製品情報
基本情報
「警告・禁忌を含む注意事項等情報」等の改訂には十分ご留意ください。
2021年8月改訂の添付文書に基づいて作成したものです。
特定生物由来製品
本剤は添加物としてヒト血液由来成分を含有しており、原料となった血液を採取する際には、問診、感染症関連の検査を実施するとともに、製造工程における一定の不活化・除去処理等を実施し、感染症に対する安全対策を講じているが、ヒト血液を原料としていることによる感染症伝播のリスクを完全に排除することができないため、疾病の治療上の必要性を十分に検討の上、必要最小限の使用にとどめること。
1.警告
- 1.警告
- 1.1 本剤を含むがん化学療法は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
- 1.2 骨髄抑制(主に好中球減少)等の重篤な副作用が起こることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能検査、腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。
- 1.3 本剤の投与方法、適応症、薬物動態等が他のパクリタキセル製剤と異なることを理解して投与すること。
2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)
- 2.1 重篤な骨髄抑制のある患者
[骨髄抑制は用量制限毒性(Dose Limiting Toxicity)であり、感染症を伴い、重篤化する可能性がある。] - 2.2 感染症を合併している患者
[骨髄抑制により、感染症を増悪させるおそれがある。] - 2.3 本剤又はパクリタキセル、アルブミンに対し過敏症の既往歴のある患者
- 2.4 妊婦又は妊娠している可能性のある女性
添付文書9.5の項参照
- 2.1 重篤な骨髄抑制のある患者
3.組成・性状
3.1 組成
販売名 | アブラキサン点滴静注用 100mg |
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有効成分 | 1バイアル中 パクリタキセル 100mg |
添加物 | 1バイアル中 人血清アルブミン 800mg |
3.2 製剤の性状
性状 | 用時懸濁して用いる白色ないし黄色の凍結乾燥注射剤 |
---|---|
pH注1) | 6.0~7.5 |
浸透圧比注1) | 約1(生理食塩液に対する比) |
備考 | 本剤の添加物の人血清アルブミンは、ヒトの血漿(採血国:米国、採血方法:非献血)を原材料としている。 |
注1)本剤を生理食塩液20mLにて調製したとき。
4.効能又は効果
5.効能又は効果に関連する注意
- 〈効能共通〉
- 5.1 本剤の手術の補助化学療法における有効性及び安全性は確立していない。
- 〈治癒切除不能な膵癌〉
- 5.2 患者の病期、全身状態等について、「臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。
6.用法及び用量
乳癌にはA法又はE法を、胃癌にはA法又はD法を、非小細胞肺癌にはB法を、治癒切除不能な膵癌にはC法を使用する。
- A法:
- 通常、成人にはパクリタキセルとして、1日1回260mg/m2(体表面積)を30分かけて点滴静注し、少なくとも20日間休薬する。これを1コースとして、投与を繰り返す。
なお、患者の状態により適宜減量する。
- B法:
- 通常、成人にはパクリタキセルとして、1日1回100mg/m2(体表面積)を30分かけて点滴静注し、少なくとも6日間休薬する。週1回投与を3週間連続し、これを1コースとして、投与を繰り返す。
なお、患者の状態により適宜減量する。
- C法:
- ゲムシタビンとの併用において、通常、成人にはパクリタキセルとして、1日1回125mg/m2(体表面積)を30分かけて点滴静注し、少なくとも6日間休薬する。週1回投与を3週間連続し、4週目は休薬する。これを1コースとして、投与を繰り返す。
なお、患者の状態により適宜減量する。
- D法:
- 通常、成人にはパクリタキセルとして、1日1回100mg/m2(体表面積)を30分かけて点滴静注し、少なくとも6日間休薬する。週1回投与を3週間連続し、4週目は休薬する。これを1コースとして、投与を繰り返す。
なお、患者の状態により適宜減量する。
- E法:
- 他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人にはパクリタキセルとして、1日1回100mg/m2(体表面積)を30分かけて点滴静注し、少なくとも6日間休薬する。週1回投与を3週間連続し、4週目は休薬する。これを1コースとして、投与を繰り返す。
なお、患者の状態により適宜減量する。
7.用法及び用量に関連する注意
- 〈効能共通〉
- 7.1 本剤の投与にあたっては下記に留意し、必要に応じ休薬、減量を実施すること。
- ・A法、B法
又はE法 - 好中球数及び血小板数の変動に十分留意し、次コース投与前の臨床検査で好中球数が1,500/mm3 未満又は血小板数が100,000/mm3 未満であれば、骨髄機能が回復するまで投与を延期すること。また、B法又はE法の同一コース内の投与にあたっては、投与前の臨床検査で好中球数が500/mm3 未満又は血小板数が50,000/mm3 未満であれば、骨髄機能が回復するまで投与を延期すること。投与後、好中球数が7日間以上にわたって500/mm3 未満となった場合、血小板数が50,000/mm3 未満となった場合、又は発熱性好中球減少症が発現した場合、更にB法又はE法では次コース投与開始が7日間以上延期となる好中球減少が発現した場合も次コースの投与量を減量すること。
また、高度(Grade 3)な末梢神経障害が発現した場合には、軽快又は回復(Grade 1以下)するまで投与を延期し、次回の投与量を減量すること。
- ・C法
- 〈第1日目(各コース開始時)〉
好中球数及び血小板数の変動に十分留意し、投与前の臨床検査で好中球数が1,500/mm3 未満又は血小板数が100,000/mm3 未満であれば、骨髄機能が回復するまで投与を延期すること。
〈第8及び15日目〉 第8日目 投与前血液検査(/mm3) 対応 ① 好中球数1,000超 かつ
血小板数75,000以上投与量変更なし ② 好中球数500以上1,000以下 又は
血小板数50,000以上75,000未満1段階減量 ③ 好中球数500未満 又は
血小板数50,000未満休薬 第15日目 投与前血液検査(/mm3) 第8日目での血液検査の結果 対応 好中球数1,000超
かつ
血小板数75,000以上①の場合 投与量変更なし ②の場合 第1日目投与量に増量可 ③の場合 1段階減量 好中球数500以上1,000以下
又は
血小板数50,000以上75,000未満①の場合 投与量変更なし ②の場合 第8日目投与量に同じ ③の場合 1段階減量 好中球数500未満
又は
血小板数50,000未満①~③の場合 休薬 投与後、好中球数が7日間以上にわたって500/mm3未満となった場合、血小板数が50,000/mm3未満となった場合、又は発熱性好中球減少症が発現した場合には、次回の投与量を減量すること。
また、高度(Grade 3)な末梢神経障害が発現した場合には、軽快又は回復(Grade 1以下)するまで投与を延期し、次回以降の投与量を減量すること。
- ・D法
- 好中球数及び血小板数の変動に十分留意し、投与前の臨床検査で好中球数が1,000/mm3未満又は血小板数が75,000/mm3未満であれば、骨髄機能が回復するまで投与を延期すること。本剤と他の抗悪性腫瘍剤との併用の場合は、第1日目の投与前の臨床検査で好中球数が1,500/mm3未満又は血小板数が100,000/mm3未満であれば、骨髄機能が回復するまで投与を延期すること。
投与後、好中球数が500/mm3未満となった場合、血小板数が25,000/mm3未満となった場合、又は発熱性好中球減少症が発現した場合には、次回の投与量を減量すること。
また、高度(Grade 3)な末梢神経障害が発現した場合には、軽快又は回復(Grade 2以下)するまで投与を延期し、次回の投与量を減量すること。
- ・減量の目安
-
減量段階 A法 B法又はE法 C法 D法 通常投与量 260mg/m2 100mg/m2 125mg/m2 100mg/m2 1段階減量 220mg/m2 75mg/m2 100mg/m2 80mg/m2 2段階減量 180mg/m2 50mg/m2 75mg/m2 60mg/m2
- ・A法、B法
- 7.1 本剤の投与にあたっては下記に留意し、必要に応じ休薬、減量を実施すること。
- 〈非小細胞肺癌及び乳癌〉
- 7.2 B法及びE法において、本剤と併用する他の抗悪性腫瘍剤は「臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、選択すること。
- 〈胃癌〉
- 7.3 D法において、本剤と併用する他の抗悪性腫瘍剤は「臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、選択すること。
- 7.4 本剤の用法及び用量は「臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、選択すること。特に、A法の実施にあたっては、D法の実施についても検討すること。