乳癌

臨床成績 「警告・禁忌を含む注意事項等情報」等は最新の電子添文をご参照ください。

国際共同第Ⅲ相試験:KEYNOTE-355試験1)

  • 1) Cortes, J. et al.: Lancet, 2020, 396(10265), 1817-1828
    Cortes, J. et al.: Lancet, 2020, 396(10265), 1817-1828 Supplementary appendix;承認時評価資料

試験方法

目的

切除不能の局所再発又は転移性トリプルネガティブ乳癌の化学療法未治療患者を対象として、ペムブロリズマブ及び化学療法併用投与とプラセボ及び化学療法併用投与を比較する。

対象

化学療法の治療歴がない切除不能の局所再発トリプルネガティブ乳癌患者、又は化学療法の治療歴がない転移性トリプルネガティブ乳癌患者〔パート1:Safety Run-in 34例(日本人4例)、パート2:第Ⅲ相試験847例(日本人87例)〕

投与方法

【パート1:Safety Run-in】

対象患者にペムブロリズマブ及び化学療法を併用投与した。ペムブロリズマブは200mgを21日サイクルで1日目に静脈内投与した。化学療法は以下のいずれかに1:1:1の割合で無作為に割り付けた。

  • アブラキサン(nab-パクリタキセル):100mg/m2を28日サイクルの1、8、15日目に静脈内投与
  • 他のパクリタキセル製剤※1:90mg/m2を28日サイクルの1、8、15日目に静脈内投与
  • ゲムシタビン※2(1000mg/m2)+カルボプラチン※3(AUC=2)を21日サイクルの1、8日目に静脈内投与

【パート2:第Ⅲ相試験】

対象患者をペムブロリズマブ/化学療法併用群とプラセボ/化学療法併用群に2:1の割合で無作為に割り付けた※4。ペムブロリズマブ及び化学療法の投与スケジュールは、パート1と同一とした。

  • ※1 他のパクリタキセル製剤の国内で承認されている乳癌の用法及び用量は「A法:通常、成人にはパクリタキセルとして、1日1回210mg/m2(体表面積)を3時間かけて点滴静注し、少なくとも3週間休薬する。これを1クールとして、投与を繰り返す。B法:通常、成人にはパクリタキセルとして、1日1回100mg/m2(体表面積)を1時間かけて点滴静注し、週1回投与を6週連続し、少なくとも2週間休薬する。これを1クールとして、投与を繰り返す。」である。
  • ※2 ゲムシタビンの国内で承認されている手術不能又は再発乳癌の用法及び用量は「通常、成人にはゲムシタビンとして1回1250mg/m2を30分かけて点滴静注し、週1回投与を2週連続し、3週目は休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。」である。
  • ※3 カルボプラチンの国内で承認されている乳癌の用法及び用量は「トラスツズマブ(遺伝子組換え)及びタキサン系抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人にはカルボプラチンとして、1日1回300~400mg/m2(体表面積)を投与し、少なくとも3週間休薬する。これを1クールとし、投与を繰り返す。なお、投与量は、患者の状態により適宜減ずる。」である。
  • ※4 層別因子:治験中の化学療法(タキサン vs. ゲムシタビン/カルボプラチン)、腫瘍PD-L1の発現状況(陽性 vs. 陰性)、術前/術後補助療法での同一クラスの化学療法治療歴(あり vs. なし)

試験デザイン

国際共同第Ⅲ相試験(パート1:非盲検非無作為化、パート2:二重盲検無作為化プラセボ対照)

【パート1:Safety Run-in】

投与スケジュールはパート2のペムブロリズマブ/化学療法併用群と同一

【パート2:第Ⅲ相試験】

国際共同第Ⅲ相試験(パート1:非盲検非無作為化、パート2:二重盲検無作為化プラセボ対照)

評価項目

【パート1:Safety Run-in】

主要評価項目:有害事象、治験薬の投与中止に至った有害事象の発現率

【パート2:第Ⅲ相試験】

主要評価項目:無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)
副次評価項目: 奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)、病勢コントロール率(DCR)等

評価基準

PFS、ORR、DoR、DCR:RECIST v1.1に従う
安全性:NCI CTCAE v4.03に従う

解析方法

【パート1:Safety Run-in】

安全性は、実際に投与された治験薬に基づき安全性解析対象集団(治験薬を1回以上投与されたすべての患者)を対象に解析した。解析はすべて記述統計で行った。

【パート2:第Ⅲ相試験】

PD-L1陽性(CPS※5≧10)患者に約185件のOSのイベントが観察された後、IA2(第2回中間解析)を実施した。6つの主要仮説[全患者集団及びPD-L1陽性患者の部分集団(CPS≧1及びCPS ≧10)におけるペムブロリズマブ/化学療法のPFS及びOSの優越性]、及び2つの副次仮説[全患者集団及びPD-L1陽性患者の部分集団(CPS≧1)におけるペムブロリズマブ/化学療法のORRの優越性]では、多重性を調整した。これら6つの主要仮説及び2つの副次仮説全体の第一種の過誤確率を片側2.5%に厳密に制御した。OSに関する仮説は、3回の中間解析(IA1、IA2、IA3)及び最終解析を計画し、群逐次法を用いて検定することとした。PFSに関する仮説は、IA1を中間解析及びIA2を最終解析として検定した。ORRに関する仮説は、IA1を最終解析として検定した。主要仮説は、全ての層別因子*4を用いた層別ログランク検定を用いて、ペムブロリズマブ/化学療法併用群とプラセボ/化学療法併用群の群間でPFS及びOSを比較することにより検証した。全ての層別因子*4を用いた層別Cox比例ハザードモデルを用いて、HRを推定した。Kaplan-Meier法を用いて、生存期間の中央値及びイベント発生率の推移を推定した。重みを層の例数に比例させた層別Miettinen & Nurminen法を用いて、2群間のORRを比較した。
PFSは階層的に検定を行い、CPS≧10の患者集団でPFSの優越性(事前に規定した境界値:多重性調整済みの名目上の有意水準は片側0.00411)が検証された場合、CPS≧1の患者集団で検討し(同0.00111)、最後にITT集団で検討することとした(同0.00111)。
また、PFSについて事前に計画した項目〔日本人集団、年齢、登録地域、ECOG PS、本治験で併用した化学療法、同一クラスの化学療法の治療歴、術前/術後補助化学療法の治療歴、無再発期間、転移臓器数〕でサブグループ解析を実施した。

  • ※5 CPS:PD-L1を発現した細胞数(腫瘍細胞、マクロファージ及びリンパ球)を総腫瘍細胞数で除し、100を乗じた値

患者背景

■症例の内訳

【パート1:Safety Run-in】

全症例 日本人
登録例数 35 4
安全性解析対象集団 全体 34 4
ペムブロリズマブ+アブラキサン群 13 0
ペムブロリズマブ+他のパクリタキセル製剤群 10 2
ペムブロリズマブ+ゲムシタビン+カルボプラチン群 11 2

【パート2:第Ⅲ相試験】

ペムブロリズマブ/化学療法併用群 プラセボ/化学療法併用群
全症例 日本人 全症例 日本人
登録例数 566 61 281 26
ITT集団 全体 566 61 281 26
PD-L1陽性(CPS≧10)患者集団 220 19 103 9
PD-L1陽性(CPS≧1)患者集団 425 44 211 22
安全性解析対象集団 562 61 281 26

治療の実施状況(第2回中間解析、安全性解析対象集団)

ペムブロリズマブ/化学療法併用群
(n=562)
プラセボ/化学療法併用群
(n=281)
全薬剤 n 562 281
投与期間 中央値[範囲](週) 26.4[0.1-133.1] 23.1[0.1-146.1]
ペムブロリズマブ/プラセボ n 562 281
投与期間 中央値[範囲](週) 24.2[0.1-126.1] 22.1[0.1-119.6]
投与回数 中央値[範囲] 8.0[1.0-35.0] 8.0[1.0-35.0]
nab-パクリタキセル n 174 95
投与期間 中央値[範囲](週) 23.1[0.1-133.1] 18.1[0.1-130.1]
投与回数 中央値[範囲] 18.0[1.0-102.0] 14.0[1.0-96.0]
他のパクリタキセル製剤 n 81 32
投与期間 中央値[範囲](週) 21.6[1.1-108.9] 17.4[0.1-146.1]
投与回数 中央値[範囲] 16.0[2.0-75.0] 13.5[1.0-109.0]
ゲムシタビン n 309 154
投与期間 中央値[範囲](週) 22.1[0.1-129.1] 23.1[0.1-135.0]
投与回数 中央値[範囲] 12.0[1.0-74.0] 13.0[1.0-85.0]
カルボプラチン n 309 154
投与期間 中央値[範囲](週) 22.1[0.1-129.1] 22.9[0.1-135.0]
投与回数 中央値[範囲] 12.0[1.0-74.0] 13.0[1.0-85.0]

Reprinted from The Lancet, 396. 10265, Cortes J, et al., Pembrolizumab plus chemotherapy versus placebo plus chemotherapy for previously untreated locally recurrent inoperable or metastatic triple-negative breast cancer (KEYNOTE-355): a randomised, placebo-controlled, double-blind, phase 3 clinical trial, 1817‒1828, Copyright(2020), with permission from Elsevier.

患者特性(ITT集団)

症例数(%)

PD-L1陽性(CPS≧10)患者集団 PD-L1陽性(CPS≧1)患者集団 ITT集団
ぺムブロリズマブ/
化学療法併用群
(n=220)
プラセボ/
化学療法併用群
(n=103)
ぺムブロリズマブ/
化学療法併用群
(n=425)
プラセボ/
化学療法併用群
(n=211)
ぺムブロリズマブ/
化学療法併用群(n=566)
プラセボ/
化学療法併用群
(n=281)
年齢(歳)
中央値[四分位範囲] 52[44‒62] 55[43‒63] 52[43‒62] 52[43‒63] 53[44‒63] 53[43‒63]
<65歳 178(81) 79(77) 337(79) 168(80) 443(78) 224(80)
人種
アメリカインディアン又はアラスカ先住民 2(1) 0 7(2) 0 11(2) 1(<1)
アジア人 44(20) 20(19) 89(21) 41(19) 123(22) 52(19)
黒人又はアフリカ系アメリカ人 9(4) 6(6) 16(4) 10(5) 20(4) 17(6)
複数人種の混血 6(3) 3(3) 9(2) 7(3) 11(2) 8(3)
白人 153(70) 70(68) 291(68) 146(69) 384(68) 195(69)
欠測 6(3) 4(4) 13(3) 7(3) 17(3) 8(3)
閉経状態
閉経前 74(34) 34(33) 146(34) 76(36) 178(31) 92(33)
閉経後 146(66) 69(67) 278(65) 135(64) 387(68) 189(67)
欠測 0 0 1(<1) 0 1(<1) 0
ECOG PS
0 134(61) 62(60) 253(60) 134(64) 332(59) 173(62)
1 86(39) 41(40) 171(40) 77(36) 232(41) 108(38)
2 0 0 0 0 1(<1) 0
欠測 0 0 1(<1) 0 1(<1) 0
無再発期間
de novo転移 68(31) 35(34) 135(32) 65(31) 167(30) 84(30)
<12ヵ月 49(22) 17(17) 92(22) 37(18) 126(22) 50(18)
≧12ヵ月 102(46) 51(50) 195(46) 109(52) 270(48) 147(52)
不明 1(<1) 0 3(1) 0 3(1) 0
疾患の状態
転移性(de novo) 68(31) 35(34) 135(32) 65(31) 167(30) 84(30)
転移性(再発) 144(65) 62(60) 274(64) 135(64) 383(68) 185(66)
局所再発(切除不能) 7(3) 6(6) 13(3) 11(5) 13(2) 12(4)
欠測 1(<1) 0 3(1) 0 3(1) 0
転移臓器数
0‒2 122(55) 62(60) 232(55) 130(62) 313(55) 166(59)
≧3 97(44) 41(40) 190(45) 81(38) 250(44) 115(41)
欠測 1(<1) 0 3(1) 0 3(1) 0
転移臓器§
全体 212(96) 97(94) 409(96) 200(95) 550(97) 269(96)
52(24) 22(21) 112(26) 54(26) 169(30) 85(30)
5(2) 6(6) 14(3) 8(4) 17(3) 9(3)
乳房 17(8) 7(7) 26(6) 14(7) 35(6) 18(6)
胸壁 56(25) 15(15) 103(24) 33(16) 132(23) 45(16)
肝臓 62(28) 32(31) 131(31) 61(29) 171(30) 78(28)
120(55) 55(53) 236(56) 119(56) 324(57) 162(58)
リンパ節 169(77) 79(77) 318(75) 157(74) 417(74) 206(73)
その他 46(21) 17(17) 77(18) 34(16) 110(19) 51(18)
本治験で併用した化学療法(interactive voice-response system)
nab-パクリタキセル 63(29) 36(35) 130(31) 74(35) 173(31) 95(34)
他のパクリタキセル製剤 33(15) 11(11) 62(15) 22(10) 82(14) 32(11)
ゲムシタビン+カルボプラチン 124(56) 56(54) 233(55) 115(55) 311(55) 154(55)
同一クラスの術前/術後補助化学療法の治療歴(interactive voice-response system)
あり 46(21) 19(18) 91(21) 45(21) 124(22) 62(22)
なし 174(79) 84(82) 334(79) 166(79) 442(78) 219(78)
術前/術後補助化学療法の治療歴
あり 131(60) 62(60) 256(60) 136(64) 357(63) 181(64)
タキサン系薬剤 107(49) 50(49) 213(50) 115(55) 290(51) 156(56)
プラチナ製剤 13(6) 6(6) 31(7) 17(8) 41(7) 24(9)
アントラサイクリン系薬剤 115(52) 50(49) 227(53) 115(55) 318(56) 155(55)
その他 118(54) 55(53) 236(56) 126(60) 329(58) 169(60)
なし 89(40) 41(40) 169(40) 75(36) 209(37) 100(36)
  • 全例が女性であった。
  • † CPS:PD-L1を発現した細胞数(腫瘍細胞、マクロファージ及びリンパ球)を総腫瘍細胞数で除し、100を乗じた値
  • ‡ 治癒目的の治療完了(例:原発性乳癌の手術日又は術後補助化学療法の最終投与日のいずれか遅い方)から最初の局所又は遠隔での再発までの期間
  • § 乳房、胸壁、リンパ節のカテゴリーには、局所再発も含む

Reprinted from The Lancet, 396. 10265, Cortes J, et al., Pembrolizumab plus chemotherapy versus placebo plus chemotherapy for previously untreated locally recurrent inoperable or metastatic triple-negative breast cancer (KEYNOTE-355): a randomised, placebo-controlled, double-blind, phase 3 clinical trial, 1817‒1828, Copyright(2020), with permission from Elsevier.

有効性

(2019年12月11日データカットオフ)

無増悪生存期間:主要評価項目

PD-L1陽性(CPS≧10)集団を対象とした無増悪生存期間(PFS)中央値は、ペムブロリズマブ/化学療法併用群で9.7ヵ月[95%信頼区間:7.6-11.3]、プラセボ/化学療法併用群で5.6ヵ月[95%信頼区間:5.3-7.5]であった。層別log-rank検定のp値は事前に規定した境界値(多重性調整済みの名目上の有意水準は片側0.00411)を下回り、プラセボ/化学療法併用群に対するペムブロリズマブ/化学療法併用群の優越性が検証された(層別HR=0.65、 95%信頼区間:0.49-0.86、層別log-rank検定、p=0.0012)。
PD-L1陽性(CPS≧1)集団を対象としたPFS中央値は、ペムブロリズマブ/化学療法併用群で7.6ヵ月[95%信頼区間:6.6-8.0]、プラセボ/化学療法併用群で5.6ヵ月[95%信頼区間:5.4-7.4]であった。層別log-rank検定のp値は事前に規定した境界値(多重性調整済みの名目上の有意水準は片側0.00111)を下回らず、プラセボ/化学療法併用群に対するペムブロリズマブ/化学療法併用群の優越性は検証されなかった(層別HR=0.74、95%信頼区間:0.61-0.90、層別log-rank検定、p=0.0014)。
ITT集団を対象としたPFS中央値は、ペムブロリズマブ/化学療法併用群で7.5ヵ月[95%信頼区間:6.3-7.7]、プラセボ/化学療法併用群で5.6ヵ月[95%信頼区間:5.4-7.3]であった。PD-L1陽性(CPS≧1)集団でペムブロリズマブ/化学療法併用群の優越性が検証されなかったため、ITT集団では優越性の検証は行わなかった。

層別因子:治験中の化学療法(タキサン vs. ゲムシタビン/カルボプラチン)、腫瘍PD-L1の発現状況(陽性 vs. 陰性)、術前/術後補助療法での同一クラスの化学療法治療歴(あり vs. なし)

無増悪生存期間

症例数(%)

PD-L1陽性(CPS≧10)集団 PD-L1陽性(CPS≧1)集団 ITT集団
ぺムブロリズマブ/化学療法併用群(n=220) プラセボ/化学療法併用群(n=103) ぺムブロリズマブ/化学療法併用群(n=425) プラセボ/化学療法併用群(n=211) ぺムブロリズマブ/化学療法併用群(n=566) プラセボ/化学療法併用群(n=281)
PFS中央値(月) 9.7
[95%信頼区間:
7.6-11.3]
5.6
[95%信頼区間:
5.3-7.5]
7.6
[95%信頼区間:
6.6-8.0]
5.6
[95%信頼区間:
5.4-7.4]
7.5
[95%信頼区間:
6.3-7.7]
5.6
[95%信頼区間:
5.4-7.3]
p値、層別log-rank検定 0.0012 0.0014 0.0112
HR、層別Cox比例ハザードモデル 0.65
[95%信頼区間:0.49-0.86]
0.74
[95%信頼区間:0.61-0.90]
0.82
[95%信頼区間:0.69-0.97]

層別因子: 治験中の化学療法(タキサン vs. ゲムシタビン/カルボプラチン)、腫瘍PD-L1の発現状況(陽性 vs. 陰性)、術前/術後補助療法での同一クラスの化学療法治療歴(あり vs. なし)

日本人のPD-L1陽性(CPS≧10)集団を対象としたサブグループ解析において、無増悪生存期間(PFS)中央値は、ペムブロリズマブ/化学療法併用群で11.7ヵ月[95%信頼区間:3.7-未到達]、プラセボ/化学療法併用群で5.6ヵ月[95%信頼区間:2.0-9.7]であった(層別HR=0.52、95%信頼区間:0.20-1.34)。
日本人のPD-L1陽性(CPS≧1)集団を対象としたサブグループ解析において、PFS中央値は、ペムブロリズマブ/化学療法併用群で7.6ヵ月[95%信頼区間:5.4-11.7]、プラセボ/化学療法併用群で5.6ヵ月[95%信頼区間:4.7-7.7]であった(層別HR=0.62、95%信頼区間:0.35-1.09)。
日本人のITT集団を対象としたサブグループ解析において、PFS中央値は、ペムブロリズマブ/化学療法併用群で7.7ヵ月[95%信頼区間:5.5-11.7]、プラセボ/化学療法併用群で5.6ヵ月[95%信頼区間:5.3-7.7]であった(層別HR=0.64、95%信頼区間:0.38-1.07)。

無増悪生存期間:サブグループ解析(日本人部分集団)

症例数(%)

PD-L1陽性(CPS≧10)集団 PD-L1陽性(CPS≧1)集団 ITT集団
ぺムブロリズマブ/
化学療法併用群
(n=19)
プラセボ/
化学療法併用群
(n=9)
ぺムブロリズマブ/
化学療法併用群
(n=44)
プラセボ/
化学療法併用群
(n=22)
ぺムブロリズマブ/
化学療法併用群(n=61)
プラセボ/
化学療法併用群
(n=26)
PFS中央値(月) 11.7
[95%信頼区間:
3.7-未到達]
5.6
[95%信頼区間:
2.0-9.7]
7.6
[95%信頼区間:
5.4-11.7]
5.6
[95%信頼区間:
4.7-7.7]
7.7
[95%信頼区間:
5.5-11.7]
5.6
[95%信頼区間:
5.3-7.7]
p値、層別log-rank検定 0.0794 0.0480 0.0416
HR、層別Cox比例ハザードモデル 0.52
[95%信頼区間:0.20-1.34]
0.62
[95%信頼区間:0.35-1.09]
0.64
[95%信頼区間:0.38-1.07]
  • 層別因子:治験中の化学療法(タキサン vs. ゲムシタビン/カルボプラチン)、腫瘍PD-L1の発現状況(陽性 vs. 陰性)、術前/術後補助療法での同一クラスの化学療法治療歴(あり vs. なし)

無増悪生存期間(Kaplan-Meier曲線):PD-L1陽性(CPS≧10)集団

無増悪生存期間(Kaplan-Meier曲線):PD-L1陽性(CPS≧10)集団

Reprinted from The Lancet, 396. 10265, Cortes J, et al., Pembrolizumab plus chemotherapy versus placebo plus chemotherapy for previously untreated locally recurrent inoperable or metastatic triple-negative breast cancer (KEYNOTE-355): a randomised, placebo-controlled, double-blind, phase 3 clinical trial, 1817–1828, Copyright(2020), with permission from Elsevier.

無増悪生存期間のサブグループ解析:PD-L1陽性(CPS≧10)集団

無増悪生存期間のサブグループ解析:PD-L1陽性(CPS≧10)集団

Reprinted from The Lancet, 396. 10265, Cortes J, et al., Pembrolizumab plus chemotherapy versus placebo plus chemotherapy for previously untreated locally recurrent inoperable or metastatic triple-negative breast cancer (KEYNOTE-355): a randomised, placebo-controlled, double-blind, phase 3 clinical trial, 1817–1828, Copyright(2020), with permission from Elsevier.

奏効率及び奏効期間:副次評価項目

PD-L1陽性(CPS≧10)集団を対象とした奏効率(ORR)は、ペムブロリズマブ/化学療法併用群53.2%[95%信頼区間46.4-59.9]、プラセボ/化学療法併用群39.8%[95%信頼区間:30.3-49.9]であった。また、PD-L1陽性(CPS≧10)集団のうち奏効が認められた患者の奏効期間(DoR)の中央値は、ペムブロリズマブ/化学療法併用群19.3ヵ月、 プラセボ/化学療法併用群7.3ヵ月であった。
PD-L1陽性(CPS≧1)集団を対象としたORRは、ペムブロリズマブ/化学療法併用群45.2%[95%信頼区間:40.4-50.0]、プラセボ/化学療法併用群37.9%[95%信頼区間:31.3-44.8]であった。また、PD-L1陽性(CPS≧1)集団のうち奏効が認められた患者のDoRの中央値は、ペムブロリズマブ/化学療法併用群10.1ヵ月、プラセボ/化学療法併用群6.5ヵ月であった。
ITT集団を対象としたORRは、ペムブロリズマブ/化学療法併用群41.0%[95%信頼区間:36.9-45.2]、プラセボ/化学療法併用群35.9%[95%信頼区間:30.3-41.9]であった。また、ITT集団のうち奏効が認められた患者のDoRの中央値は、ペムブロリズマブ/化学療法併用群10.1ヵ月、プラセボ/化学療法併用群6.4ヵ月であった。

ORR/DoR

症例数(%)

PD-L1陽性(CPS≧10)集団 PD-L1陽性(CPS≧1)集団 ITT集団
ぺムブロリズマブ/
化学療法併用群
(n=220)
プラセボ/
化学療法併用群
(n=103)
ぺムブロリズマブ/
化学療法併用群(n=425)
プラセボ/
化学療法併用群
(n=211)
ぺムブロリズマブ/
化学療法併用群(n=566)
プラセボ/
化学療法併用群
(n=281)
奏効率(%) 53.2
[95%信頼区間:
46.4-59.9]
39.8
[95%信頼区間:
30.3-49.9]
45.2
[95%信頼区間:
40.4-50.0]
37.9
[95%信頼区間:
31.3-44.8]
41.0
[95%信頼区間:
36.9-45.2]
35.9
[95%信頼区間:
30.3-41.9]
CR 37(16.8) 13(12.6) 53(12.5) 18( 8.5) 60(10.6) 20(7.1)
PR 80(36.4) 28(27.2) 139(32.7) 62(29.4) 172(30.4) 81(28.8)
DoR中央値(月) 19.3
[範囲:
1.6+-29.8]
7.3
[範囲:
1.5-32.5+]
10.1
[範囲:
1.0+–29.8]
6.5
[範囲:
1.5–32.5+]
10.1
[範囲:
1.0+-29.8]
6.4
[範囲:
1.5-32.5+]

+:最終評価時点までに増悪なし

安全性

(2019年12月11日データカットオフ)

パート1:Safety Run-in(主要評価項目)

有害事象の発現率は100.0%(34/34例)、治験薬の投与中止に至った有害事象の発現率は38.2%(13/34例)であった。

パート1(Safety Run-in)及びパート2(第Ⅲ相試験)併合

副作用の発現率は、ペムブロリズマブ/化学療法併用群96.3%(574/596例)、プラセボ/化学療法併用群95.0%(267/281例)であり、いずれかの群で発現率が5%以上であった副作用及びGrade 3以上の副作用は以下の通りであった。

いずれかの群で5%以上発現した副作用及びGrade 3以上の副作用

症例数(%)

ペムブロリズマブ/化学療法併用群
(n=596) 
プラセボ/化学療法併用群
(n=281) 
全体 Grade 3*2以上 全体 Grade 3*2以上
副作用*1 574(96.3) 407(68.3) 267(95.0) 188(66.9)
  貧血 291(48.8) 98(16.4) 129(45.9) 41(14.6)
  好中球減少症 241(40.4) 174(29.2) 107(38.1) 84(29.9)
  悪心 229(38.4) 115(40.9)
  脱毛症 197(33.1) 94(33.5)
  疲労 164(27.5) 83(29.5)
  好中球数減少 132(22.1) 103(17.3) 74(26.3) 57(20.3)
  アラニンアミノトランスフェラーゼ増加 118(19.8) 34(5.7) 46(16.4) 13(4.6)
  下痢 115(19.3) 45(16.0)
  血小板減少症 114(19.1) 59(9.9) 54(19.2) 31(11.0)
  白血球減少症 113(19.0) 58(9.7) 49(17.4) 30(10.7)
  アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加 111(18.6) 42(14.9)
  嘔吐 111(18.6) 42(14.9)
  白血球数減少 108(18.1) 61(10.2) 54(19.2) 29(10.3)
  食欲減退 97(16.3) 25(8.9)
  発疹 92(15.4) 26(9.3)
  血小板数減少 90(15.1) 36(6.0) 43(15.3) 20(7.1)
  無力症 89(14.9) 37(13.2)
  便秘 80(13.4) 37(13.2)
  甲状腺機能低下症 80(13.4) 8(2.8)
  そう痒症 64(10.7) 26(9.3)
  末梢性ニューロパチー 61(10.2) 32(11.4)
  発熱 58(9.7) 23(8.2)
  末梢性感覚ニューロパチー 55(9.2) 20(7.1)
  関節痛 48(8.1) 23(8.2)
  味覚不全 47(7.9) 12(4.3)
  口内炎 47(7.9) 17(6.0)
  筋肉痛 46(7.7) 21(7.5)
  頭痛 39(6.5) 23(8.2)
  血中アルカリホスファターゼ増加 35(5.9) 12(4.3)
  体重減少 34(5.7) 7(2.5)
  リンパ球数減少 30(5.0) 9(3.2)
  浮動性めまい 14(2.3) 15(5.3)

*1:MedDRA/J v22.1 *2:CTCAE v4.03に基づく評価
空欄:いずれの群でも発現率<5%

重篤な副作用は、ペムブロリズマブ/化学療法併用群105例(17.6%)、プラセボ/化学療法併用群34例(12.1%)であり、主な事象は貧血(それぞれ13例、4例)、血小板減少症(10例、3例)、発熱性好中球減少症(8例、3例)、嘔吐(8例、3例)、肺臓炎(7例、0例)、発熱(6例、3例)、好中球減少症(5例、4例)であった。
副作用による投与中止は、ペムブロリズマブ/化学療法併用群18.6%、プラセボ/化学療法併用群11.0%に認められた。副作用による死亡はペムブロリズマブ/化学療法併用群で2例(肺炎、急性腎障害それぞれ1例)、プラセボ/化学療法併用群で0例であった。
投与中止に至った副作用の事象名、発現例数は論文中に記載なし。DIの安全性情報を参照のこと。

ぺムブロリズマブ/アブラキサン併用例(全症例)で5%以上発現した副作用及びGrade 3以上の副作用

症例数(%)

全症例(n=172) 日本人(n=5)
全体 Grade 3*2以上 全体 Grade 3*2以上
副作用*1 164(95.3) 83(48.3) 5(100.0) 2(40.0)
  脱毛症 89(51.7) 4(2.3) 4(80.0) 0(0.0)
  貧血 53(30.8) 11(6.4) 2(40.0) 0(0.0)
  悪心 53(30.8) 3(1.7) 2(40.0) 0(0.0)
  好中球減少症 50(29.1) 24(14.0) 1(20.0) 0(0.0)
  下痢 46(26.7) 4(2.3) 3(60.0) 0(0.0)
  疲労 41(23.8) 6(3.5) 1(20.0) 0(0.0)
  食欲減退 32(18.6) 2(1.2) 2(40.0) 0(0.0)
  無力症 31(18.0) 3(1.7) 0(0.0) 0(0.0)
  甲状腺機能低下症 30(17.4) 0(0.0) 1(20.0) 0(0.0)
  嘔吐 29(16.9) 3(1.7) 0(0.0) 0(0.0)
  発疹 29(16.9) 3(1.7) 0(0.0) 0(0.0)
  末梢性ニューロパチー 22(12.8) 1(0.6) 0(0.0) 0(0.0)
  そう痒症 22(12.8) 0(0.0) 0(0.0) 0(0.0)
  アラニンアミノトランスフェラーゼ増加 21(12.2) 6(3.5) 1(20.0) 0(0.0)
  アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加 20(11.6) 5(2.9) 1(20.0) 0(0.0)
  筋肉痛 19(11.0) 1(0.6) 1(20.0) 0(0.0)
  末梢性感覚ニューロパチー 19(11.0) 4(2.3) 5(100.0) 1(20.0)
  好中球数減少 18(10.5) 10(5.8) 3(60.0) 1(20.0)
  白血球減少症 15(8.7) 3(1.7) 0(0.0) 0(0.0)
  粘膜の炎症 14(8.1) 2(1.2) 0(0.0) 0(0.0)
  白血球数減少 13(7.6) 2(1.2) 5(100.0) 1(20.0)
  関節痛 13(7.6) 1(0.6) 2(40.0) 0(0.0)
  味覚不全 12(7.0) 0(0.0) 2(40.0) 0(0.0)
  便秘 11(6.4) 0(0.0) 1(20.0) 0(0.0)
  口内炎 10(5.8) 2(1.2) 1(20.0) 0(0.0)
  発熱 10(5.8) 1(0.6) 0(0.0) 0(0.0)
  血中アルカリホスファターゼ増加 9(5.2) 1(0.6) 0(0.0) 0(0.0)

*1:MedDRA v22.1 *2:NCI CTCAE v4.03に基づく評価

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