「ティーエスワン」という薬
- ティーエスワンは、フルオロウラシル(5-FU)という「がん」を治療する薬の効果を高め、副作用を軽減するために開発された薬です。
- 胃がん、大腸がん、頭頸部がん、非小細胞肺がん、乳がん、膵がん、胆道がんの治療に使われています。
- 次の3成分が配合されている薬です。
テガフール
体内でフルオロウラシル(5-FU)に変換されてがん細胞を攻撃します。
ギメラシル
フルオロウラシル(5-FU)の分解を抑えて効果を持続させます。
ティーエスワンと同じ種類の薬にも作用します。
オテラシルカリウム
下痢などの消化器系の副作用を軽減させます。
- 内服薬(飲み薬)です。
担当医師の指示にしたがって、決められた量を1日2回、朝食後と夕食後に食後30分を目安に飲んでください。- 1日に飲む量は、あなたの身長と体重をもとに、からだの状態を考えて決められています。
- 一定期間服用した後は休薬期間を設けます。
ティーエスワン/カルボプラチン療法では、14日間服用して7日間休薬することを基本としています。
ティーエスワンにはOD錠(口腔内崩壊錠)、顆粒剤、カプセル剤があります。
ティーエスワン®配合OD錠T20(口腔内崩壊錠) | ティーエスワン®配合OD錠T25(口腔内崩壊錠) | ||
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表 | 表 | ||
裏 | 裏 | ||
ティーエスワン®配合顆粒T20 | ティーエスワン®配合顆粒T25 | ||
ティーエスワン®配合カプセルT20 | ティーエスワン®配合カプセルT25 | ||
表 | 表 | ||
裏 | 裏 |
コップ1杯程度の水またはぬるま湯で服用します。
OD錠(口腔内崩壊錠)は、お口の中で溶かして水なしで飲むこともできます。
水なしで飲むときは、身体を起こした姿勢で飲んでください。
決められた量や服用する期間、休薬する期間を守ってください。
薬の量や服用期間、休薬期間は、担当の医師があなたの症状から最も適切と判断して決めています。自分の判断で変更しないでください。
服用するときの注意
- 飲み忘れた場合は、飲み忘れた分は服用しないでください。
- 飲んだか、飲まなかったか忘れた場合は、その分を飲まないようにします。
- 次に飲む時は、1回分だけです。
2回分を一度に飲まないでください(ティーエスワンの副作用が強くあらわれることがあります)。 - 間違えて多く飲んでしまった場合は、すぐに担当の医師または薬剤師に連絡してください。
併用禁忌薬
ティーエスワンには一緒に使用してはいけない飲み薬や注射薬があります。このような薬を「併用禁忌薬」といいます。
ティーエスワンと併用禁忌薬を一緒に使用した場合には、からだの中の薬の濃度(血液中の濃度)が上がりすぎて、口内炎、下痢、白血球減少などの副作用が強くあらわれることがあります。
絶対に一緒に飲んで(使用して)はいけない薬
フッ化ピリミジン系の薬1)
フッ化ピリミジン系抗がん剤
- フルオロウラシル(5-FU[ファイブエフユー]*)
- テガフール・ウラシル配合剤(ユーエフティ)
- テガフール(フトラフール)
- ドキシフルリジン(フルツロン)
- カペシタビン(ゼローダ*)
- ホリナート・テガフール・ウラシル療法(ユーゼル*・ユーエフティ、ロイコボリン*・ユーエフティ)
- レボホリナート・フルオロウラシル療法(アイソボリン・5-FU*)
フッ化ピリミジン系抗真菌剤2)
- フルシトシン(アンコチル)
ティーエスワンのジェネリック医薬品3)
1)フッ化ピリミジン系の薬:フッ化ピリミジン系というグループに属する、ティーエスワンと同じ種類の薬です。
2)抗真菌剤:真菌感染症の治療薬。
3)ジェネリック医薬品(後発医薬品):先発医薬品であるティーエスワンと同じ有効成分を含んでいるため、同時使用は避けてください。
*ジェネリック医薬品との同時使用も避けてください。
- 併用禁忌薬からティーエスワンに変更した場合、あるいはティーエスワンから併用禁忌薬に変更した場合は、前の薬の影響がなくなるまで休薬期間が必要になります。必ず担当の医師、薬剤師の指示通りに使用してください。
- 以前、処方してもらった薬が自宅に残っていても、自分の判断で使用してはいけません。
必ず担当の医師または薬剤師に確認してもらいましょう。 - 他科あるいは他施設で治療を受けるときは、医師または薬剤師にティーエスワン、カルボプラチンの治療中であることをお伝えください。
「カルボプラチン」という薬
- カルボプラチンは、プラチナ(白金)を含む抗がん剤で、頭頸部がん、肺小細胞がん、乳がん、睾丸腫瘍、卵巣がん、子宮頸がん、悪性リンパ腫、非小細胞肺がんに対して効果が認められています。
この他にも、小児悪性固形腫瘍(神経芽腫・網膜芽腫・肝芽腫・中枢神経系胚細胞腫瘍、再発又は難治性のユーイング肉腫ファミリー腫瘍・腎芽腫)に対しても、他の抗がん剤との併用療法で使用されています。 - がん細胞遺伝子のDNAという遺伝情報を担う物質に結合して、がん細胞の増殖を抑制したり死滅させます。
- カルボプラチンなどのプラチナ(白金)製剤を含む化学療法は、非小細胞肺がんに対する標準的化学療法のひとつとされています。
- 点滴で投与する注射薬です。
- 投与量は、腎臓の働きの程度によって決定します。
他の疾病治療で服用している薬はありませんか
ティーエスワンとカルボプラチンには、一緒に使用すると作用が強くなりすぎたり、副作用があらわれる薬があります。
次のような薬を使用している場合や、他の抗がん剤を使用したり放射線治療を受けている場合には、担当の医師または薬剤師に忘れずに伝えてください。
薬 | 作用 | 症状 |
フェニトイン (てんかんの薬) |
フェニトインの作用に影響をあたえることがあります。 | 吐き気、眼振(自分の意志とは関係なく眼球が動くこと)、運動障害、けいれんなどが起きることがあります。 |
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ワルファリンカリウム (血液を固まりにくくする薬) |
ワルファリンカリウムの作用が強まることがあります。 | 皮下出血、歯肉出血など、出血しやすくなることがあります。 |
ロンサーフ®※ (抗がん剤) |
ロンサーフの作用を強める可能性があります。 | 重篤な骨髄抑制などの副作用が発現するおそれがあります。 |
ストレプトマイシン、カナマイシン、ゲンタマイシンなどのアミノグリコシド系抗生物質など | 聴器障害が強まることがあります。 | 音がきこえにくい、音がきこえなくなることがあります。 |
- トリフルリジン・チピラシル塩酸塩配合剤