肺がんの早期発見のために
肺がんは年々増加している
年齢別にみた肺がんの罹患率、死亡率はともに40歳代後半から増加し始め、高齢になるほど高くなります。罹患率、死亡率ともに男性の方が女性より高く、女性の3倍から4倍にのぼります。典型的な高齢者の病気です。
![年齢階級別がん罹患率[肺 2014年]](/kenko/files/images/104a24f1460c12a5d55628dc5d61f83e.png)

資料:国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター
肺がんのリスク要因は
肺がんのリスク因子はなんといっても喫煙です。喫煙歴のある40歳以上の人は注意が必要です。また、受動喫煙によって肺がんのリスクが高くなるという科学的根拠は十分あると評価され、受動喫煙がない人に対し、20~30%程度高くなると推計されています。日本では、たばこを吸ったことのない人の肺がんリスクは高く、原因はわかっていません。たばこを吸わない人も肺がんへの注意が必要です。加熱式たばこに変えると肺がんのリスクが下がるかどうかについては、まだわかっていません。

肺がんの一般的な症状
早期の肺がんでは
症状のないことがふつうです。

肺がんの検診
肺がんの生存率は低いといわれていますが、早期発見で手術を受けた患者さんの5年生存率は約70%です。
肺がんの検診方法として国が推奨しているのは「胸部X線検査」を用いた肺がん検診です。
50歳以上で喫煙指数*が600以上の方には「喀痰細胞診」の併用が必要です。
「胸部低線量CT」検診は、重喫煙者には米国で年1回の受診による効果が示されていますが、たばこを吸わない人への効果は不明で、日本でも研究が進行中です。
*喫煙指数:1日の喫煙本数×喫煙年数

肺がん検診の精密検査
胸部X線検査の約3%、喀痰細胞診の約1%が「精密検査が必要」という判定を受けます。この場合、必ず精密検査を受けることが求められます。
精密検査の方法は、CT、気管支鏡等があります。
胸部CT検査
病変が疑われた部位を、CTによって詳しく撮影します。

気管支鏡検査
気管支鏡を口から気管支に挿入して、病変が疑われた部位を直接観察します。必要に応じて細胞を採る検査をすることがあります。採取した細胞が悪性かどうかを診断します。

早期発見が重要

肺がんは死亡する割合が高く、部位別がん死亡率でみると、男性で第1位、女性で第2位です。早期発見と予防が重要です。男女ともに、40歳以上は年に1回、肺がん検診を受けましょう。
また、検診も大事ですが、予防には禁煙が一番です。最近は禁煙外来も増え、保険適用で禁煙プログラムが受けられます。積極的に活用しましょう。
指導:国立研究開発法人国立がん研究センター 社会と健康研究センター検診研究部 部長 中山 富雄 先生