- 2022年11月24日
- 大鵬薬品工業株式会社
経口抗がん剤「ティーエスワン®」ホルモン受容体陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術後薬物療法の適応追加承認を取得
POTENT試験(先進医療B/特定臨床研究)の成果を活用
大鵬薬品工業株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:小林将之、以下「大鵬薬品」)は、経口抗がん剤「ティーエスワン®配合カプセルT20・T25」「ティーエスワン®配合顆粒T20・T25」「ティーエスワン®配合OD錠T20・T25」(一般名:テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム、以下「TS-1」)について、新たな適応として「ホルモン受容体陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術後薬物療法」の承認を、本日厚生労働省より取得したことをお知らせします。
今回の承認は、医師主導臨床試験である「エストロゲン受容体陽性HER2陰性乳癌に対するTS-1術後療法」(POTENT*試験)の結果に基づいています。POTENT試験の結果より、TS-1と内分泌療法の併用は、再発中間リスク以上のエストロゲン受容体陽性かつHER2陰性の原発性乳がん患者さんに対し、臨床的に意義のある浸潤性疾患のない生存期間(Invasive Disease Free Survival:iDFS)の延長を認めました。また、安全性はこれまでにTS-1で報告されているプロファイルと同様であり、POTENT試験で新たな懸念は確認されませんでした。
*POTENT : PostOperative Therapy with ENdocrine and TS-1
大鵬薬品は、TS-1が乳がん患者さんの新たな治療選択肢の一つとして、貢献できることを期待しています。
POTENT試験について
本試験は、主任研究者である京都大学大学院医学研究科 乳腺外科学 戸井 雅和教授より厚生労働省に旧高度医療評価の申請が行われ、2011年1月25日の高度医療評価会議にて高度医療名「エストロゲン受容体陽性HER2陰性乳癌に対するTS-1術後療法」として承認され、同年3月25日より先進医療の指定を受け実施された医師主導臨床試験です(特定臨床研究jRCTs051180057、UMIN000003969)。
エストロゲン受容体陽性HER2陰性乳がんに対する術後補助療法において、標準的な治療法である内分泌療法(5年間)を対照群とし、この内分泌療法(5年間)とTS-1(1年間)を併用する治療法を試験群として、再発抑制効果が高まることを無作為化比較第Ⅲ相試験により検証することを目的としていました。主な評価項目は、浸潤性疾患のない生存期間、全生存期間および安全性などで、2012年2月~2016年2月の症例登録期間中に全国の乳がん専門施設139施設から1959例が登録されました1)。
本試験は、試験運営事務局として契約された公益財団法人パブリックヘルスリサーチセンターが大鵬薬品から資金提供を受け、この資金に基づき実施された試験です。
1) Toi M et al., Lancet Oncol 2021; 22: 74–84.
(参考情報) POTENT試験につきましては、こちらからも参照いただけます。
原発性乳がんについて
日本乳癌学会全国乳がん患者登録調査(2017年)2) によると国内で年間94,612名(女性)が罹患しています。このうちエストロゲン受容体陽性かつHER2陰性の割合は75.3%を占めると報告されていますが、早期乳がんでは手術の他に再発リスクを考慮した周術期の薬物療法や手術後の内分泌療法が標準的な治療として実施されています。
2) Hayashi N et al., Breast Cancer 2020; 27:803–809.
ティーエスワン(TS-1)について
フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤であるTS-1は、消化管から吸収後に抗がん剤フルオロウラシル(5-FU)に変換される代謝拮抗物質のテガフール、体内で5-FUの分解を阻害するギメラシル(5-chloro-2,4-dihydroxypyridine、またはCDHP)、消化管で5-FUのリン酸化を阻害するオテラシルカリウム(Oxo)3つの成分を含有する配合剤です。胃がんの治療薬として1999年に国内で最初に承認され、胃がんの標準治療薬の一つとなっています。日本においては、これまで胃癌、結腸・直腸癌、頭頸部癌、非小細胞肺癌、手術不能又は再発乳癌、膵癌および胆道癌の効能を取得しています。
製品概要
(下線部が今回承認された内容です)
製品名 |
ティーエスワン®配合カプセルT20・T25 ティーエスワン®配合顆粒T20・T25 ティーエスワン®配合OD錠T20・T25 |
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効能又は効果 |
胃癌、結腸・直腸癌、頭頸部癌、非小細胞肺癌、手術不能又は再発乳癌、膵癌、胆道癌、ホルモン受容体陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術後薬物療法 |
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用法及び用量 |
〈胃癌、結腸・直腸癌、頭頸部癌、非小細胞肺癌、手術不能又は再発乳癌、膵癌、胆道癌〉 通常、成人には初回投与量(1回量)を体表面積に合せて次の基準量とし、朝食後及び夕食後の1日2回、28日間連日経口投与し、その後14日間休薬する。これを1クールとして投与を繰り返す。
なお、患者の状態により適宜増減する。増減量の段階を40mg、50mg、60mg、75mg/回とする。増量は本剤の投与によると判断される臨床検査値異常(血液検査、肝・腎機能検査)及び消化器症状が発現せず、安全性に問題がなく、増量できると判断される場合に初回基準量から一段階までとし、 75mg/回を限度とする。また、減量は通常、一段階ずつ行い、最低投与量は40mg/回とする。 <ホルモン受容体陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術後薬物療法〉 内分泌療法剤との併用において、通常、成人には次の投与量を朝食後及び夕食後の1日2回、14日間連日経口投与し、その後7日間休薬する。これを1クールとして最長1年間、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜増減する。初回基準量を超える増量は行わないこと。
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