術後補助化学療法とは?
再発を予防するために大切な治療です。
再発ってどうして起こるの?
胃がんの進み具合によっては、がんを手術で取り除いたとしても再発する可能性があります。
これは手術で切除したがんの周囲や他の部位に、目に見えない小さながんが残っていて、増殖してくるからです。
見えない小さながんに術後補助化学療法
手術の後にがんの再発をできるだけ少なくするために抗がん剤を使って治療を行います。
抗がん剤は、血流にのって全身にいきわたるため、目に見えない小さながん細胞の増殖(再発)を抑えることが期待できます。
がんの進み具合により治療が決められます。
術後補助化学療法を行うかどうかは、がんの進み具合によって検討されます。
あなたの胃がんの状態を手術後の病理検査でよく調べて、病期(ステージ)が決められます。そして、そのステージにあった治療法が選択されます。
ステージを決めるポイント
- 胃の壁のどの深さまで進んでいるか?(がんの深さ)
- どの程度リンパ節に転移しているか?(リンパ節転移の程度)
ステージについてはこちらをご参照ください。
ティーエスワンの術後補助化学療法について
治療の効果と治療方法
- 手術の後、目に見えない小さながん細胞の増殖(再発)を抑えることが期待できます。
- 手術後6週間以内にティーエスワンを服用しはじめます。
ステージⅡの患者さん
標準治療はティーエスワンであり、28日間(4週間)毎日続けて服用し、その後、14日間(2週間)お休みします。これを1コースとして手術後1年間繰り返します。
なお、からだの状態や副作用などにより、14日間(2週間)毎日続けて服用し、その後、7日間(1週間)お休みする治療スケジュールを行うこともあります。
治療スケジュール、副作用と対処法は各ページにてご確認ください。
ステージⅢの患者さん
標準治療はティーエスワンとドセタキセルを併用した治療、またはティーエスワンとオキサリプラチンを併用した治療です。
- ドセタキセルとの併用治療:①ティーエスワン単独治療(14日間服用+7日間休薬)、②ドセタキセル併用治療(14日間服用+7日間休薬)×6コース(各コースの初日にドセタキセル投与)、③ティーエスワン単独治療(28日間服用+14日間休薬)×4~5コース、の順に治療を進めます。
- オキサリプラチンとの併用治療:ティーエスワンを14日間(2週間)毎日続けて服用し、その後、7日間(1週間)お休みします。これを1コースとして、各コースの初日にオキサリプラチンを投与します(3週間に1回)。全部で8コース繰り返します。
- ステージⅢの患者さんであっても、からだの状態などによっては、ティーエスワン単独治療になることもあります。
治療をはじめる前に
この治療を安全に行うために、下記の項目にあてはまる方は、必ず担当の医師にお伝えください。
あなたのからだの状態や項目によっては、この治療が受けられないことがあります。
心当たりのある人は、あらかじめ担当の医師や薬剤師、看護師に伝えておきましょう
- 今、使用している薬がある。
- 薬や食べ物にアレルギーがある。
- 心臓・腎臓・肝臓の病気がある。(検査値の異常がある。)
- 透析治療を受けている。
- 妊婦または妊娠している可能性がある。
他の医師または歯科医師の治療を受けるときには、ティーエスワンでの治療を受けていることを伝えてください。
ティーエスワンについて
- ティーエスワンは1999年に発売され、がんを治療する薬として、広く使われています。
- この薬は、フルオロウラシル(5-FU(ファイブエフユー)と略されます)という、がんを治療する薬の効果を高め、副作用を少なくするために開発された薬です。
- 以下の3つの成分が配合されています。
テガフール
体内でフルオロウラシルに変換され、がん細胞を攻撃します。
ギメラシル
フルオロウラシルの分解を抑えて効果を持続させます。
オテラシルカリウム
下痢などの消化器系の副作用を減らし症状を軽くする働きをもっています。
- この薬は、胃がん、肺がん、頭頸部(とうけいぶ)がん、乳がん、結腸・直腸がん、膵がん、胆道がんに対して効果を示します。
- OD(オーディー)錠、顆粒(かりゅう)剤とカプセル剤がありますが、いずれかを服用します。
ティーエスワンⓇ配合OD錠 T20 | ティーエスワンⓇ配合顆粒 T20 | ティーエスワンⓇ配合カプセル T20 | |
ティーエスワンⓇ配合OD錠 T25 |
ティーエスワンⓇ配合顆粒 T25 |
ティーエスワンⓇ配合カプセル T25 |
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- 投与量(飲む薬の量)
- あなたの身長と体重から体表面積を計算し、薬の量が決められます。
- からだの状態や副作用の程度によっては、投与量を一段階減らす場合もあります。
- 効果と副作用の状態を確認しながら、投与量を変更することもあります。
OD錠の場合
患者さん | 体表面積 | 1日量 | 朝食後 | 夕食後 |
小さい人 |
~1.25m2 |
80mg |
40mg/回 |
40mg/回 |
普通の人 |
1.25m2~ |
100mg | 50mg/回 (25mg×2) |
50mg/回 (25mg×2) |
大きい人 |
1.5m2~ |
120mg | 60mg/回 (20mg×3) |
60mg/回 (20mg×3) |
カプセル剤や顆粒剤の場合
カプセル剤や顆粒剤の場合も、20mgまたは25mgのいずれかを指示通りに服用してください。
服用方法
飲み方
- 担当の医師の指示にしたがって、決められた量を1日2回、朝食後と夕食後にそれぞれ食後30分を目安に飲んでください。
- 空腹時の服用はさけてください。
- 1日に飲む量は、あなたの身長と体重をもとに、からだの状態を考えて決められます。
飲む薬
いずれかの薬を飲みます。必ず、指示通りに服用してください。
OD錠の場合
1回に飲む個数だけ包装シート(PTP(ピーティーピー)シート)から取り出し、舌の上でだ液にふやかして飲み込むか、またはコップ1杯程度の水でお飲みください。
顆粒剤の場合
スティックの「きりくち」から切れ目にそって切り取り、中の顆粒をコップ1杯程度の水またはぬるま湯でお飲みください。
カプセル剤の場合
1回に飲む個数だけ包装シート(PTPシート)から取り出し、コップ1杯程度の水またはぬるま湯でお飲みください。