ニュースリリース

2011年12月05日
大鵬薬品工業株式会社

高度医療評価制度下で実施される医師主導の臨床試験への協力について

大鵬薬品工業株式会社(本社:東京、社長:宇佐美通)は、京都大学大学院医学研究科  乳腺外科学 戸井 雅和教授を主任研究者として行われる高度医療評価制度に基づく医師主導型臨床試験である「エストロゲン受容体陽性HER2 陰性乳癌に対するティーエスワン(TS-1)術後療法」(POTENT試験 *1)に対し協力致します。

※1 POTENT: PostOperative Therapy with ENdocrine and TS-1

本試験は、エストロゲン受容体陽性かつ HER2 陰性の原発性乳癌を対象とした無作為化比較第Ⅲ相試験であり、標準的な治療法である術後内分泌療法単独に対し、ティーエスワン®と術後内分泌療法を併用する治療法がより優れていることを検証する目的で実施されるもので、2011年11月23日(水)東京都内において、本試験の臨床試験支援業務を行う財団法人パブリックヘルスリサーチセンター がん臨床研究支援事業(CSPOR *2)主催によるキックオフミーティングが開催されました。

※2 CSPOR: Comprehensive Support Project for Oncology Research

本試験は、主任研究者である戸井 雅和教授より高度医療評価の申請が行われ、2011年1月25日に開催された厚生労働省の高度医療評価会議の承認を経て実施されることとなったものです。
戸井 雅和教授は、次のように述べています。 「この試験の対象であるホルモン受容体陽性かつHER2陰性の乳癌で従来の治療だけでは再発リスクの軽減が不十分と判断される患者さんを対象に、治療成績の向上の為に、別の作用機序を持つ薬剤による新しい治療法の開発が必要であると考えました。」
この高度医療評価会議の承認を受けて大鵬薬品は、本試験が、患者さんにとってよりよい治療を提供できる可能性がある重要な試験であると考え支援致します。

ティーエスワンについて

フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤であるティーエスワンは、吸収後、抗がん剤フルオロウラシル(5-FU)に変換される代謝拮抗物質のテガフール、体内で5-FUの分解を阻害するギメラシル(5-chloro-2,4-dihydroxypyridine,またはCDHP)、消化管で5-FUのリン酸化を阻害するオテラシル(Oxo)3化合物の配合剤です。胃癌の治療薬として開発され、1999年に国内で最初に承認されて以来、胃癌の標準治療薬となっています。日本においては、他に結腸・直腸癌、頭頸部癌、非小細胞肺癌、手術不能又は再発乳癌、膵癌および胆道癌の6つの追加効能を取得しています。ティーエスワンの術後補助化学療法における有効性は、StageII、IIIの治癒切除胃癌を対象としたACTS-GC試験にて、手術後にティーエスワンを1年間服用することで、胃癌の再発を有意に抑制することが証明されています。現在、大腸癌を始めとして、様々な癌腫における術後補助化学療法に於いてティーエスワンの有効性の検討が行われています。

POTENT試験について(臨床試験登録:UMIN000003969)

本試験は主任研究者である京都大学大学院医学研究科 乳腺外科学 戸井 雅和教授より厚生労働省に高度医療の申請が行われ、2011年1月25日の高度医療評価会議にて、高度医療名“エストロゲン受容体陽性HER2陰性乳癌に対するティーエスワン(TS-1)術後療法”として承認された医師主導臨床試験です。エストロゲン受容体陽性 HER2陰性乳癌に対する術後補助療法において、標準的な治療法である内分泌療法(5年間)を対照群とし、この内分泌療法(5年間)とTS-1(1年間)を併用する治療法を試験群として、再発抑制効果が高まることを無作為化比較第Ⅲ相試験により検証することを目的としています。評価項目はInvasive Disease Free Survival(浸潤性疾患のない生存期間)、全生存期間および安全性等であり、目標症例数1,400例(各群700例)、総試験期間8年を予定しています。

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