副作用と対処法

副作用と対処法

  • このパートでは、アブラキサンとアテゾリズマブの併用療法で起こる可能性がある副作用を解説しています。比較的頻度の高い「よくみられる副作用」と、頻度は低いものの、重症化すると命にかかわる可能性がある「特に注意が必要な副作用」の2つに分けて紹介しています。
  • すべての副作用があらわれるわけではなく、発現時期や程度は患者さんによってさまざまです。また、副作用の有無は治療の効果とは関係ありません。
  • あらかじめ予想される副作用を知り、対策を立てておけば、予防したり、症状を軽くしたりすることもできます。また、早めに対処することで、症状が重くなるのを防ぐことができます。
  • 治療はふだんの体調や副作用の状況を確認しながら進めていきます。「治療日記」に毎日の体調や症状、気づいた点などを記入して、受診の際に担当の医師や看護師、薬剤師に確認してもらいましょう。
おかしいなと思ったときは、ためらわずに担当の医師や看護師、薬剤師に連絡しましょう。

起こる可能性のある副作用とその症状

治療中の症状がすべて副作用というわけではありませんが、命にかかわるまれな副作用の初期症状である可能性もあります。自己判断で放置せず、治療日記に記録して、診察時に担当の医師や看護師、薬剤師に確認してもらいましょう。日常生活に支障が出るほど体調が悪くなったときは我慢せず、すぐに相談してください。

起こる可能性のある副作用とその症状

副作用の名称(病名)は、乳がん患者さんを対象としたアブラキサンとアテゾリズマブ併用療法の臨床試験でみられた頻度によって文字の太さと色を変えています。この数字には最終的に治療と関連がないと判断されたケースも含まれます。詳しい頻度は副作用(有害事象)のあらわれる頻度をご覧ください。
赤太字:20%以上赤字:5~20%未満、黒字:5%未満

脱毛 脱毛
目の動きが悪い ギラン・バレー症候群 重症筋無力症
まぶたのむくみ 甲状腺機能障害 重度の皮膚障害
白眼が黄色い(黄疸) 肝機能障害、肝炎 膵炎
目の充血 重度の皮膚障害
見え方の異常 黄斑浮腫 下垂体機能障害 重症筋無力症
まぶたが重い、顔の筋肉が動かしにくくなる 重症筋無力症
めまい、立ちくらみ 貧血 点滴時の過敏症反応
頭痛 点滴時の過敏症反応 脳炎、髄膜炎 下垂体機能障害
意識障害 脳炎、髄膜炎 1型糖尿病
口が渇く、水分摂取量の増加 1型糖尿病 下垂体機能障害
歯ぐきや口内の出血 血小板減少
くしゃみ 点滴時の過敏症反応
声のかすれ 甲状腺機能障害
くちびるのただれ、のどの痛み 重度の皮膚障害
吐き気、嘔吐 肝機能障害、肝炎 点滴時の過敏症反応 副腎機能障害 大腸炎 脳炎、髄膜炎 腎機能障害 膵炎
食欲不振 肝機能障害、肝炎 副腎機能障害 大腸炎
せき 骨髄抑制による感染症 間質性肺疾患
息切れ、呼吸困難 貧血 間質性肺疾患 点滴時の過敏症反応 ギラン・バレー症候群 重症筋無力症
背中の痛み 膵炎
排便回数の増加 下痢 大腸炎、重度の下痢 副腎機能障害
血や粘液が混じった便 大腸炎
水や泥のような便 下痢 副腎機能障害 大腸炎、重度の下痢 腎機能障害
便秘 甲状腺機能障害
腹痛 大腸炎、重度の下痢 副腎機能障害 膵炎 1型糖尿病
トイレが近い 1型糖尿病 下垂体機能障害
尿量の減少、増加 腎機能障害
排尿時の痛み、残尿感、血尿、頻尿 骨髄抑制による感染症
手足の筋力低下 ギラン・バレー症候群 重症筋無力症
手指のふるえ 点滴時の過敏症反応 脳炎、髄膜炎 下垂体機能障害
手足のしびれ、痛み、感覚が鈍くなる 末梢神経障害
発熱 肝機能障害、肝炎 間質性肺疾患 点滴時の過敏症反応 重度の皮膚障害 脳炎、髄膜炎 腎機能障害 筋炎、横紋筋融解症 など
さむけがする 甲状腺機能障害 など
気力の低下 甲状腺機能障害 副腎機能障害
体がだるい、疲れやすい 甲状腺機能障害 肝機能障害、肝炎 副腎機能障害 腎機能障害 1型糖尿病 筋炎、横紋筋融解症 下垂体機能障害
関節や筋肉の痛み 腎機能障害 筋炎、横紋筋融解症
むくみ 腎機能障害
体重の増減 甲状腺機能障害 副腎機能障害 1型糖尿病 筋炎、横紋筋融解症
脈が速くなる 甲状腺機能障害
暑がり、汗を多くかく 甲状腺機能障害
かゆみ 点滴時の過敏症反応
皮膚が黄色くなる 肝機能障害、肝炎 膵炎
発疹 腎機能障害
水ぶくれ、皮膚・粘膜のはがれ・ただれ、関節部分もしくは広範囲にわたる皮膚の赤み 重度の皮膚障害