿になってしまう可能性もあるので注意しましょう。
とはいえ、自己判断で原因を特定するのは難しいので、頻尿が気になり始めたら一度医師に相談してみましょう。
体を動かして改善
腹圧性尿失禁など、骨盤底筋が弱まることで起きる尿もれや頻尿は、骨盤底筋運動により骨盤底筋を鍛えることで改善することもできます。具体的な方法についてみていきましょう。
骨盤底筋運動
1. 基本姿勢を作る
骨盤底筋の体操は、仰向け、もしくは椅子に座った状態で行います。
仰向けの場合、膝を立て、膝と膝の間に握りこぶしひとつ分開けた姿勢を取ります。
椅子に座って行う場合、背筋を伸ばし、椅子に少し浅く腰かけてください。この時、足は肩幅に開き、肩の力は抜きましょう。
2. 肛門・尿道・膣をゆっくり締める
その姿勢のまま、肛門と尿道(女性の方は膣も)を10秒間強く締め、その後30秒休憩します。これを1セットとして、10回ほど繰り返します。肛門などを締める際は息を吐きながら行うとやりやすいです。
3. 肛門・尿道・膣を素早く締める
次に、同じ動作を今後は素早く行います。「締める・緩める」を1セットとして、これを10セットから始めましょう、慣れてきたら回数を増やしてください。
4. 1日5回繰り返す
1~3の動作を1日3~5回行います。一度に行うのではなく、数回に分けて行ってください。早い方では2~3週間ほどで効果が実感できます。
薬による改善
軽い尿もれ、頻尿、残尿感や尿が出づらいといった症状には、薬を服用するのもおすすめです。骨盤底筋運動と併用することで、尿トラブルを改善できます。
特に注意したいのは、病気などが原因の尿トラブルです。骨盤底筋が弱まることで起きる尿もれや頻尿には骨盤底筋運動が効果的ですが、尿意切迫感や何らかの病気が原因で引き起こされる尿トラブルの治療には薬の服用が一般的です。骨盤底筋運動を続けても改善する兆しを感じない場合は、一度医師に相談してみましょう。
まとめ
尿もれや頻尿などの尿トラブルには、骨盤底筋運動など体を動かすこと、また薬による治療の両方を実践することが大切です。アウトドアやスポーツをする際に尿もれの心配をしたり、尿トラブルを懸念して外出を減らしたりしてはすごくもったいないです。正しい治療をして、「尿もれ」「頻尿」気にせずに思いっきりアクティビティを楽しみましょう。
また、通院にハードルがある方は、ドラッグストアで買える薬を試してみるのもおすすめです。内側から体の不調を整えてあげましょう。
【監修】高橋 亮
動坂下泌尿器科クリニック
(東京・文京区)院長
2003年日本医科大学卒業。日本医科大学付属病院、はせがわ病院、北村山公立病院、博慈会記念総合病院などを経て現職。ED、早漏、AGAなどを始め、前立腺がんなど泌尿器科にまつわる疾患全般を扱う。日本泌尿器科学会指導医・専門医。日本医科大学付属病院嘱託医、日本臨床栄養協会認定サプリメントアドバイザー、テストステロン治療認定医。
泌尿器科分野において、高齢者特有の悩み相談から、尿路感染症やEDなどの年齢層を問わない疾患などの診断・治療までを幅広く対応。