私たちのからだは、たくさんの細胞からできています。正常な細胞は、細胞の設計図といわれる遺伝子の情報に基づいて秩序正しく増殖したり死滅したりします。この遺伝情報を担う物質をDNAと呼んでいます。
ところが、何らかの原因で遺伝子に傷がついて「がん化」すると、細胞の増殖がコントロールできなくなり無秩序に増え続けるようになります。このように異常に増殖したがん細胞のかたまりを「がん」または「悪性腫瘍」といいます。
がん細胞は血液やリンパの流れにのって、他の臓器や組織に移動(転移といいます)したり、となりの臓器や組織に浸潤しながら全身に広がっていきます。
このように発生した「がん」に対しては、手術療法、放射線療法や薬物療法などを組み合わせて治療します。また、治療開始時から緩和ケアも考慮します。
どのような治療を行うかは、「がん」の種類、進行の程度、年齢や体力、他の病気があるかなどを総合的に判断し、患者さんと相談しながら最も適切な治療法を選択します。
手術療法 | 手術により、がんを取り除く治療法です。 | |
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放射線療法 | 放射線を照射して、がん細胞の増殖を抑制したり消滅させる治療法です。 | |
薬物療法 | 抗がん剤治療 (化学療法) |
薬(抗がん剤)により、がん細胞の増殖を抑制したり消滅させる治療法です。 |
内分泌療法 | 乳がんなどのホルモンに依存して増殖するがんに対して、ホルモンに作用する薬を用いてがん細胞の増殖を抑える治療法です。 | |
分子標的療法 | がん細胞に特異的に発現している分子に薬が結合し、がん細胞の増殖や転移を抑える治療法です。 | |
緩和ケア | 専門家によるケアと治療で、がんに伴う身体的つらさや心理的つらさを和らげます。 |
ティーエスワン/カルボプラチン療法
非小細胞肺がんの治療に用いるティーエスワン/カルボプラチン療法は、飲み薬のティーエスワンと注射薬のカルボプラチンを組み合わせて治療する化学療法です。
治療法
治療開始1日目にカルボプラチンを点滴で投与します。その後ティーエスワンを14日間連日内服し、7日間休薬します。21日を1コースとして治療を繰り返します。外来(外来化学療法)でも治療を受けることができます。
治療スケジュールは、からだの状態や副作用などを考慮して休薬期間を延長したり、薬の量をへらすことがあります。
治療スケジュールの例
ティーエスワンは、おもに「がん細胞」のDNAを構成する物質*(DNA塩基)の合成を阻害します。一方、カルボプラチンはDNA塩基がつらなった二重らせんの部分に作用します。このように、ティーエスワンとカルボプラチンは、お互いに協力しあって効果をあらわします。
しかしながら、抗がん剤は「がん細胞」だけでなく、正常な細胞にもダメージを与えることがあるため、治療中には何らかの副作用があらわれる可能性があります。化学療法を行うときは副作用を上手にコントロールしながら治療を続けていくことが重要です。
治療を始める前に
ティーエスワン/カルボプラチン療法を始める前に、下記の項目にあてはまる方は、必ず担当の医師にお伝えください。
あなたのからだの状態や該当する項目の内容によっては、この治療が受けられないことがあります。
- 今、使用している薬がある
- 薬や食べ物にアレルギーがある。
- 心臓・腎臓・肝臓の病気がある。(検査値の異常がある。)
- 透析治療を受けている。
- 現在、しびれや耳鳴りなどの悩みがある。
- 妊婦または妊娠している可能性がある。