- 2019年08月22日
- 大鵬薬品工業株式会社
抗悪性腫瘍剤 「ロンサーフ®」 胃がんの適応追加承認を取得
大鵬薬品工業株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:小林将之)は、抗悪性腫瘍剤「ロンサーフⓇ配合錠T15・T20」 (一般名:トリフルリジン・チピラシル塩酸塩、開発コード:TAS-102、以下「本剤」)について、本日、厚生労働省より「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌」に対する適応追加が承認されたことをお知らせします。
今回の承認は、標準治療に不応または不耐となった切除不能進行・再発胃がん患者において本剤とプラセボを比較した第Ⅲ相臨床試験 (TAGS試験) の結果に基づいています。
本試験において本剤は主要評価項目の全生存期間(Overall Survival:OS)を有意に延長し、安全性にかかわる新たな所見は観察されませんでした。
大鵬薬品は、本剤が胃がん患者さんの治療の選択肢の一つとして、貢献できることを期待しています。
TAGS試験について
TAGS試験(TAS-102 Gastric Study)は、大鵬が主導した無作為割付・二重盲検の国際共同第Ⅲ相臨床試験で、標準治療に不応または不耐となった切除不能進行・再発胃がん患者において本剤とベストサポーティブケア(BSC)、プラセボとBSCを比較した試験です。本試験の主要評価項目はOS、副次評価項目は無増悪生存期間(Progression-Free Survival: PFS)、安全性と忍容性、QOL(Quality of Life)等です。本試験は、切除不能進行・再発胃がんに対して少なくとも2レジメンの治療歴がある、18歳以上の500名を目標症例数とし、日米欧を含む世界17カ国110施設で507名の登録がありました。
ロンサーフについて
本剤は、トリフルリジン(FTD)とチピラシル塩酸塩(TPI)を配合することにより薬剤の効果を維持できるよう設計した経口のヌクレオシド系抗悪性腫瘍剤で、従来のフルオロピリミジンとは異なる作用機序を有しています。FTDはDNAの複製時にチミジンの代わりにDNA鎖に取り込まれ、DNAの機能障害を引き起こして抗腫瘍効果を発揮すると推測されています。TPI はFTDの分解に関与するチミジンホスホリラーゼ(TP)を阻害し、FTDの血中濃度を維持します。
本剤は、日本では「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」の適応症で大鵬薬品が2014年より販売、米国では大鵬薬品の米国子会社である大鵬オンコロジー社が切除不能進行・再発の結腸・直腸がん治療薬として2015年より販売しています。
欧州・その他地域(北米・日本/アジアを除く)においては、2015年にセルヴィエ社*とライセンス契約を締結し、同社が本剤の共同開発と商業化を進めています。日本以外のアジアでは、台湾においては、台湾東洋薬品工業株式会社が2018年より販売しています。韓国においては、第一薬品株式会社が本剤の商業化に向けて準備を進めています。
本剤は、2019年7月現在、進行・再発の結腸・直腸がん治療薬として、世界68カ国・地域で承認されています。また、2019年2月には米国で切除不能進行・再発胃がんの適応が承認されています。ヨーロッパでは、2019年7月に医薬品委員会(Committee for Medicinal Products for Human Use:CHMP)より、切除不能進行・再発胃がんの成人患者に対する単剤療法としての承認勧告を受領いたしました。CHMPの勧告は、その判断の採択のため欧州委員会(European Commission :EC)に提出されます。
*セルヴィエ社:フランスのシュレーヌに本社を置く研究開発型の非上場製薬会社。
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