ティーエスワン
- ティーエスワンは1999年に発売され、がんを治療する薬として、広く使われています。
- この薬は、フルオロウラシル(5-FUと略されます)という、がんを治療する薬の効果を高め、副作用を少なくするために開発された薬です。
- 以下の3つの成分が配合されています。
テガフール
体内でフルオロウラシルに変換され、がん細胞を攻撃します。
ギメラシル
フルオロウラシルの分解を抑えて効果を持続させます。
オテラシルカリウム
下痢などの消化器系の副作用を減らし症状を軽くする働きをもっています。
- この薬は、胃がん、肺がん、頭頸部がん、乳がん、結腸・直腸がん、膵がん、胆道がんに対して効果を示します。
- OD(オーディー)錠、顆粒剤、カプセル剤があり、いずれかを服用します。
OD錠 | 顆粒剤 | カプセル剤 | |
20mg | |||
25mg |
- 服用量(飲む薬の量)
- あなたの身長と体重から体表面積を計算し、薬の量が決められます(下図)。
- 腎機能が悪い人では、服用量を一段階減らす場合があります。
- その他、からだの状態や副作用の程度によっても、服用量を一段階減らす場合があります。
- 効果と副作用の状態を確認しながら、服用量を変更することもあります。
患者さん | 体表面積 | 1日量 | 朝食後 | 夕食後 |
---|---|---|---|---|
小さい人 |
~1.25m2 |
80mgのとき |
40mg/回 |
40mg/回 |
普通の人 |
1.25m2~ 1.5m2未満 |
100mgのとき | 50mg/回 (25mg×2) |
50mg/回 (25mg×2) |
大きい人 |
1.5m2~ |
120mgのとき | 60mg/回 (20mg×3) |
60mg/回 (20mg×3) |
ティーエスワンの大切な注意です
併用禁忌薬
ティーエスワンには一緒に使用してはいけない飲み薬や注射などがあります。
絶対に一緒に飲んで(使用して)はいけない薬(フッ化ピリミジン系の薬)
フッ化ピリミジン系抗がん剤1)
- ホリナート・テガフール・ウラシル療法(ユーゼル*・ユーエフティ)
- ホリナートカルシウム・テガフール・ウラシル(ロイコボリン*・ユーエフティ)
- レボホリナート・フルオロウラシル療法(アイソボリン・5-FU(ファイブエフユー))
- カベシタビン(ゼローダ*)
- テガフール・ウラシル配合剤(ユーエフティ)
- ドキシフルリジン(フルツロン)
- フルオロウラシル(5-FU)
- テガフール(フトラフール)
フッ化ピリミジン系抗真菌剤2)
- アンコチル(フルシトシン)
ティーエスワンのジェネリック医薬品3)
1)フッ化ピリミジン系抗がん剤:フッ化ピリミジン系というグループに属する、ティーエスワンと同じ種類の薬です。
2)抗真菌剤:真菌感染症の治療薬です。
3)ジェネリック医薬品(後発医薬品):先発医薬品であるティーエスワンと同じ有効成分を含んでいるため、同時使用は避けてください。
*ジェネリック医薬品との同時使用も避けてください。
他の診療科・他の病院を受診するとき
治療が変更になった場合(薬の変更)
以下のように治療(薬)が変更になった場合は、今まで使用していた薬の影響を考え、薬の使用をお休みします(休薬期間)。
担当の医師または薬剤師の指示を必ず守ってください。
*併用禁忌薬をご覧ください。
自宅に薬が残っている場合
以前に処方してもらった薬が自宅に残っていても、自分で勝手に使用してはいけません。
残っている薬がある場合は、必ず医師や薬剤師に確認してから使用しましょう。
ティーエスワンのその他の注意です
服用中に以下のようなことがあった場合にはあわてず適切に対応してください。
- 飲み忘れた場合
- 飲み忘れた分をとばして(服用せず)、次の分からお飲みください。
- 絶対に2回分を一度に飲まないでください。
この薬の副作用が強くあらわれるおそれがあります。
- 飲んだか、飲まなかったか、分からない場合
念のため、飲まないようにしてください。
- まちがえて多く飲んでしまった場合
すぐに担当の医師または薬剤師に連絡してください。
ゲムシタビン
- 代謝拮抗薬に分類される抗がん剤です。
- がん細胞のDNAに入り込み、細胞分裂に必要なDNAの合成を阻害してがん細胞を消滅させ、がんの分裂や増殖を抑える働きがあります。
- 30分かけて静脈内に点滴注射します。
シスプラチン
- 白金(プラチナ)製剤というグループに属する抗がん剤です。
- がん細胞のDNAと結合してその合成を阻害し、がん細胞の増殖を抑えたり、死滅させたりする働きがあります。
- 他の抗がん剤と併用して投与されます。
- 1時間かけて静脈内に点滴注射します。
- 服用量はあなたの身長と体重から体表面積を計算して決められます。
- 腎機能保護のため、前後に薬の量に応じた量の補液を点滴注射します。
副作用などの詳細情報については医師または薬剤師にご確認ください。