- 2022年10月03日
- 大鵬薬品工業株式会社
FGFR阻害剤フチバチニブ 米国FDAより前治療歴を有する切除不能な局所進行または転移性肝内胆管がんに対する治療薬として承認を取得
大鵬薬品工業株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:小林将之、以下「大鵬薬品」)は、米国子会社のTaiho Oncology, Inc.(所在地:ニュージャージー州プリンストン、社長 兼 CEO: Tim Whitten、以下「大鵬オンコロジー」)が、FGFR阻害剤フチバチニブ(開発コード:TAS-120、米国製品名:LYTGOBI®、剤形:錠剤、以下「本剤」)について、「前治療歴を有するFGFR2融合遺伝子またはその他の再構成を伴う切除不能な局所進行または転移性肝内胆管がん」の適応で米国食品医薬品局(以下「FDA」)より承認を取得したことをお知らせします。
今回の適応は、FOENIX-CCA2試験での全奏効率(ORR)と奏効期間結果に基づく迅速承認※1下で承認されたものです。米国での本適応における承認継続には、確認試験での臨床的有用性の検証と説明が条件となる場合があります。
※1 迅速承認:重篤な疾患に対する治療薬となりアンメット・メディカル・ニーズを満たし得る医薬品のサロゲート(代替)エンドポイントに基づいた早期承認を可能にするためにFDAが制定したプログラム
大鵬オンコロジーの社長 兼CEO、Tim Whittenは「私自身、胆管がんを経験した家族を持つ者として、この病気が患者さんやそのご家族に与える影響を痛感しています。経口投与が可能な本剤の承認は肝内胆管がん患者さんにとって重要なマイルストーンであり、治療効果向上への希望をもたらす新たな治療選択肢になる可能性があります」と述べています。
マサチューセッツ総合病院 がんセンターの腫瘍内科医であり、FOENIX-CCA2試験の治験責任医師であるLipika Goyal医師(MD、MPhil)は「本剤は肝内胆管がんにおけるがんゲノム医療の可能性を示す重要な薬剤であり、まれ、かつ難しいこの疾患に対する治療の新たな前進を示しています。研究者として、また胆管がん患者さんを治療する医師として、治療の選択肢が広がり、進化し続けていることを心強く思います」と述べています。
本剤は大鵬薬品が創製した化合物であり、現在、他がん種に対しても継続して大鵬オンコロジーと共に開発を進めています。大鵬薬品の専務取締役 宇津木照洋は「本剤を待っていただいている患者さんのために、大鵬グループ一丸となり本剤の開発をさらに前に進めてまいります」と述べています。
大鵬グループは今後も革新的新薬の研究開発を通し、世界中の患者さんと医療関係者への貢献を目指します。
胆管がんについて
米国では毎年約8,000人が胆管がん(肝内、肝外含む)と診断されていますⅰ。胆管がんと診断された患者の約20%は、肝内型ですⅱ、ⅲ。この20%のうち約10~16%の患者に腫瘍増殖を促すFGFR2遺伝子再構成(融合遺伝子を含む)が認められますⅳ、ⅴ、ⅵ、ⅶ、ⅷ。
フチバチニブについて
フチバチニブ(開発コード:TAS-120)は、FGFR(線維芽細胞増殖因子受容体) 1、2、3、4を選択的に阻害する経口のチロシンキナーゼ阻害剤です。フチバチニブは選択的にFGFR1-4のATP結合部位に結合しFGFRを介するシグナル伝達経路を阻害することで、FGFR1-4遺伝子異常を持つ腫瘍細胞の増殖を抑制し細胞死を誘導します。化学療法などの前治療歴がある胆管がんを含む、FGFR1-4に遺伝子異常を持つ進行固形がんへの治療薬として、単剤もしくは他の化学療法などとの併用で開発を進めています。
日本においては、「前治療歴を有するFGFR2融合遺伝子を含む遺伝子再構成を伴う局所進行または転移性胆道癌」に対する治療薬として2022年7月に厚生労働省に製造販売承認申請を行っています。
FOENIX-CCA2試験※2について
FOENIX-CCA2試験は、FGFR2遺伝子融合またはその他の再構成を有する切除不能な局所進行または転移性の肝内胆管がん患者103名を対象とした第Ⅱ相試験です。全身療法の治療歴のある患者を対象に、病勢進行または許容できない毒性が認められるまで1日1回フチバチニブ20mgを経口投与しました。本試験の主要評価項目は全奏効率(ORR※3)でした。試験の詳細は、ClinicalTrials.gov(https://clinicaltrials.gov/ct2/home 試験ID:NCT02052778)をご覧ください。
※2 FOENIX-CCA2試験:PHASE 1/2 STUDY OF TAS-120 IN PATIENTS WITH ADVANCED SOLID TUMORS Harboring FGF/FGFR Aberrations; FGFR Oral SElective Novel Inhibitor X [across] tumors
※3 ORR(objective response rate):全奏効率のことで、がん治療薬などの効果があると客観的根拠をもとに判定された患者さんの割合
大鵬薬品について
大鵬薬品は、大塚ホールディングス株式会社の事業会社で「私たちは人びとの健康を高め 満ち足りた笑顔あふれる 社会づくりに貢献します。」を企業理念とし、「がん」、「免疫・アレルギー」、「泌尿器」の3領域に注力する研究開発型スペシャリティファーマです。特にがん領域においては、国内におけるリーディングカンパニーの一つとして知られており、グローバル化も積極的に推進しています。がん領域以外においても生活の質の向上に貢献できる製品を販売しています。また、コンシューマーヘルスケア事業でも生活者志向を第一に愛情豊かな暮らしを支える製品作りに注力しています。大鵬薬品の詳細については、https://www.taiho.co.jpをご参照ください。
大鵬オンコロジーについて
大鵬オンコロジーのミッションは、がん患者さん、そのご家族そして介護者の生活を改善することです。同社は経口抗がん剤の開発に注力し、開発した薬剤をさまざまながん種を対象に米国において販売しています。現在拡大している大鵬オンコロジーの抗がん剤パイプラインは選択的分子標的薬で構成され、世界クラスの臨床開発組織によって導かれています。大鵬オンコロジーは、大塚ホールディングスの一員である大鵬薬品の子会社です。米国ニュージャージー州プリンストンに本社を置き、大鵬グループのヨーロッパ(スイス連邦、ツーク州)とカナダ(オンタリオ州オークビル)における事業運営も担っています。
大鵬オンコロジーの詳細については、https://www.taihooncology.com/us をご参照ください。
ⅰ: American Cancer Society. Key statistics for bile duct cancer. https://www.cancer.org/cancer/bile-duct-cancer/about/key-statistics.html#:~:text=Bile%20duct%20cancer%20(cholangiocarcinoma)%20is,diagnosed%20with%20it%20each%20year. Accessed July 2022.
ⅱ : Valle JW et al. Lancet. 2021;397:428-444.
ⅲ:Banales JM et al. Nat Rev Gastroenterol Hepatol. 2020;17:557-588.
ⅳ:Arai Y, Totoki Y, Hosoda F, et al. Fibroblast growth factor receptor 2 tyrosine kinase fusions define a unique molecular subtype of cholangiocarcinoma. Hepatology. Apr 2014;59(4):1427-34.10.1002/hep.26890.
ⅴ:Javle M, Bekaii-Saab T, Jain A, et al. Biliary cancer: Utility of next-generation sequencing for clinical management. Cancer. Dec 15 2016;122(24):3838-3847.10.1002/cncr.30254.
ⅵ:Sia D, Losic B, Moeini A, et al. Massive parallel sequencing uncovers actionable FGFR2-PPHLN1 fusion and ARAF mutations in intrahepatic cholangiocarcinoma. Nat Commun. Jan 22 2015;6:6087.10.1038/ncomms7087.
ⅶ:Silverman IM, Murugesan K, Lihou CF, et al. Comprehensive genomic profiling in FIGHT-202 reveals the landscape of actionable alterations in advanced cholangiocarcinoma. Journal of Clinical Oncology. 2019;37(15_suppl):4080-4080.10.1200/JCO.2019.37.15_suppl.4080.
ⅷ:Javle MM, Murugesan K, Shroff RT, et al. Profiling of 3,634 cholangiocarcinomas (CCA) to identify genomic alterations (GA), tumor mutational burden (TMB), and genomic loss of heterozygosity (gLOH). Journal of Clinical Oncology. 2019;37(15_suppl):4087-4087.10.1200/JCO.2019.37.15_suppl.4087.
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