乳がんの早期発見のために
乳がんは40代後半~60代後半がピーク
年齢別にみた乳がんの罹患率のピークは、昔は50歳前後でしたが、現在は40代後半~60代後半に変わってきています。
資料:国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター
乳がんのリスク要因
多くの乳がんの発生、増殖には、エストロゲンが重要な働きをしています。そのため、体内のエストロゲンレベルに影響を与えるようなものがリスク要因となります。
そのほかのリスク要因
- 初経年齢が早い
- 閉経年齢が遅い
- 出産歴がない
- 初産年齢が遅い
- 授乳歴がない
- 閉経後の肥満
- 一親等の乳がんの家族歴
- 一部の良性乳腺疾患の既往
飲酒習慣により、乳がんのリスクが高くなる可能性があるとされています。また、閉経後の女性では運動により乳がんのリスクが減少する可能性があるとされています。
breast awareness(ブレスト アウェアネス)*
自分にとって乳房の正常な状態を知っておきましょう。月に1回見て感じ、乳房の変化に気がついたら病院へ行きましょう。
*乳がんの早期発見のために、ふだんから自分の乳房に関心をもつという考え方
乳がんの検診
乳がん検診の方法として、“効果がある”のは、「マンモグラフィ」またはそれと「視触診」の組み合わせです。視触診単独の検診は“効果なし”です。「乳房超音波検査」はまだ“効果不明”で研究中です。
マンモグラフィ
乳房X線撮影のことです。この検査では、医師の触診だけでは発見できないしこりを診断することができます。小さな、とくに石灰化のある乳がんの発見に適しています。
乳がん検診の精密検査
マンモグラフィと視触診の組み合わせによる検査では、約8%が「精密検査が必要」という判定を受けます。この場合、必ず精密検査を受けることが求められます。精密検査が必要とされる人の中で、実際にがんが見つかるのは5%程度です。精密検査の方法は、マンモグラフィ、超音波、MRI、CT、穿刺吸引細胞診や針生検等があります。
乳房超音波検査
超音波により、乳房の病変を検査する方法です。乳房超音波検査は、しこりの良性、悪性の診断など、乳腺外科での精密検査として用いられています。
40歳以上の女性は、2年に1回、乳がん検診を受けましょう。
次回の検診までに気になる症状が出た場合は医療機関を受診してください。
早期がんであれば、乳房の温存も可能です。早期がんは検診でしか見つかりません。
指導:国立研究開発法人国立がん研究センター 社会と健康研究センター検診研究部 部長 中山 富雄 先生