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2022年06月20日
大鵬薬品工業株式会社

HSP90阻害剤 ジェセリ®錠 40mg(ピミテスピブ)GIST(消化管間質腫瘍)に対する製造販売承認取得のお知らせ

大鵬薬品工業株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:小林将之、以下「大鵬薬品」)は、厚生労働省より経口HSP(Heat Shock Protein)90阻害剤「ジェセリ®錠 40mg」(一般名:ピミテスピブ、開発コード:TAS-116、以下「本剤」)について、「がん化学療法後に増悪した消化管間質腫瘍」の効能・効果で本日、製造販売承認を取得したことをお知らせします。

本剤は、大鵬薬品が創製した化合物で、HSP90を阻害することによりがんの増殖や生存などに関与するKIT、PDGFRA、HER2やEGFRなどのタンパクを不安定化し、減少させることで抗腫瘍効果を示します。

今回の承認は、既治療のGIST患者を対象に、本剤とプラセボの有効性および安全性を比較した第Ⅲ相臨床試験(CHAPTER-GIST-301試験、以下「本試験」)の結果に基づいたものです。本試験において本剤は主要評価項目の無増悪生存期間(Progression-Free Survival:PFS)を有意に延長し、有害事象は管理可能でした。なお、本試験の結果は、Annals of Oncologyに掲載されました*1

大鵬薬品は、アンメット・メディカル・ニーズの高いGISTに対して、本剤が患者さんや医療関係者に貢献できるよう、適正使用の推進に努めてまいります。

CHAPTER-GIST-301試験について

本試験は、標準治療薬に不応または不耐と判断されたGIST患者において本剤とプラセボを比較した無作為割付・二重盲検の第Ⅲ相臨床試験です。主要評価項目はPFS、副次評価項目は全生存期間(Overall Survival:OS)、安全性、QOL(Quality of Life)などです。本試験は、イマチニブ、スニチニブおよびレゴラフェニブの治療歴がある20歳以上のGIST患者を対象とし、日本のGIST専門施設6施設から2018年10月~2020年4月の期間に86名が登録されました。

本試験の詳細は、JAPIC Clinical Trials Informationをご覧ください(JapicCTI-184094)。

https://www.clinicaltrials.jp/cti-user/trial/Search.jsp

CHAPTER-GIST-301試験:A RANDOMIZED, DOUBLE-BLIND, PLACEBO-CONTROLLED, MULTICENTER TRIAL OF TAS-116 IN PATIENTS WITH ADVANCED GASTROINTESTINAL STROMAL TUMOR,CHAPTER; The molecular CHAperone heat shock protein 90 (HSP90) inhibitor, PimiTEspib


GIST(Gastrointestinal Stromal Tumor:消化管間質腫瘍)について

GISTは、消化管(胃や小腸での発生が多く大腸や食道はまれである)の壁にでき、転移、再発を起こす悪性腫瘍の一種(肉腫)で、粘膜から発生する胃がんや大腸がんとは異なる性質を示します*2。日本における年間罹患数は、約1500~2500人と推定され(各国で報告されている年間発現率から算出*3)、希少がんのひとつです。多くのGISTでは、がんの増殖や生存などに関与するKIT、PDGFRA遺伝子に変異を有しています。厚生労働省、米国食品医薬品局(FDA)および欧州医薬品庁(EMA)の3つの規制当局により承認されているGISTの治療薬はすべてKITやPDGFRAなどのチロシンキナーゼを阻害することを主な作用機序としており、これらの承認薬での治療が終了したGISTに対する治療薬の開発は、いまだ高いアンメット・メディカル・ニーズがあります。


HSP(Heat Shock Protein)90について

細胞は生体内でさまざまなストレスにさらされており、特にがん細胞は、低酸素、低栄養、免疫系による排除、遺伝的不安定性といった多くのストレスにさらされています。HSP90はストレスに反応して発現が上昇し、タンパク質の機能的構造の形成促進・維持を通じて細胞をストレスから守ります。

HSP90はがん細胞および腫瘍組織に多く発現しており、活性の高い状態で存在することから、特にがんの生存・維持に重要であることが知られています。さらに、GIST、膀胱がん、急性骨髄性白血病、乳がん、非小細胞肺がん、大腸がんおよび黒色腫におけるHSP90の発現は、がんの進行や患者さんの予後と相関しているといわれています。*4

*1:出典

Kurokawa Y, Honma Y, Sawaki A, Naito Y, Iwagami S, Komatsu Y, et al. Pimitespib in patients with advanced gastrointestinal stromal tumor (CHAPTER-GIST-301): a randomized, double-blind, placebo-controlled phase 3 trial. Ann Oncol. 2022. doi: 10.1016/j.annonc.2022.05.518.

*2:国立がん研究センターがん情報サービス参照

*3:出典

1.Goettsch WG, Bos SD, Breekveldt-Postma N, Casparie M, Herings RM, Hogendoorn PC. Incidence of gastrointestinal stromal tumours is underestimated: Results of a nation-wide study. Eur J Cancer. 2005;41:2868-2872.

2.Tryggvason G, Gíslason HG, Magnússon MK, Jónasson JG. Gastrointestinal stromal tumors in Iceland, 1990-2003: the icelandic GIST study, a population-based incidence and pathologic risk stratification study. Int J Cancer. 2005;117:289-293.

3.Nilsson B, Bümming P, Meis-Kindblom JM, Odén A, Dortok A, Gustavsson B, et al. Gastrointestinal stromal tumors: the incidence, prevalence, clinical course, and prognostication in the preimatinib mesylate era--a population-based study in western Sweden. Cancer. 2005;103:821-829.

4.Chan KH, Chan CW, Chow WH, Kwan WK, Kong CK, Mak KF, et al. Gastrointestinal stromal tumors in a cohort of Chinese patients in Hong Kong. World J Gastroenterol. 2006;12:2223-2228.

*4:出典

1.Li CF, Huang WW, Wu JM, Yu SC, Hu TH, Uen YH, et al. Heat shock protein 90 overexpressionindependently predicts inferior disease-free survival with differential expression of the alpha and beta isoforms in gastrointestinal stromal tumors. Clin Cancer Res. 2008;14:7822-7831.

2.Lebret T, Watson RW, Molinié V, O'Neill A, Gabriel C, Fitzpatrick JM, et al. Heat shock proteinsHSP27, HSP60, HSP70, and HSP90: expression in bladder carcinoma. Cancer. 2003;98:970-977

3.Thomas X, Campos L, Mounier C, Cornillon J, Flandrin P, Le QH, et al. Expression of heat-shock proteins is associated with major adverse prognostic factors in acute myeloid leukemia. Leuk Res.2005;29:1049-1058.

4.Pick E, Kluger Y, Giltnane JM, Moeder C, Camp RL, Rimm DL, et al. High HSP90 expression isassociated with decreased survival in breast cancer. Cancer Res. 2007;67:2932-2937.

5.Gallegos Ruiz MI, Floor K, Roepman P, Rodriguez JA, Meijer GA, Mooi WJ, et al. Integration ofgene dosage and gene expression in non-small cell lung cancer, identification of HSP90 as potential target. PLoS One. 2008;3:e0001722.

6.Milicevic Z, Bogojevic D, Mihailovic M, Petrovic M, Krivokapic Z. Molecular characterization ofhsp90 isoforms in colorectal cancer cells and its association with tumour progression. Int J Oncol.2008;32:1169-1178.

7.McCarthy MM, Pick E, Kluger Y, Gould-Rothberg B, Lazova R, Camp RL, et al. HSP90 as amarker of progression in melanoma. Ann Oncol. 2008;19:590-594.

製品情報

製品名

ジェセリ®錠 40mg

一般名

ピミテスピブ

効能又は効果

がん化学療法後に増悪した消化管間質腫瘍

用法及び用量

通常、成人にはピミテスピブとして1日1回160mgを空腹時に投与する。
5日間連続経口投与したのち2日間休薬し、これを繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。


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