特に注意すべき副作用は?
下記にあげたのは、併用治療を続けるうえで注意が必要な副作用です。特に、ペムブロリズマブなどの免疫チェックポイント阻害薬による治療では、免疫がはたらき過ぎることによる副作用があらわれる可能性があります。がん治療の副作用と気づきにくいものもありますので、どのような症状があらわれるか確認しておきましょう。
特に注意すべき副作用
肝機能障害、肝炎、硬化性胆管炎
自覚症状はほとんどなく、多くの場合、検査値の異常によって見つかります。症状が進行すれば命にかかわることがありますので、注意が必要です。
このような症状があらわれたら、すぐに、担当の医師、看護師または薬剤師に連絡しましょう。
- 疲れやすい、だるい
- 発疹
- 発熱
- かゆみ
- 白眼や皮膚が黄色くなる(黄疸)
- 吐き気・嘔吐
- 食欲不振
- 腹痛
- ※初期の頃は無症状ですが、上記のような症状で見つかることもあります。
特に注意すべき副作用
内分泌障害
からだのバランスを保つホルモンを分泌する器官(甲状腺、下垂体、副腎など)に障害が起こることがあります。気力の低下など、精神的な症状が出る場合がありますので、症状を見逃さないためにも、家族にこうした症状が起こる可能性があることを伝えておきましょう。
甲状腺機能障害
からだの新陳代謝を高めるホルモンを作る甲状腺(内分泌器官)に障害が起こることがあります。それにより、血液中の甲状腺ホルモン値が上昇したり、あるいは低下することで、下記のような症状があらわれます。
このような症状があらわれたら、すぐに、担当の医師、看護師または薬剤師に連絡しましょう。
- <甲状腺ホルモン値が上昇することであらわれる症状>
- 食事の量にかかわらない体重の減少
- 脈拍の乱れ
- 発汗
- ふるえ
- <甲状腺ホルモン値が低下することであらわれる症状>
- 疲れやすい
- おっくう・めんどう
- 食事の量にかかわらない体重の増加
- 声がかすれる
- 顔や脚のむくみ
- さむがり
下垂体機能障害*1
さまざまなホルモンの働きをコントロールする脳の下垂体に障害が起こり、下垂体ホルモンが低下することがあります。下垂体ホルモンが低下すると、下記のような症状があらわれます。
このような症状があらわれたら、すぐに、担当の医師、看護師または薬剤師に連絡しましょう。
- 頭痛
- 疲れやすい
- ものが見えにくい
- 口の中やのどがかわきやすい
- 月経がない
- 乳汁分泌
- 多飲
- トイレが近い
- *1あらわれる頻度は低い(1%)ですが、注意してほしい副作用のため記載しています。
副腎機能障害*2
副腎由来のホルモンが低下し、さまざまな症状が出ることがあります。急性の場合は意識がうすれることがありますので、注意が必要です。
このような症状があらわれたら、すぐに、担当の医師、看護師または薬剤師に連絡しましょう。
- 体のだるさ
- 食欲不振
- 意識がうすれる
- むかむかする
- 吐き気・嘔吐
- 血圧の低下
- 無気力
- 眠気
- 精神異常(不安など)
- 発熱
- 色素沈着(爪の先や関節などが黒ずむ)
- *2肺がん患者さんを対象としたアブラキサンとカルボプラチン、ペムブロリズマブ併用治療の臨床試験では認められませんでしたが、注意してほしい副作用のため記載しています。
特に注意すべき副作用
大腸炎・重度の下痢*
頻度は高くありませんが、大腸の粘膜に炎症が起こって出血したり、重度の下痢があらわれることがあります。症状が進行すると命にかかわることもあるため、1日4回以上の排便がある場合は注意が必要です。
このような症状があらわれたら、すぐに、担当の医師、看護師または薬剤師に連絡しましょう。
- 下痢(軟便)あるいは排便回数が増えた
- ネバネバした便や血便
- 刺すような腹の痛み
- 吐き気・嘔吐
- *あらわれる頻度は低い(大腸炎2%、重度の下痢4%)ですが、注意してほしい副作用のため記載しています。
特に注意すべき副作用
間質性肺疾患
肺の間質という部分に炎症が起こり、肺の機能が低下することがあります。頻度は高くありませんが、進行すると呼吸がしにくくなり、命にかかわることもありますので、注意が必要です。
このような症状があらわれたら、すぐに、担当の医師、看護師または薬剤師に連絡しましょう。
- 痰が出ないせき(空せき)
- 息が苦しい
- 息切れ
- 発熱
ワンポイントアドバイス
- せきや息切れ、発熱など、かぜによく似た症状があらわれます。かぜをひいたと自分で判断しないで、すぐに担当の医師に連絡しましょう。
特に注意すべき副作用
腎機能障害*
腎臓に炎症が生じ、機能が低下することがあります。症状が進行すれば命にかかわることもあり、注意が必要です。初期には症状があらわれないことも多いため、排尿の回数や量、尿の色の変化などにも注意してください。
このような症状があらわれたら、すぐに、担当の医師、看護師または薬剤師に連絡しましょう。
- むくみ
- 下痢
- 発熱・皮疹
- 体重減少
- 関節痛
- わき腹の痛み
- 吐き気・嘔吐
- 尿量の減少
- *あらわれる頻度は低い(4%)ですが、注意してほしい副作用のため記載しています。
特に注意すべき副作用
点滴時の過敏症反応(
infusion
reaction
)
点滴中や点滴直後にアレルギーのような症状があらわれる「点滴時の過敏症反応(infusion reaction)」が起こることがあります。点滴中あるいは点滴後に以下のような症状があらわれた場合には、担当の医師または看護師、薬剤師に連絡してください。
このような症状があらわれたら、すぐに、担当の医師、看護師または薬剤師に連絡しましょう。
- 皮膚のかゆみ
- 胸がどきどきする
- じんましん
- 意識がうすれる
- 声がかすれる
- めまい・ふらつき
- くしゃみが出る
- 頭痛
- のどのかゆみ
- 血圧の低下
- 息苦しい
- 下痢・腹痛
- ※点滴終了後、1~2時間以内に症状があらわれる場合もあるので、注意してください。
特に注意すべき副作用
神経障害(ギラン・バレー症候群*など)
手足のしびれや痛みが生じることがあります。この場合、両側の手や足に力が入らなくなり、しびれ感が出た後、急速に全身に広がり進行します。物が二重に見えたり、呼吸が苦しくなることもあり、注意が必要です。
このような症状があらわれたら、すぐに、担当の医師、看護師または薬剤師に連絡しましょう。
- 手足に力が入らなくなる
- 手足のしびれや痛み
- 食べ物がのみ込みにくい
- 呼吸が苦しい
- *肺がん患者さんを対象としたアブラキサンとカルボプラチン、ペムブロリズマブ併用治療の臨床試験では認められませんでしたが、注意してほしい副作用のため記載しています。
特に注意すべき副作用
重度の皮膚障害*
まれに重度の皮膚障害があらわれることがあります。具体的には、体中が赤く腫れたり、発疹や水ぶくれ、ひどい口内炎があらわれます。また、まぶたや眼の充血、発熱をともなうこともあります。
このような症状があらわれたら、すぐに、担当の医師、看護師または薬剤師に連絡しましょう。
- 全身に赤い斑点や水ぶくれが出る
- ひどい口内炎
- くちびるのただれ
- からだがだるい
- まぶたや眼の充血
- 発熱
- 粘膜のただれ
- *肺がん患者さんを対象としたアブラキサンとカルボプラチン、ペムブロリズマブ併用治療の臨床試験では認められませんでしたが、注意してほしい副作用のため記載しています。
特に注意すべき副作用
1型糖尿病*
膵臓からインスリンが分泌されなくなり、慢性的に血糖値が高くなることがあります。特に急激に血糖値が上昇した場合には命にかかわりますので、緊急の対応が必要です。
このような症状があらわれたら、すぐに、担当の医師、看護師または薬剤師に連絡しましょう。
- 口の中やのどがかわきやすい
- 水分摂取がふだんより多い
- トイレが近い
- 尿量がふだんより多い
- 疲れやすい、だるい
- 発熱
- 吐き気
- 腹痛
- *肺がん患者さんを対象としたアブラキサンとカルボプラチン、ペムブロリズマブ併用治療の臨床試験では認められませんでしたが、注意してほしい副作用のため記載しています。
特に注意すべき副作用
膵炎*
膵臓に炎症が起こることがあります。腹痛や吐き気、背中の痛み、発熱などがあらわれます。
このような症状があらわれたら、すぐに、担当の医師、看護師または薬剤師に連絡しましょう。
- 腹痛
- 吐き気
- 背中が痛い
- 白眼や皮膚が黄色くなる(黄疸)
- 発熱
- *肺がん患者さんを対象としたアブラキサンとカルボプラチン、ペムブロリズマブ併用治療の臨床試験では認められませんでしたが、注意してほしい副作用のため記載しています。
特に注意すべき副作用
筋炎*・横紋筋融解症*
筋肉に炎症が生じる病気(筋炎、横紋筋融解症)が起こり、手足や体幹の筋力が低下することがあります。
このような症状があらわれたら、すぐに、担当の医師、看護師または薬剤師に連絡しましょう。
- 筋肉が痛む
- 発熱
- 尿の色が赤褐色になる
- 手足に力が入らなくなる(立ち上がりにくい)
- *肺がん患者さんを対象としたアブラキサンとカルボプラチン、ペムブロリズマブ併用治療の臨床試験では認められませんでしたが、注意してほしい副作用のため記載しています。
特に注意すべき副作用
重症筋無力症*
まれに筋力が低下する病気が起こることがあります。下記のような症状があらわれますが、「休むことで症状が一時的に回復する」「朝のほうが夕方より症状が軽い」といった特徴があります。
このような症状があらわれたら、すぐに、担当の医師、看護師または薬剤師に連絡しましょう。
- まぶたが垂れ下がる
- 呼吸が苦しい
- 顔の筋肉が動きにくくなる
- ろれつが回らなくなる
- 手足、肩、腰などに力が入らなくなる
- *肺がん患者さんを対象としたアブラキサンとカルボプラチン、ペムブロリズマブ併用治療の臨床試験では認められませんでしたが、注意してほしい副作用のため記載しています。
特に注意すべき副作用
心筋炎*
心筋に炎症が生じる「心筋炎」が起こることがあります。かぜのような症状(発熱、頭痛、せきなど)や消化器の症状(吐き気、下痢など)、呼吸困難などがあらわれます。急性の場合は命にかかわることもありますので、緊急の対応が必要です。
このような症状があらわれたら、すぐに、担当の医師、看護師または薬剤師に連絡しましょう。
- 発熱
- 頭痛
- せき
- 筋肉痛
- 胸の痛み
- 呼吸困難
- 吐き気・嘔吐
- 下痢
- 疲れやすい、だるい
特に注意すべき副作用
脳炎・髄膜炎*
発熱、頭痛、嘔吐、意識障害、けいれん、項部硬直(首の後ろが痛くなり曲げられなくなる)などの症状があらわれることがあります。
このような症状があらわれたら、すぐに、担当の医師、看護師または薬剤師に連絡しましょう。
- 頭痛
- 発熱
- 吐き気・嘔吐
- 意識がうすれる
- けいれん
- うなじがこわばり、首を前に曲げにくい
- *肺がん患者さんを対象としたアブラキサンとカルボプラチン、ペムブロリズマブ併用治療の臨床試験では認められませんでしたが、注意してほしい副作用のため記載しています。
特に注意すべき副作用
重篤な血液障害、血球貪食症候群
頻度は高くありませんが、ペムブロリズマブの副作用として、免疫がはたらきすぎることによる重篤な血液障害などがあらわれることがあります。
このような症状があらわれたら、すぐに、担当の医師、看護師または薬剤師に連絡しましょう。
- <免疫性血小板減少性紫斑病*1が疑われる症状>
- 皮膚にみられる点状や斑状の出血
- 鼻血(鼻かみによる粘膜の出血)
- 歯みがきなどによる口の中の出血
- 月経過多
- など
- <溶血性貧血*1、 赤 芽 球 癆 *1が疑われる症状>
- 手足が冷たい
- 疲労・倦怠感
- 顔色が悪く青白い
- 動悸・息切れ
- めまい・立ちくらみ
- 頭痛
- 白眼や皮膚が黄色くなる(軽い黄疸)
- など
- <血球貪食症候群*1が疑われる症状>
- 発熱
- 貧血
- 出血
- 皮疹
- 肝脾腫 (肝臓・脾臓の腫れ)*2
- リンパ節の腫れ
- など
- *1肺がん患者さんを対象としたアブラキサンとカルボプラチン、ペムブロリズマブ併用治療の臨床試験では認められませんでしたが、注意してほしい副作用のため記載しています。
- *2進行すると、おなかのはりや、おなかを押さえたときに痛みを感じることなどがあります。
特に注意すべき副作用
結核*
結核菌に感染し、結核を発症すると、せきや痰、微熱、倦怠感などの症状があらわれます。また、血痰(血が混じった痰)や体重減少などの症状があらわれることもあります。これらの症状がみられたら、担当の医師、看護師または薬剤師に相談してください。
- *肺がん患者さんを対象としたアブラキサンとカルボプラチン、ペムブロリズマブ併用治療の臨床試験では認められませんでしたが、注意してほしい副作用のため記載しています。
特に注意すべき副作用
ぶどう膜炎*
まれに目の中に炎症が起こることがあります。
このような症状があらわれたら、担当の医師、看護師または薬剤師に相談しましょう。
- かすみがかかったように見える
- まぶしく感じる
- 虫が飛んでいるように見える
- 見えにくい
- *肺がん患者さんを対象としたアブラキサンとカルボプラチン、ペムブロリズマブ併用治療の臨床試験では認められませんでしたが、注意してほしい副作用のため記載しています。
特に注意すべき副作用
黄斑浮腫*
まれに視力の低下やものがゆがんで見えたり(変視)、視野の中に見えない部分があるなどの症状があらわれることがあります。放置しておくと重症となり、元に戻りにくくなるので、早めに対処することが大切です。
このような症状があらわれたら、担当の医師、看護師または薬剤師に相談しましょう。
- 目がかすむ(視力低下)
- 視野の中に見えない部分がある
- 視野の中心がぼやける
- ものがゆがんで見える
- ものが実際より小さくまたは大きく見える
ワンポイントアドバイス
- 目の異常をご自身でチェックできる方法をわたしの情報「目の症状のセルフチェック」でご紹介しています。ご活用ください。
- *肺がん患者さんを対象としたアブラキサンとカルボプラチン、ペムブロリズマブ併用治療の臨床試験では認められませんでしたが、注意してほしい副作用のため記載しています。