食欲不振、吐きけや嘔吐などの消化器系の副作用が多く発現します。症状を軽くする薬もありますので、担当の医師に相談してください。また、発現率は低くても重症化する副作用もありますので注意が必要です。
気になる症状などがあらわれた場合は、早めに担当の医師に相談してください。
ティーエスワン/カルボプラチン療法による副作用(除く骨髄抑制)
食欲不振
食欲が一時的に低下することがありますが、薬の投与をやめる(休薬期間)と回復してきます。
このように症状があらわれたら担当医に相談しましょう。
食欲不振の症状が長く続く、食事や水分がほとんどとれない
日常生活で気をつけること!
- 食べられるときに、少しずつ食べましょう。
果物やゼリーなど酸味があってさっぱりしたもの、ヨーグルトなどタンパク質が豊富なものなど - 脱水症状をおこさないよう、水分をとりましょう。
- 食べる場所を変えて気分転換をはかりましょう。
吐きけ・嘔吐
吐きけや嘔吐は治療開始後の早期から発現してきます。吐きけ止めの予防投与が効果的です。
このように症状があらわれたら担当医に相談しましょう。
吐きけや嘔吐が長く続く、食事や水分がほとんどとれない
日常生活で気をつけること!
- 気になるにおいはできるだけ避けましょう。
- 食べられるものを少しずつ食べるようにしましょう。刺激が少なく、消化のよい麺類など
- 脱水症状をおこさないよう、なるべく水分をとりましょう。
- おなかをしめつける衣服は着ないようにしましょう。
下痢
腸の粘膜が障害をうけて起こります。下痢が続くと脱水症状になりやすいので注意が必要です。
このような症状があらわれたらティーエスワンの服用をいったんやめて、すぐに担当医に連絡しましょう!
- 激しい下痢
- 下痢が長く続く
- 1日の排便回数がふだんよりも1日4回以上増加
日常生活で気をつけること!
- スポーツ飲料などで、水分や電解質をとりましょう。
- 食物繊維が多くてかたい食べ物はさけましょう。
- おなかや下半身を温かくして、安静にしましょう。
- 肛門周囲を洗浄し、清潔にしましょう。
便秘
排便回数が減少したり、不定期な排便になります。便秘は緩下剤や浣腸でほとんどコントロールできますので、担当の医師または看護師に相談してください。
日常生活で気をつけること!
- 規則正しい排便習慣をつけましょう。
- 適度な運動をしましょう。
- 水溶性の食物繊維を多くとりましょう。豆類、穀物など
- 乳酸菌を含む食品をとりましょう。ヨーグルトなど
- 水分を多くとりましょう。
口内炎
頬の内側の粘膜や歯ぐきに、赤い腫れや、ただれ、びらんや潰瘍などの症状が現れることがあります。
このような症状があらわれたらティーエスワンの服用をいったんやめて、すぐに担当医に連絡しましょう!
- 口の中が痛い
- ヒリヒリする
- 乾燥する
- しみる
- 味がおかしい
- 飲みこみにくい
日常生活で気をつけること!
- うがいなどで、日頃から口腔内を清潔にしておくことを心掛けましょう。
- 治療開始後、数日以内に下痢と口内炎が同時に発現した場合は、ティーエスワンの服用を中止してすぐに担当医に連絡してください。
疲労
治療中に多くみられる副作用ですが、通常は治療後にすぐに回復します。
日常生活で気をつけること!
- 強い疲労を感じたときは、短時間の休息を多くとりましょう。
- 血液やリンパの流れをよくしましょう。マッサージや入浴、散歩などの適度な運動が効果的です。
皮疹(発疹)
手のひらや足の裏などが赤みを帯びて腫れてくることがあります。
このような症状があらわれたらティーエスワンの服用をいったんやめて、すぐに担当医に連絡しましょう!
顔・首すじ・手・足・背中などの発赤や発疹
日常生活で気をつけること!
- ウールや化学繊維は、肌に直接触れないようにしましょう。
- 刺激の少ない木綿の肌着を着るようにしましょう。
- 石鹸は刺激の少ないものを使いましょう。
色素沈着
色素沈着は、顔、手足の皮膚や爪、および全身の皮膚などにみられます。
このように症状があらわれたら担当医に相談しましょう。
皮膚や爪・指先などが褐色や黒色になる
日常生活で気をつけること!
- 直射日光をさけ、日焼け止めクリームを塗りましょう。色素沈着は日光にあたると強まる傾向があります。
- 入浴後は保湿クリームなどを塗って、皮膚の乾燥を防ぎましょう。
脱毛
治療開始数週後から毛が抜け始めることがありますが、脱毛は一時的なものです。治療終了後数ヵ月で毛が生えはじめ、約半年でほぼ回復します。
日常生活で気をつけること!
- 柔らかいブラシを使いましょう。
- シャンプーは刺激の少ないものを使いましょう。
- 帽子やカツラなどを用意しておくとよいでしょう。
- あらかじめ毛髪を短めにカットしておくのもよいでしょう。
流涙(涙目、涙がでる)
涙が多くなり、目から涙がこぼれてくることがあります。涙の量が増えて起こる場合と、涙の通り道(目から鼻に通じている管)が詰まって起こる場合があります。結膜炎や角膜炎が起こっている場合もありますので、早めに担当の医師に相談してください。
このように症状があらわれたら担当医に相談しましょう。
- 涙が止まらない
- 目が痛い
- 目がかすむ
- 物が見えにくい
日常生活で気をつけること!
- 日常生活で目の症状が気になるときは、なるべく早く担当の医師に相談してください。症状によっては、眼科検査と治療を行う必要があります。
手足のしびれ
治療開始数日後から、手足のしびれを感じることがあります。症状が軽いうちに速やかな対処を行うことによって、症状が悪化することを防ぐことができます。
このように症状があらわれたら担当医に相談しましょう。
- 手や足がしびれてきた
- 刺すような痛みがある
- 感覚が鋭くなってきた
日常生活で気をつけること!
- 重いものはなるべく持たないようにしましょう。
- ころばないように注意しましょう。
- つらい時は無理せず、家族や周りの方に手伝ってもらいましょう。
間質性肺炎
肺の間質という部分が炎症を起こして呼吸機能が低下します。起こることはまれですが、注意が必要な副作用です。初期には、せきや発熱など、かぜと同じような症状があらわれますので、自分で判断しないで担当の医師や看護師に連絡してください。
このような症状があらわれたらティーエスワンの服用をいったんやめて、すぐに担当医に連絡しましょう!
かぜに似た症状
- 空せき(痰がでないせき)
- 息切れ
- 発熱
- 倦怠感
アレルギー症状
まれですが、カルボプラチンの点滴中にショックなどのアレルギー症状が起こることがあります。
このような症状があらわれたらすぐに担当医または看護師、薬剤師に連絡しましょう!
- 息苦しい
- 顔がほてる
- 汗がでる
- 心臓がドキドキする
- 胸が痛い
- 発疹がでる
このほかにも、気になる症状やいつもと違う症状がある場合は、担当の医師や看護師、薬剤師に必ず伝えてください。
ティーエスワン/カルボプラチン療法を正しく理解し、副作用と上手につきあいながら治療を続けていくことが大切です。
不安なことやわからないことは、どんなことでも担当の医師や看護師、薬剤師におたずねください。