膵臓のはたらき
膵臓はみぞおちの部分にあり、胃の後ろにある長さ20cmほどの細長い臓器で、膵頭部(すいとうぶ)、膵体部(すいたいぶ)、膵尾部(すいびぶ)に分けられます。
膵臓は外分泌(がいぶんぴ)と内分泌(ないぶんぴ)という2つの機能をもっています。
外分泌
食べ物の消化を助ける消化酵素を含む膵液をつくっています。
つくられた膵液は主膵管(しゅすいかん)に集められ、肝臓でつくられた胆汁とファーター乳頭部(にゅうとうぶ)近くで一緒になり、十二指腸に流れ込み、食べ物の消化を助けます。
内分泌
血糖を調節するホルモンをつくっています。
インスリン(血糖を下げる)とグルカゴン(血糖を上げる)というホルモンをつくり、血糖を調節しています。
膵がんとは?
膵臓にできるがんの大部分は膵管にできる「浸潤性膵管(しんじゅんせいすいかん)がん」のことです。この他に、内分泌細胞にできる「膵神経内分泌腫瘍(すいしんせいないぶんぴつしゅよう)」や「のう胞性膵腫瘍(ほうせいすいしゅよう)」があります。
膵がんにかかる率は60歳から増加し高齢になるほど高くなります。
浸潤性膵管がん
膵管にがんができ周囲に広がっていきますが、がんができる場所で3つに分けられます。このうち膵頭部がんが多く、十二指腸、肝臓に近いため、がんが広がりやすくなります。
膵臓周囲の臓器
浸潤性膵管がんの発生部位
膵がんの症状
膵がんは早期に特徴的な症状はほとんどないため、早期発見が難しいといわれています。
膵がんのおもな症状には、腹痛、黄疸(おうだん)、背部痛、体重減少などがあげられます。また、糖尿病になったり、糖尿病が悪化してしまうこともあります。
疼痛(とうつう)(痛み)
はじめはお腹の調子が悪かったり、背中や腰の違和感を感じたりしますが、症状が進むと、腹痛や背部痛を感じるようになります。
原因
- がんが神経を圧迫しているためです。
- おもな膵管が、がんによって狭くなったり、つまってしまうと、膵液がうまく流れずに痛みとして現れます。
黄疸
膵頭部がんではよくみられる症状です。
原因
- 膵臓にできたがんが隣接する胆管を圧迫すると、胆管が狭くなり、つまってしまうことがあります。
- 胆管がつまると胆汁が血液中に流れ出し、胆汁の色素によって皮膚や目の白い部分が黄色くなります。
糖尿病
突然、糖尿病になったり、糖尿病が急に悪化することがあります。
原因
- がんによって膵臓のはたらきが低下し、血糖値の調節がうまくできなくなり、糖尿病になったり、糖尿病が悪化してしまうことがあります。