- 2019年02月26日
- 大鵬薬品工業株式会社
抗悪性腫瘍剤「ロンサーフ®」 米国FDAより切除不能進行・再発胃がんの適応追加承認を取得
大鵬薬品工業株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:小林将之)は、抗悪性腫瘍剤「ロンサーフⓇ配合錠T15・T20」* (以下「本剤」)に関して、米国FDA(食品医薬品局)より「フルオロピリミジンとプラチナ、およびタキサンまたはイリノテカンの一方、また適応となる場合は抗HER2療法を含む、少なくとも2レジメンの治療歴がある成人の転移性胃腺癌および食道胃接合部腺癌」の適応追加承認を取得したことをお知らせいたします。本剤はFDAより、目標審査期間を通常の10カ月から6カ月以内へ短縮する、優先審査品目の指定を2018年10月に受けていました。
本剤はこれまで、進行・再発の結腸・直腸がん治療薬として日米欧を中心に展開してきました。今回の承認を受け、米国における本剤の適応症は、これまでの「フルオロピリミジン療法、オキサリプラチン療法、イリノテカン療法や抗VEGF抗体療法、およびRAS野生型の場合は抗EGFR抗体療法の治療歴があり、遠隔転移を有する結腸・直腸癌」から拡大することになります。切除不能進行・再発胃がんでの適応追加申請は、日本・欧州においても提出を終えており、現在審査中です。
今回の承認は、標準治療に不応または不耐となった切除不能進行・再発胃腺がんおよび食道胃接合部腺がん患者において本剤とプラセボの有効性と安全性を比較した第Ⅲ相臨床試験(TAGS試験)の結果に基づいています。本試験で、本剤は主要評価項目である全生存期間(Overall Survival:OS)の延長を達成しました。また、本試験において安全性にかかわる新たな所見は観察されませんでした。試験結果はESMO-GI 2018 (世界消化器癌学会)およびESMO 2018(欧州臨床腫瘍学会)で口演発表されたとともに、医学誌The Lancet Oncologyに掲載されました1。
大鵬薬品は、今後もがん治療において、患者さんや医療従事者により一層貢献できるよう努めてまいります。
*ロンサーフⓇ配合錠T15・T20
一般名 : トリフルリジン・チピラシル塩酸塩
開発コード : TAS-102
TAGS試験について
TAGS試験(TAS-102 Gastric Study)は、大鵬が主導した無作為割付・二重盲検の国際共同第Ⅲ相臨床試験で、標準治療に不応または不耐となった切除不能進行・再発胃腺がんおよび食道胃接合部腺がん患者において本剤とベストサポーティブケア(BSC)、プラセボとBSCを比較したものです。本試験の主要評価項目はOS、副次評価項目は無増悪生存期間、安全性と忍容性、QOL(Quality of Life)等です。本試験は、切除不能進行・再発胃腺がんおよび食道胃接合部腺がんに対して少なくとも2レジメンの治療歴がある、18歳以上の500名を目標症例数とし、日米欧を含む世界17カ国110施設で507名の登録がありました。
本試験の詳細は、ClinicalTrials.govをご覧ください。
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02500043
胃がんについて
胃がんは世界で5番目に多いがんであり、死亡数は肺がん、肝がんに続きがんの中で3番目に多く、年間約72.3万人が亡くなっていると推定されています2。
米国においては、2018年には2万6,240人が新たに胃がんと診断され、1万800人が胃がんで亡くなったと推定されています3。胃がんと診断される患者さんのうち、診断の時点ですでに切除不能進行・再発胃がんの状態となっている患者さんは約35%と報告されています3。切除不能進行・再発胃がんの患者さんの5年生存率は約5%と言われています3。
米国における切除不能進行・再発胃がんの標準化学療法は、フルオロピリミジン、プラチナ誘導体、タキサン (ラムシルマブとの併用)、イリノテカン等です。現状、1次治療、2次治療を終えた患者さんに対する治療選択肢は限られています。
ロンサーフについて
本剤は、トリフルリジン(FTD)とチピラシル塩酸塩(TPI)を配合することにより薬剤の効果を維持できるよう設計した経口のヌクレオシド系抗悪性腫瘍剤で、従来のフルオロピリミジンとは異なる作用機序を有しています。
FTDはDNAの複製時にチミジンの代わりにDNA鎖に取り込まれ、DNAの機能障害を引き起こして抗腫瘍効果を発揮すると推測されています。TPI はFTDの分解に関与するチミジンホスホリラーゼ(TP)を阻害し、FTDの血中濃度を維持します。
本剤は、日本では「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」の適応症で大鵬薬品が2014年より販売、米国では大鵬薬品の米国子会社である大鵬オンコロジー社が進行・再発の結腸・直腸がん治療薬として2015年より販売しています。
欧州・その他地域(北米・日本/アジアを除く)においては、2015年にセルヴィエ社*とライセンス契約を締結し、同社が本剤の共同開発と商業化を進めています。日本以外のアジアでは、台湾においては、台湾東洋薬品工業株式会社が2018年より販売しています。韓国においては、第一薬品株式会社が本剤の商業化に向けて準備を進めています。
本剤は2019年2月現在、進行・再発の結腸・直腸がん治療薬として世界66カ国・地域で承認されています。
*セルヴィエ社:フランスのシュレーヌに本社を置く研究開発型の非上場製薬会社。
- Shitara, K., Doi, T., Dvorkin, M., et al. Trifluridine/tipiracil versus placebo in patients with heavily pretreated metastatic gastric cancer (TAGS): a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 3 trial. The Lancet Oncology. 2018;19(11): 1437-1438. https://www.thelancet.com/journals/lanonc/article/PIIS1470-2045(18)30739-3/fulltext. Accessed February 2019.
- Ferlay J, Soerjomataram I, Dikshit R, et al. Int J Cancer. 2015;136:E359-86.
- National Cancer Institute Surveillance Epidemiology and End Results Program. Cancer Stat Facts: Stomach Cancer. https://seer.cancer.gov/statfacts/html/stomach.html. Accessed February 2019.
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