副作用と対処法【よくみられる副作用】
- このパートでは、比較的よくみられる副作用を紹介しています。
- 日常生活に大きな支障が出て困っている場合は、必ずしも次回の診察まで待つ必要はありません。担当の医師や看護師、薬剤師にご連絡ください。
- なお、「特に注意が必要な副作用」の初期症状として、同じような症状があらわれることがあります。「こんな症状をともなう場合は要注意」という項目に、同様の症状が出る可能性のある副作用と、その解説ページを記載しています。あわせてお読みください。
副作用のあらわれる頻度は、乳がん患者さんを対象としたアブラキサンとペムブロリズマブ併用療法の臨床試験の結果をもとに記載しています。
よくみられる副作用
脱毛
あらわれる頻度
アブラキサンの投与を始めて数週間後くらいから、髪の毛や体毛が抜け始めます。
ワンポイントアドバイスもあわせてご覧ください。
よくみられる副作用
吐き気、嘔吐、食欲不振
嘔 吐 :17%
食欲不振:19%
あらわれる頻度
むかむかしたり、場合によっては吐いてしまうことがあります。食欲がなく、嘔吐が長く続くと命にかかわる場合もあります。
症状が強い、症状が長く続いている、食事や水分がほとんどとれないといった場合は我慢せず、担当の医師や看護師、薬剤師に相談しましょう。また、処方された吐き気止めをのんでも上手くコントロールできない場合は、担当の医師や看護師、薬剤師に相談してください。
「こんな症状をともなう場合は要注意~疲労や吐き気、嘔吐があるとき」、ワンポイントアドバイスもあわせてご覧ください。
よくみられる副作用
骨
髄
抑制
抗がん剤の治療中は骨髄の働きが低下して、白血球(好中球)や赤血球、血小板などの血液の成分が減少します。こうした副作用をまとめて「骨髄抑制」といいます。骨髄抑制は自分では気づきにくいため、定期的に血液検査を行って調べます。
白血球減少「感染症」
好中球減少:29%
あらわれる頻度
白血球(特に好中球)が減少すると、抵抗力が低下して、感染症にかかりやすくなったり、ときには全身の感染症を引き起こすことがあります。
貧血(ヘモグロビン減少)
あらわれる頻度
赤血球中のヘモグロビンは酸素を全身に運ぶ働きをするため、ヘモグロビンが少なくなると酸素が十分にいきわたらなくなり、次のような症状を感じることがあります。重篤な場合は輸血をすることがあります。
こんな症状をともなう場合は要注意
- 手足が冷たい
- 疲労、倦怠感
- 顔色が悪く青白い
- 動悸、息切れ
- めまい、立ちくらみ
血小板減少「出血傾向」
あらわれる頻度
血小板には出血を止める働きがあるため、血小板の数が少なくなると出血しやすくなったり、ちょっとした傷でも出血が止まりにくくなったりします。
こんな症状をともなう場合は要注意
- 内出血(あざ)
- 鼻血(鼻かみによる粘膜の出血)
- 歯みがきなどによる口の中の出血
よくみられる副作用
下痢
あらわれる頻度
腸の粘膜が薬により傷害をうけ、下痢が起こることがあります。下痢が続くと脱水症状になりやすいので、注意が必要です。
激しい下痢、症状が長く続いている、1日の排便回数がふだんよりも4回以上増えたなどの場合は、担当の医師や看護師、薬剤師に相談しましょう。
こんな症状をともなう場合は要注意
- まれに重度の下痢や大腸炎が起こる場合があります。
- 下痢のほかにも、血や粘液が混じった便、刺すようなおなかの痛み、吐き気や嘔吐などがみられたら、すぐに担当の医師や看護師、薬剤師に連絡しましょう。
ワンポイントアドバイスもあわせてご覧ください。
よくみられる副作用
疲労(無力症、倦怠感)
無力症:18%
倦怠感:2%
あらわれる頻度
疲れやすい、だるい、からだが重いといった症状があらわれます。治療が直接関係していることもあれば、下のコラムのように「特に注意が必要な副作用」の初期症状としてあらわれる場合もあります。
こんな症状をともなう場合は要注意
- 疲労や吐き気、嘔吐があるとき
- 疲労や吐き気、嘔吐はがん治療ではしばしばみられる副作用ですが、「特に注意が必要な副作用」の初期症状としてあらわれることもあります。
- 念のため、ほかにも当てはまる症状がないか、確認しておきましょう。
- 疲労や吐き気、嘔吐のほかに
- ・皮膚や白目が黄色くなる(黄疸)、発熱、発疹、かゆみ など:肝機能障害、肝炎、硬化性胆管炎
- ・口やのどの渇き、水分摂取量の増加、吐き気 など:1型糖尿病
- ・食欲不振、血圧の低下、意識がうすれる など:副腎機能障害
よくみられる副作用
そう
痒
症(発疹)
発 疹:17%
あらわれる頻度
皮膚が乾燥してかゆみ(そう痒)が生じることがあります。また、小さな赤い発疹が出る場合もあります。
こんな症状をともなう場合は要注意
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よくみられる副作用
手足のしびれ(
末
梢
神経障害)
あらわれる頻度
手足のしびれ、手足のびりびり感、手足の刺すような痛み、感覚が鈍くなる、ボタンがかけづらいなどの症状があらわれることがあります。
治療を続けていくと、症状が強くなることがあります。症状が強い場合は、治療後も症状が残る場合があります。
こんな症状をともなう場合は要注意
- ごくまれにギラン・バレー症候群と呼ばれる神経障害が起こる可能性があります。両側の手足に力が入らなくなり、しびれ感が出た後、急速に全身に広がって進行します。物が二重に見える、食べ物がのみ込みにくくなる、呼吸が苦しくなるといった症状が起こることもあります。
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よくみられる副作用
関節や筋肉の痛み
筋肉痛:11%
あらわれる頻度
治療の数日後に関節の痛みを感じたり、肩や背中、腰や腕などの筋肉が痛くなることがあります。
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よくみられる副作用
味覚の変化
あらわれる頻度
治療の影響で味覚や嗅覚が変化することがあります。塩味を苦く感じる、甘味を強く感じる、味が感じられないなど、人によって症状はさまざまです。
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よくみられる副作用
便秘
あらわれる頻度
アブラキサンとペムブロリズマブの併用療法のほか、吐き気止めや痛み止めの薬の副作用、運動不足、食欲不振による水分不足などが原因で便秘になることがあります。重症化すると、腸閉塞(腸内の食べ物や水分の流れが悪化して便やガスが出なくなり、激しい腹痛や嘔吐、おなかがはる感じなどがあらわれます)を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。
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よくみられる副作用
口内炎
あらわれる頻度
口の中の粘膜に炎症が起こることがあります。症状が進むと、痛みで水分や食事がとりにくくなってしまうため、症状に気づいたら早めに担当の医師や看護師、薬剤師に伝えましょう。
こんな症状をともなう場合は要注意
- まれに重度の皮膚症状のひとつとして、ひどい口内炎が起こることがあります。
- ひどい口内炎のほかにも、全身に赤い斑点や水ぶくれが出る、からだがだるい、くちびるのただれ、発熱、まぶたや目の充血などの症状があらわれることがあります。
ワンポイントアドバイスもあわせてご覧ください。
よくみられる副作用
むくみ(浮腫)
あらわれる頻度
手足にむくみが生じることがあります。特に体重の増加を伴う場合は、抗がん剤の治療が原因となっている可能性があります。むくみに気づいたら、担当の医師や看護師、薬剤師に伝えましょう。
こんな症状をともなう場合は要注意
- 頻度は高くありませんが、腎臓の働きが低下することによってむくみが生じる場合があります(腎機能障害)。
- 腎機能障害になると、尿量の減少・増加、体重の減少・増加、わき腹の痛み、下痢、発熱、発疹、関節痛、吐き気、嘔吐などの症状があらわれることがあります。
よくみられる副作用
爪の症状(爪の変色、爪囲炎)
爪の障害:4%
あらわれる頻度
爪が変色したり、薄くなって変形することがあります。また、爪の周りに炎症が起こり、皮膚の腫れや痛みが生じることもあります。
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