知っておきたい、副作用のケア 皮膚の症状を予防しよう

監修: 国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科 山﨑 直也 先生

日常生活からできるセルフケア

日頃からスキンケアを心がけて、皮膚症状の発現や重症化を予防しましょう

皮膚症状の発現や重症化を予防するために、できることを教えてください。

皮膚症状は乾燥や圧力、摩擦などにより、症状があらわれやすくなると考えられています。
これらの刺激から手足の皮膚を守るために、日頃からスキンケアを心がけて、皮膚症状の発現や重症化を予防しましょう。
スキンケアの基本は、日常生活からできるセルフケア「保清・保湿・保護」です。

日常生活からできるセルフケア
3つのポイント
保清 清潔に保つ 保湿 潤いを保つ 保護 刺激を避ける 保清 清潔に保つ 保湿 潤いを保つ 保護 刺激を避ける

日常生活からできる保清(清潔に保つ)の方法について教えてください。

汚れや感染症から皮膚を守ることで、皮膚症状の発現や重症化の予防につながります。
手洗いやシャワーなどで、清潔に保つことを心がけましょう。
保清するときは石けんを使用する前にぬるま湯などで手足を流してから、石けんをよく泡立てて皮膚をこすらずに優しく洗いましょう。

保清のポイント

  • 石けんは低刺激・弱酸性のものを選ぶ
  • 洗う前にぬるま湯で流す
  • 石けんはよく泡立てて、皮膚をこすらずに優しく洗う
  • 十分に洗い流す
  • 水分を拭きとるときは、こすらない

手足の洗い方

① 使用する石けん

添加物の少ない低刺激、弱酸性のものを使用しましょう。
日頃から使用している肌に馴染んだものがあれば、そちらを使用しましょう。

② 石けんの泡立て

よく泡立てて使用しましょう。
最近はポンプ式の泡石けんも増えています。手軽に使えて便利ですので、積極的に活用しましょう。

③ 洗い方のコツ

皮膚を強くこすらず、泡で包み込むように優しく洗いましょう。ナイロンやあかすりタオルなどで強くこすらないようにしましょう。
〈炎症がある場合〉
多少痛みがあっても丁寧に洗って清潔を保つことが大切です。

日常生活からできる保湿(潤いを保つ)の方法について教えてください。

乾燥から皮膚を守ることで、皮膚症状の発現や重症化の予防につながります。
潤いを保つことで、皮膚のバリア機能を高めることができます。保湿剤やハンドクリームを持ち歩いて、少なくとも1日2〜3回は保湿することを心がけましょう。
また、手洗いや入浴後は皮膚の浸透力が高まっているので、保湿剤を塗るのに最適なタイミングです。保湿剤を使用する習慣がない、またはベタつきなどが気になる場合は、入浴時に保湿力の高い入浴剤を使用してみるのも良いでしょう。

保湿のポイント

使用する保湿剤の種類や塗り方が分からない場合は、医師や看護師、薬剤師に相談しましょう。

  • 保湿剤やハンドクリームを持ち歩いて、乾燥を防ぐ
  • 手洗いや入浴後は、すみやかに保湿する(10分以内が目安)
  • 入浴時に保湿力の高い入浴剤を使用するなど、保湿を心がける

保湿剤の種類

保湿剤には様々なタイプがあり、使用感や保湿力に差があります。皮膚の状態や使用感から、あなたにあっているものを選んでみましょう。
どの保湿剤を選んで良いか分からない場合は、医師や看護師、薬剤師に相談しましょう。

保湿剤のタイプと特徴

【出典】Mayba JN, Gooderham MJ.: J Cutan Med Surg. 2018; 22(2): 207-212. を引用改変
一般社団法人 日本がんサポーティブケア学会 Oncodermatology 部会編: がんサバイバーのための皮膚障害セルフケアブック, 小学館, 2022, p.20.

保湿剤の塗り方

① 1回あたりの使用量の目安

軟膏やクリームの場合は指先の関節1つ分の量、ローションの場合は1円玉大の大きさに出した量が両手のひらの面積(足の場合は片足分)に相当します。
指先の関節1つ分の量(約0.5g)を、1FTU(フィンガーチップユニット)と呼びます。

保湿剤の使用量(目安)

②塗り方のコツ

保湿剤をしっかりと取り、たっぷりとのせるように塗りましょう。強くこすりつけると皮膚への刺激になるので、優しく横方向に塗りましょう。
保湿剤を塗った上からティッシュペーパーをあててみて、すぐに落ちてこないくらいの量が目安です。

たっぷりとのせるように
優しく横方向に塗る

ティッシュペーパーが
すぐに落ちてこないくらいの量

日常生活からできる保護(刺激を避ける)の方法について教えてください。

リトゴビの服用であらわれる手足症候群は、手のひらや足の裏などの部分的に圧や力がかかるところに起こりやすいと考えられています。
紫外線や長時間または反復した同じ部位への刺激から皮膚を守ることで、皮膚症状の発現や重症化の予防につながります。日頃から皮膚への刺激を避けるように心がけましょう。

保護のポイント

  • 入浴時は、お風呂やシャワーの温度を上げすぎない(40度以下が目安)
  • 炊事や水仕事をするときは、ゴム手袋などをつける
  • 衣類や靴下は、肌への刺激が少ないものを身につける
  • 靴ズレを避けるために、きつい靴や靴下は履かない
  • 日焼け止めや日傘、帽子などで、季節に関わらず紫外線対策をする

圧や力がかかる部分に症状がでやすい

いつからスキンケアを始めれば良いのか教えてください。

リトゴビによる治療開始が決まったときから、無理のない範囲で継続することが大切です。
治療開始後、早期から皮膚症状があらわれる場合もあるため、治療開始前から無理のない範囲でスキンケアを心がけましょう。

スキンケアの開始時期

スキンケアの方法は、動画でもご紹介しています。ぜひご覧ください。

監修: 国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科 山﨑 直也 先生
国立がん研究センター中央病院 薬剤部 久保 晶子 先生