- 2015年09月28日
- 大鵬薬品工業株式会社
新規抗悪性腫瘍剤「ヨンデリス®点滴静注用」 悪性軟部腫瘍の効能・効果で製造販売承認取得
大鵬薬品工業株式会社(本社:東京、代表取締役社長:小林 将之)は、抗悪性腫瘍剤「ヨンデリス®点滴静注用0.25mg・1mg」(一般名:トラベクテジン 開発コード:ET-743、以下本剤)について、本日、「悪性軟部腫瘍」の効能・効果で、厚生労働省より製造販売承認を取得したことをお知らせします。
本剤は、スペインのファーママー社が創製した抗悪性腫瘍剤です。元々はホヤの一種Ecteinascidia turbinata(エクテインアシジア・トゥルビナータ)から単離された天然物で、現在は合成方法を確立しています。大鵬薬品は、ファーママー社と国内での開発・販売に関するライセンス契約を2009年に締結し、本剤の開発を行ってまいりました。
大鵬薬品は、今回の承認に向け、国内で3つの臨床試験を実施しました。まず、推奨用量の検討を目的に悪性軟部腫瘍患者を対象とした第I相臨床試験(10045020試験)を2010年に開始しました。その後、染色体転座が報告されている組織型*1の悪性軟部腫瘍患者を対象に、本剤投与群と支持療法(BSC:Best Supportive Care)群の無増悪生存期間を比較したランダム化第Ⅱ相比較試験(10045030試験)、および10045030試験のBSC群に割付けられた後、病勢進行が確認され試験を中止した患者を対象に本剤を投与した第Ⅱ相安全性試験(10045040試験)を実施しました。10045030試験の結果、本剤投与群がBSC群に比べ高い有効性を示したこと、副作用が減量、休薬及び対症療法などの適切な処置によりコントロール可能であったことから、臨床的有用性が示されました。なお、本剤は2011年6月に希少疾病用医薬品の指定を受けています。
大鵬薬品は、アンメット・メディカル・ニーズの高い悪性軟部腫瘍に対して、本剤が新たな治療選択肢の一つとして、患者さんの治療に貢献できることを期待しています。
【悪性軟部腫瘍について】
身体の軟部組織(筋肉、結合組織、脂肪、血管リンパ管等)に発症する難治性悪性腫瘍です。日本における年間の罹患率は10万人あたり2-3人程度で、推定患者数約5,000人*2の希少疾病です。
【ヨンデリスについて】
ヨンデリスは、元々はカリブ海産のホヤの一種から単離された天然物 (3つのテトラヒドロイソキノリン環を有するアルカロイド化合物)で、現在は合成方法を確立しています。本剤は、DNAに結合し、細胞分裂、遺伝子転写、DNA修復機構を妨げ効果を示す抗悪性腫瘍剤で、2007年9月に欧州にて「アントラサイクリン系薬剤及びイホスファミドに無効、又はこれらの薬剤の投与に適さない成人の進行悪性軟部腫瘍の治療」を適応として承認されています。世界では、欧州、南米、アジアなど77ヵ国・地域*3で承認されています。
【ファーママー社について】
ファーママー社は、スペインのマドリッドに拠点を置き、海洋産物由来の革新的な抗がん剤の探索と開発を通じ、がん医療の進展に貢献する世界的なバイオ医薬品企業です。新薬候補としての豊富なパイプラインや強固なオンコロジー研究開発プログラムを保有し、ヨーロッパにおいて、ヨンデリスを進行悪性軟部腫瘍、再発プラチナ感受性卵巣がんの治療薬として開発、販売する他、固形がんと血液がんを対象に現在3つの化合物(PM01183、plitidepsin、PM60184)の臨床開発をおこなっています。ドイツ、イタリア、フランス、スイス、米国に子会社を持つグローバル企業です。
※1:悪性軟部腫瘍の一部において、腫瘍特異的な染色体転座とそれに由来する融合遺伝子が存在することがわかっています。染色体転座とは、異なる染色体上に存在する2つの遺伝子が切断され、他の染色体と融合したものです。この染色体転座により新たに発生した融合遺伝子は、腫瘍を発生させる原因となっている可能性が高いとされています。
※2:厚生労働省患者調査(平成23 年)における「中皮及び軟部組織の悪性新生物」の患者数6,000人から、「中皮腫」の患者数1,000人を引いて算出。
※3:2015年7月現在。
承認内容の概要について
製 品 名 | ヨンデリス®点滴静注用0.25mg ・ ヨンデリス®点滴静注用1mg |
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一 般 名 | トラベクテジン |
効能・効果 | 悪性軟部腫瘍 |
用法・用量 | 通常、成人にはトラベクテジンとして1回1. 2mg/m2(体表面積)を24時間かけて点滴 静注し、少なくとも20日間休薬する。これを1サイクルとして、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。 |
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