乳癌

臨床成績 「警告・禁忌を含む注意事項等情報」等は最新の電子添文をご参照ください。

国際共同第Ⅲ相試験:IMpassion130試験1,2)

  • 1) 未治療の転移性トリプルネガティブ乳癌患者を対象とした,アテゾリズマブ(抗PD-L1抗体)とnab-paclitaxelの併用をプラセボとnab-paclitaxelの併用と比較するランダム化プラセボ対照国際多施設共同盲検第Ⅲ相試験, 社内資料; 承認時評価資料
  • 2) Schmid, P. et al.: N. Engl. J. Med., 2018, 379(22), 2108-2121; 承認時評価資料

試験概要

転移・再発乳癌に対する全身性の前治療歴のない転移・再発又は局所進行性のホルモン受容体陰性かつHER2 陰性乳癌患者を対象として、アブラキサン/アテゾリズマブ併用療法の有効性及び安全性をアブラキサン/プラセボ併用療法を対照として評価しました。

試験デザイン 多施設共同無作為化二重盲検比較第Ⅲ相試験

試験デザイン 多施設共同無作為化二重盲検比較第Ⅲ相試験

評価項目

  • 1)有効性評価項目
    • 主要評価項目:無増悪生存期間(PFS):ITT集団/PD-L1陽性集団、全生存期間(OS):ITT集団/PD-L1陽性集団
    • 副次評価項目:奏効率及び奏効期間、GHS/HRQoLのTTD(EORTC QLQ-C30の項目29及び30):ITT集団/PD-L1陽性集団
  • 2)安全性評価項目:有害事象等

評価基準

  • 奏効率:RECIST v1.1に従う
  • 安全性:CTCAE v4.0-JCOGに従う

解析方法

本試験の検定手順を下図のように規定しました。 本試験では、試験全体の第1種の過誤確率を5%に制御するために、PFSとOSにそれぞれ0.01と0.04を割り当てました。OSの中間解析は2回実施するものとし、1回目はPFSの主要解析時に実施することとしました。OSの中間解析時の有意水準はOS(ITT)の比較に割り当てられた有意水準に基づいてα消費関数を用いて導出することとしました。PFSと奏効率に関して優越性が検証できた場合には、各評価項目及び評価集団に割り当てられた有意水準を全生存期間に再利用することとしました。
PFS、及びOSは層別log-rank検定を用いて仮説検定を実施し、奏効率はCochran-Mantel-Haenszel検定を用いて仮説検定を実施しました。両群のイベント発生までの期間(PFS、OS、奏効期間、PRO評価によるTTD)の分布及び中央値をKaplan-Meier法により推定し、Kaplan-Meier曲線を作成しました。Brookmeyer-Crowley法を用いて、各投与群のイベント発生までの期間の中央値の95%信頼区間(CI)を算出しました。奏効率の差を算出し、その95%CIを二項分布の正規近似を用いて算出しました。奏効率の推定値とClopper-Pearson法による95%CIを投与群別に算出しました。また、層別Cox比例ハザードモデルを用いて、病勢進行又は死亡のハザード比(以下、HR)を推定し、その95%CIを算出しました。なお、ITT集団の層別因子は、ランダム化時の割付因子と同一である肝転移(あり又はなし)、タキサン系薬剤による前治療歴(あり又はなし)、腫瘍のPD-L1発現状況(IC0又はIC1/2/3)とし、PD-L1陽性集団については肝転移の有無とタキサン系薬剤による前治療歴の有無としました。

層別因子:ベースライン時の肝転移の有無、タキサンによる前治療歴の有無、腫瘍のPD-L1発現状況の有無(PD-L1陽性が腫瘍浸潤免疫細胞の1%以上に認められると定義)

解析方法

PD-L1発現のIHCスコアリングの基準

ICにおけるPD-L1発現
ICスコア PD-L1発現細胞の割合注)
IC3 10%以上
IC2 5%以上10%未満
IC1 1%以上5%未満
IC0 1%未満
  • 注)PD-L1発現強度は、SP142抗体(Ventana)を用いた免疫組織化学染色(IHC)法により、PD-L1を発現している腫瘍浸潤免疫細胞(IC)の割合を算出し、その割合によってスコア化した。
  • IC(Tumor-infiltrating immune cell): 腫瘍浸潤免疫細胞(腫瘍組織内及び腫瘍組織の辺縁部に局在する免疫細胞)

症例の内訳

アブラキサン/アテゾリズマブ群 アブラキサン/プラセボ群
全症例 日本人 全症例 日本人
登録例数 451 34 451 31
有効性評価対象例数 451 34 451 31
安全性評価対象例数 452 34 438 30
  • *ITT集団

治療の実施状況(アブラキサン)

アブラキサン/アテゾリズマブ群 アブラキサン/プラセボ群
全症例 日本人 全症例 日本人
投与期間 中央値
[範囲]
22.1週
[0-137]
28.6週
[5-81]
21.8週
[0-103]
18.6週
[6-75]
累積投与量 中央値
[範囲]
1725.0mg/m2
[100-7425]
1800.0mg/m2
[500-6100]
1500.0mg/m2
[98-7500]
1262.5mg/m2
[500-5300]
相対用量強度 中央値
[範囲]
95.8%
[8-107]
100.0%
[54-100]
100.0%
[27-100]
99.3%
[61-100]

患者特性(有効性解析対象)

症例数(%)

背景因子 ITT集団 PD-L1陽性集団
アブラキサン/
アテゾリズマブ群(n=451)
アブラキサン/
プラセボ群
(n=451)
アブラキサン/
アテゾリズマブ群(n=185)
アブラキサン/
プラセボ群(n=184)
年齢(歳) 中央値[範囲] 55.0[20–82] 56.0[26–86] 53.0[26–82] 53.0[28–85]
18~40歳 63(14.0) 51(11.3) 31(16.8) 24(13.0)
41~64歳 284(63.0) 285(63.2) 111(60.0) 117(63.6)
65歳以上 104(23.1) 115(25.5) 43(23.2) 43(23.4)
性別 男性 3(0.7) 1(0.2) 1(0.5) 0
女性 448(99.3) 450(99.8) 184(99.5) 184(100)
人種 白人 308(68.3) 301(66.7) 125(67.6) 129(70.1)
アジア人 85(18.8) 76(16.9) 38(20.5) 28(15.2)
黒人又はアフリカ系アメリカ人 26(5.8) 33(7.3) 9(4.9) 14(7.6)
アメリカインディアン又はアラスカ先住民 17(3.8) 23(5.1) 8(4.3) 9(4.9)
不明 12(2.7) 15(3.3) 5(2.7) 4(2.2)
複数人種の混血 2(0.4) 3(0.7)
ハワイ先住民又はその他太平洋島民 1(0.2) 0
ベースライン時の体重(kg) n=444 n=442 n=182 n=181
中央値[範囲] 68.05
[37.9–162.0]
67.25
[38.4–189.6]
68.15
[37.9–133.8]
66.40
[39.4–145.6]
ベースライン時のECOG PS n=450 n=450 n=185 n=184
0 256(56.9) 270(60.0) 107(57.8) 112(60.9)
1 193(42.9) 179(39.8) 77(41.6) 72(39.1)
2 1(0.2) 1(0.2) 1(0.5) 0
肝転移(CRF) あり 126(27.9) 118(26.2) 44(23.8) 39(21.2)
なし 325(72.1) 333(73.8) 141(76.2) 145(78.8)
タキサン前治療歴(CRF) あり 231(51.2) 230(51.0) 96(51.9) 94(51.1)
なし 220(48.8) 221(49.0) 89(48.1) 90(48.9)
ICスコア IC0 266(59.0) 267(59.2)
IC1/2/3 185(41.0) 184(40.8) 185(100) 184(100)
  • −:not applicable
    ICスコア:腫瘍浸潤免疫細胞のPD-L1発現状況(又はその評価結果)

無増悪生存期間(ITT集団):主要評価項目

ITT集団を対象とした無増悪生存期間(PFS)中央値はアブラキサン/アテゾリズマブ群で7.16ヵ月[95%信頼区間:5.59-7.46]、アブラキサン/プラセボ群で5.49ヵ月[95%信頼区間:5.32-5.59]でした。両側有意水準0.005でアブラキサン/プラセボ群に対するアブラキサン+アテゾリズマブ群の優越性が検証されました(層別HR=0.80、95%信頼区間:0.69-0.92、層別log-rank検定、p=0.0025)。

無増悪生存期間(Kaplan-Meier曲線):ITT集団

無増悪生存期間(Kaplan-Meier曲線):ITT集団

アブラキサン/アテゾリズマブ群
(n=451)
アブラキサン/プラセボ群
(n=451)
イベント数(%) 358(79.4) 378(83.8)
PFS中央値(月) 7.16
[95%信頼区間:5.59-7.46]
5.49
[95%信頼区間:5.32-5.59]
p値、層別log-rank検定 0.0025
HR、層別Cox回帰 0.80
[95%信頼区間:0.69-0.92]
1年PFS率(%) 23.73
[95%信頼区間:19.55-27.92]
17.68
[95%信頼区間:13.96-21.40]
  • 層別因子:ベースライン時の肝転移の有無、タキサンによる前治療歴の有無、腫瘍のPD-L1発現状況の有無(PD-L1陽性が腫瘍浸潤免疫細胞の1%以上に認められると定義)

無増悪生存期間(PD-L1集団):主要評価項目

PD-L1を発現した有効性解析対象集団(PD-L1陽性集団)において、PFS中央値はアブラキサン/アテゾリズマブ群で7.46ヵ月[95%信頼区間:6.70-9.23]、アブラキサン/プラセボ群で4.96ヵ月[95%信頼区間:3.81-5.55]でした。両側有意水準0.005でアブラキサン/プラセボ群に対するアブラキサン/アテゾリズマブ群の優越性が検証されました(層別HR=0.62、95%信頼区間:0.49-0.78、層別log-rank検定、p<0.0001)。

無増悪生存期間(Kaplan-Meier曲線):PD-L1陽性集団

無増悪生存期間(Kaplan-Meier曲線):PD-L1陽性集団

アブラキサン/アテゾリズマブ群
(n=185)
アブラキサン/プラセボ群
(n=184)
イベント数(%) 138(74.6) 157(85.3)
PFS中央値(月) 7.46
[ 95%信頼区間:6.70-9.23]
4.96
[95%信頼区間:3.81-5.55]
p値、層別log-rank検定 <0.0001
HR、層別Cox回帰 0.62
[95%信頼区間:0.49-0.78]
1年PFS率(%) 29.14
[95%信頼区間:22.19-36.10]
16.37
[95%信頼区間:10.78-21.97]
  • 層別因子:ベースライン時の肝転移の有無、タキサンによる前治療歴の有無、腫瘍のPD-L1発現状況の有無(PD-L1陽性が腫瘍浸潤免疫細胞の1%以上に認められると定義)

全生存期間(ITT集団):主要評価項目[第1回中間解析]

全生存期間(OS)については計3回の解析(中間解析2回、最終解析1回)が実施される予定であり、第1回中間解析におけるITT集団を対象としたOS中央値はアブラキサン/アテゾリズマブ群で21.26ヵ月[95%信頼区間:17.25-23.43]、アブラキサン/プラセボ群で17.58ヵ月[95%信頼区間:15.93-20.01]でした。両側有意水準0.0065でアブラキサン/プラセボ群に対するアブラキサン/アテゾリズマブ群で有意な延長は認められませんでした(層別HR=0.84、95%信頼区間:0.69-1.02、層別log-rank検定、p=0.084)。

全生存期間(Kaplan-Meier曲線):ITT集団

全生存期間(Kaplan-Meier曲線):ITT集団

アブラキサン/アテゾリズマブ群
(n=451)
アブラキサン/プラセボ群
(n=451)
イベント数(%) 181(40.1%) 208(46.1%)
OS中央値(月) 21.26
[95%信頼区間:17.25-23.43]
17.58
[95%信頼区間:15.93-20.01]
p値、層別log-rank検定 0.084
HR、層別Cox回帰 0.84
[95%信頼区間:0.69-1.02]
  • 層別因子:ベースライン時の肝転移の有無、タキサンによる前治療歴の有無、腫瘍のPD-L1発現状況の有無(PD-L1陽性が腫瘍浸潤免疫細胞の1%以上に認められると定義)

全生存期間(PD-L1陽性集団):主要評価項目[第1回中間解析]

PD-L1陽性集団ではOS中央値はアブラキサン/アテゾリズマブ群で25.03ヵ月[95%信頼区間:22.60-評価不能]、アブラキサン/プラセボ群で15.47ヵ月[95%信頼区間:13.14-19.35]であり、アブラキサン/プラセボ群に対するアブラキサン/アテゾリズマブ群の層別HRが0.62[95%信頼区間:0.45-0.86]でした。なお、ITT集団のOSの検定のp値が両側有意水準を下回った場合に限りPD-L1陽性集団のOSの検定を検証的な位置付けで実施する計画であったため、正式な検定は実施されませんでした。

全生存期間(Kaplan-Meier曲線):PD-L1陽性集団

全生存期間(Kaplan-Meier曲線):PD-L1陽性集団

アブラキサン/アテゾリズマブ群
(n=185)
アブラキサン/プラセボ群
(n=184)
イベント数(%) 64(34.6) 88(47.8)
OS中央値(月) 25.03
[95%信頼区間:22.60-評価不能
15.47
[95%信頼区間:13.14-19.35]
p値、層別log-rank検定 0.0035(探索的評価)
HR、層別Cox回帰 0.62
[95%信頼区間:0.45-0.86]
  • 層別因子:ベースライン時の肝転移の有無、タキサンによる前治療歴の有無、腫瘍のPD-L1発現状況の有無(PD-L1陽性が腫瘍浸潤免疫細胞の1%以上に認められると定義)

奏効率及び奏効期間(ITT集団):副次評価項目

ITT集団のうち、奏効率(ORR)が評価可能な集団でのORRはアブラキサン/アテゾリズマブ群で56.0%[95%信頼区間:51.28-60.64]、アブラキサン/プラセボ群で45.9%[95%信頼区間:41.20-50.61]でした。両側有意水準0.001でアブラキサン/プラセボ群に対しアブラキサン/アテゾリズマブ群の奏効率の優越性は認められませんでした(CMH検定p=0.0021、両群間の奏効率の差=10.12%[95%信頼区間:3.40-16.84])。
ITT集団のうち、奏効期間(DoR)が評価可能な集団でのDoRの中央値はアブラキサン/アテゾリズマブ群で7.39ヵ月[95%信頼区間:6.90-9.00]、アブラキサン/プラセボ群で5.62ヵ月[95%信頼区間:5.52- 6.93]でした。アブラキサン/プラセボ群に対するアブラキサン/アテゾリズマブ群の奏効期間の非層別HRは0.78ヵ月[95%信頼区間:0.63-0.98]でした。

ORR/DoR:ITT集団

アブラキサン/アテゾリズマブ群
(n=450)
アブラキサン/プラセボ群
(n=449)
奏効率 56.0% 45.9%
CR 32(7.1%) 7(1.6%)
PR 220(48.9%) 199(44.3%)
SD 113(25.1%) 119(26.5%)
PD 69(15.3%) 104(23.2%)

2018年4月17日データカットオフ時点

奏効率及び奏効期間(PD-L1集団):副次評価項目

PD-L1陽性集団のうち、ORRが評価可能な集団でのORRはアブラキサン/アテゾリズマブ群で58.9%[95%信頼区間:51.46-66.08]、アブラキサン/プラセボ群で42.6%[95%信頼区間:35.36-50.13]でした。両側有意水準0.001でアブラキサン/プラセボ群に対しアブラキサン/アテゾリズマブ群の奏効率の優越性は認められませんでした(CMH検定p=0.0016、両群間の奏効率の差は16.30%[95%信頼区間:5.67-26.92])。
PD-L1陽性集団のうち、DoRが評価可能な集団でのDoRの中央値はアブラキサン/アテゾリズマブ群で8.48ヵ月[95%信頼区間:7.33-9.66]、アブラキサン/プラセボ群で5.49ヵ月[95%信頼区間:3.71-7.13]でした。アブラキサン/プラセボ群に対するアブラキサン/アテゾリズマブ群の奏効期間の非層別HRは0.60ヵ月[95%信頼区間:0.43-0.86]でした。

ORR/DoR:PD-L1陽性集団

アブラキサン/アテゾリズマブ群
(n=185)
アブラキサン/プラセボ群
(n=183)
奏効率 58.9% 42.6%
CR 19(10.3%) 2(1.1%)
PR 90(48.6%) 76(41.5%)
SD 38(20.5%) 49(26.8%)
PD 31(16.8%) 46(25.1%)

2018年4月17日データカットオフ時点

日本人部分集団解析

無増悪生存期間(ITT集団):サブグループ解析
国内のITT集団におけるPFS中央値は、アブラキサン/アテゾリズマブ群7.36ヵ月[95%信頼区間:5.39-10.84]、アブラキサン/プラセボ群4.63ヵ月[95%信頼区間:3.71-7.20]でした(層別HR0.47[95%信頼区間:0.25-0.90])。

PFS:国内のITT集団

アブラキサン/アテゾリズマブ群
(n=34)
アブラキサン/プラセボ群
(n=31)
イベント数(%) 26(76.5%) 28(90.3%)
PFS中央値(95%信頼区間) 7.36ヵ月(5.39-10.84) 4.63ヵ月(3.71-7.20)
層別HR(95%信頼区間) 0.47(0.25-0.90)
1年生存割合(95%信頼区間) 21.88(7.67-36.08) 13.33(1.17-25.50)
  • 層別因子:ベースライン時の肝転移の有無、タキサンによる前治療歴の有無、腫瘍のPD-L1発現状況の有無(PD-L1陽性が腫瘍浸潤免疫細胞の1%以上に認められると定義)

無増悪生存期間(PFS):PD-L1陽性集団:サブグループ解析
国内のPD-L1陽性集団におけるPFS中央値は、アブラキサン/アテゾリズマブ群10.84ヵ月[95%信頼区間:5.62-10.91]、アブラキサン/プラセボ群3.84ヵ月[95%信頼区間:3.25-5.49]でした(層別HR0.04[95%信頼区間:<0.01-0.35])。

PFS:国内のPD-L1陽性集団

アブラキサン/アテゾリズマブ群
(n=12)
アブラキサン/プラセボ群
(n=13)
イベント数(%) 9(75.0%) 13(100%)
PFS中央値(95%信頼区間) 10.84ヵ月(5.62-10.91) 3.84ヵ月(3.25-5.49)
層別HR(95%信頼区間) 0.04(<0.01-0.35)
1年生存割合(95%信頼区間) 25.00(0.50-49.50) 推定不能
  • 層別因子:ベースライン時の肝転移の有無、タキサンによる前治療歴の有無、腫瘍のPD-L1発現状況の有無(PD-L1陽性が腫瘍浸潤免疫細胞の1%以上に認められると定義)

全生存期間(OS):ITT集団[第1回中間解析]:サブグループ解析
国内のITT集団におけるOS中央値は、アブラキサン/アテゾリズマブ群で推定不能、アブラキサン/プラセボ群16.82ヵ月[95%信頼区間:13.27-推定不能]でした(層別HR0.44[95%信頼区間:0.16-1.24])。

OS:国内のITT集団

アブラキサン/アテゾリズマブ群
(n=34)
アブラキサン/プラセボ群
(n=31)
イベント数(%) 6(17.6%) 10(32.3%)
OS中央値(95%信頼区間) 推定不能 16.82ヵ月(13.27-推定不能)
層別HR(95%信頼区間) 0.44(0.16-1.24)
  • 層別因子:ベースライン時の肝転移の有無、タキサンによる前治療歴の有無、腫瘍のPD-L1発現状況の有無(PD-L1陽性が腫瘍浸潤免疫細胞の1%以上に認められると定義)

全生存期間(OS):PD-L1陽性集団[第1回中間解析]:サブグループ解析
国内のPD-L1陽性集団におけるOS中央値は、アブラキサン/アテゾリズマブ群で推定不能、アブラキサン/プラセボ群で13.27ヵ月[95%信頼区間:11.56-13.31]でした(層別HR0.12[95%信頼区間:0.01-0.99])。

OS:国内のPD-L1陽性集団

アブラキサン/アテゾリズマブ群
(n=12)
アブラキサン/プラセボ群
(n=13)
イベント数(%) 1(8.3%) 6(46.2%)
OS中央値(95%信頼区間) 推定不能 13.27ヵ月(11.56-13.31)
層別HR(95%信頼区間) 0.12(0.01-0.99)
  • 層別因子:ベースライン時の肝転移の有無、タキサンによる前治療歴の有無、腫瘍のPD-L1発現状況の有無(PD-L1陽性が腫瘍浸潤免疫細胞の1%以上に認められると定義)

安全性(副作用、有害事象)

国際共同第Ⅲ相試験(IMpassion130試験)における副作用の発現率は、アブラキサン/アテゾリズマブ群96.5%(436/452例)、アブラキサン/プラセボ群93.6%(410/438例)であり、いずれかの群で発現率が10%以上であった副作用は以下のとおりでした。

安全性の結果概要

症例数(%)

アブラキサン/アテゾリズマブ群 アブラキサン/プラセボ群
安全性解析対象集団
(n=452)
安全性解析対象集団の
国内症例
(n=34)
安全性解析対象集団
(n=438)
安全性解析対象集団の
国内症例
(n=30)
因果関係 問わない 否定できない 問わない 否定できない 問わない 否定できない 問わない 否定できない
事象 449( 99.3) 436( 96.5) 34(100.0) 34(100.0) 429( 97.9) 410( 93.6) 30(100.0) 30(100.0)
Grade 3以上の事象 220( 48.7) 179( 39.6) 13( 38.2) 12( 35.3) 185( 42.2) 132( 30.1) 12( 40.0) 11( 36.7)
死亡に至った事象 6( 1.3) 3( 0.7) 0 0 3( 0.7) 1( 0.2) 0 0
重篤な事象 103( 22.8) 56( 12.4) 4( 11.8) 3( 8.8) 80( 18.3) 32( 7.3) 3( 10.0) 2( 6.7)
投与中止に至った事象 72( 15.9) 65( 14.4) 2( 5.9) 2( 5.9) 36( 8.2) 35( 8.0) 0 0
いずれかの薬剤の休薬又は
減量に至った有害事象
212( 46.9) 182( 40.3) 22( 64.7) 177( 40.4) 130(29.7) 17( 56.7)

国際共同第Ⅲ相試験(IMpassion130試験)における有害事象発現状況一覧(いずれかの群で発現率10%以上)

症例数(%)

安全性解析対象集団 アブラキサン/アテゾリズマブ群
(n=452)
アブラキサン/プラセボ群
(n=438)
全Grade Grade 3*2以上 全Grade Grade 3*2以上
有害事象*1 449(99.3) 223(49.3) 429(97.9) 186(42.5)
脱毛症 255(56.4) 3(0.7) 252(57.5) 1(0.2)
疲労 211(46.7) 18(4.0) 196(44.7) 15(3.4)
悪心 208(46.0) 5(1.1) 167(38.1) 8(1.8)
下痢 147(32.5) 6(1.3) 150(34.2) 9(2.1)
貧血 125(27.7) 13(2.9) 115(26.3) 13(3.0)
便秘 113(25.0) 3(0.7) 108(24.7) 1(0.2)
咳嗽 112(24.8) 0 83(18.9) 0
頭痛 105(23.2) 2(0.4) 96(21.9) 4(0.9)
末梢性ニューロパチー 98(21.7) 25(5.5) 97(22.1) 12(2.7)
好中球減少症 94(20.8) 37(8.2) 67(15.3) 36(8.2)
食欲減退 91(20.1) 3(0.7) 79(18.0) 3(0.7)
嘔吐 88(19.5) 4(0.9) 74(16.9) 5(1.1)
発熱 85(18.8) 3(0.7) 47(10.7) 0
関節痛 81(17.9) 1(0.2) 70(16.0) 1(0.2)
発疹 78(17.3) 2(0.4) 72(16.4) 2(0.5)
呼吸困難 72(15.9) 4(0.9) 64(14.6) 3(0.7)
末梢性感覚ニューロパチー 72(15.9) 9(2.0) 52(11.9) 8(1.8)
背部痛 69(15.3) 6(1.3) 58(13.2) 2(0.5)
末梢性浮腫 66(14.6) 1(0.2) 68(15.5) 6(1.4)
筋肉痛 64(14.2) 2(0.4) 67(15.3) 3(0.7)
浮動性めまい 63(13.9) 0 47(10.7) 0
味覚異常 62(13.7) 0 60(13.7) 0
そう痒症 62(13.7) 0 45(10.3) 0
甲状腺機能低下症 62(13.7) 0 15(3.4) 0
好中球数減少 57(12.6) 21(4.6) 48(11.0) 15(3.4)
無力症 56(12.4) 2(0.4) 50(11.4) 4(0.9)
尿路感染 53(11.7) 4(0.9) 46(10.5) 2(0.5)
不眠症 51(11.3) 0 51(11.6) 3(0.7)
四肢痛 49(10.8) 2(0.4) 43(9.8) 1(0.2)
上咽頭炎 49(10.8) 0 37(8.4) 0
上気道感染 48(10.6) 5(1.1) 40(9.1) 0
アラニンアミノトランスフェラーゼ増加 47(10.4) 8(1.8) 40(9.1) 5(1.1)
腹痛 46(10.2) 2(0.4) 53(12.1) 1(0.2)

社内集計

  • *1:MedDRA/J v21.0
  • *2:CTCAE v4.0-JCOGに基づく評価

重篤な副作用はアブラキサン/アテゾリズマブ群56例(12.4%)、アブラキサン/プラセボ群32例(7.3%)で発現し、主な事象は肺炎(それぞれ5例、2例)、発熱(1例、2例)、呼吸困難(4例、1例)、発熱性好中球減少症(4例、1例)、蜂巣炎(3例、1例)、大腸炎(3例、1例)、悪心(2例、3例)、下痢(1例、3例)でした。
副作用による投与中止はアブラキサン/アテゾリズマブ群65例(14.4%)、アブラキサン/プラセボ群35例(8.0%)であり、主な事象は末梢性ニューロパチー(それぞれ20例、6例)、末梢性感覚ニューロパチー(9例、8例)でした。副作用による死亡はアブラキサン/アテゾリズマブ群で自己免疫性肝炎、粘膜の炎症、敗血症性ショックが各1例(0.2%)、アブラキサン/プラセボ群で肝不全1例(0.2%)でした。

大鵬薬品