胃癌

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国内第Ⅱ相試験(ラムシルマブとの併用投与):J-0202試験1,2)

  • 1) フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤を含む初回化学療法に不応となった切除不能進行・再発胃癌患者を対象としたABI-007/Ramucirumab併用療法の臨床第Ⅱ相試験, 社内資料
  • 2) Bando, H. et al.: Eur. J. Cancer, 2018, 91, 86-91

本試験の設計者である大鵬薬品工業株式会社は、本試験の実施及び結果解釈に寄与するデータ収集・解析に資金を提供しました。
大鵬薬品工業株式会社と本試験の実施責任医師及び筆頭著者には利益相反があります。利益相反の詳細については出典をご参照ください。

試験概要

フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤を含む初回化学療法に不応となった切除不能進行・再発胃癌患者を対象として、アブラキサン/ラムシルマブ併用投与の有効性、安全性を評価しました。

試験デザイン 多施設共同単群探索的試験

試験デザイン 多施設共同単群探索的試験

評価項目

  • 主要評価項目:全奏効率(ORR)
  • 副次評価項目:無増悪生存期間(PFS)、安全性等

評価基準

  • 奏効率:RECIST v1.1に従う
  • 安全性:CTCAE v4.03-JCOGに従う

解析方法

FASを対象に、画像評価委員会の判定データを用いて抗腫瘍効果(最良総合効果)の頻度集計を行い、ORR及び90%信頼区間を算出しました。また、PFS曲線はKaplan-Meier法を用いて推定することとしました。

症例の内訳

症例の内訳

治療の実施状況

アブラキサン/ラムシルマブ併用投与(n=42)
アブラキサン(n=42) ラムシルマブ(n=42)
投与日数 中央値
[範囲]
14.5日
[1-30]
12.0日
[2-22]
累積投与量 中央値
[範囲]
2046.0mg/body
[163-4878]
5262.0mg/body
[844-11991]
相対用量強度 中央値
[範囲]
61.76%
[28.5-99.8]
87.60%
[33.2-100.0]

患者特性(FAS)

症例数(%)

背景因子 n=42
性別 男性 30(71.4)
女性 12(28.6)
年齢(歳) 中央値[範囲] 66.5[36-81]
ECOG PS 0 30(71.4)
1 12(28.6)
原発部位 37(88.1)
胃食道接合部 5(11.9)
原発巣あり 16(38.1)
腹膜転移 18(42.9)
組織型 Diffuse 22(52.4)
Intestinal 20(47.6)
転移臓器数 <2 16(38.1)
≧2 26(61.9)
前化学療法歴 フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤単剤療法 12(28.6)
2剤併用化学療法 30(71.4)
前化学療法継続期間 <6ヵ月 23(54.8)
≧6ヵ月 19(45.2)
前化学療法中止理由 補助化学療法中の再発 14(33.3)
初回化学療法不応 28(66.7)

全奏効率:主要評価項目

抗腫瘍効果は、42例中、CR:2例、PR:21例、SD:16例でした。全奏効率(ORR)は54.8%[90%信頼区間:41.0ー68.0]でした。なお、病勢コントロール率は92.9%[95%信頼区間:80.5ー98.5]でした。

最良総合効果

合計 CR PR SD PD NE 全奏効率 病勢コントロール率※※
42例 2例
(4.8%)
21例
(50.0%)
16例
(38.1%)
3例
(7.1%)
0例 54.8%
[90%信頼区間:41.0-68.0]
92.9%
[95%信頼区間:80.5-98.5]

RECIST v1.1による評価
 ※CR+PR
※※CR+PR+SD

42例中40例(95.2%)において、アブラキサン/ラムシルマブ併用投与開始前に比べ標的病変の縮小が認められました。

症例ごとの腫瘍縮小効果(Waterfall プロット)

症例ごとの腫瘍縮小効果(Waterfall プロット)

無増悪生存期間:副次評価項目

無増悪生存期間(PFS)中央値は7.6ヵ月[95%信頼区間:5.4ー8.1]でした。

無増悪生存期間(Kaplan-Meier曲線)

無増悪生存期間(Kaplan-Meier曲線)

アブラキサン/ラムシルマブ併用投与(n=42)
PFS中央値(月) 7.6[95%信頼区間:5.4ー8.1]

安全性(副作用)

進行・再発胃癌2次治療例を対象とした国内第Ⅱ相試験(J-0202試験)のアブラキサン/ラムシルマブ併用投与43例における副作用の発現率は100%(43/43例)であり、発現率が10%以上であった副作用は以下の通りでした。

国内第Ⅱ相試験(ラムシルマブとの併用)における副作用発現状況一覧(発現率10%以上)

症例数(%)

副作用*1 全体 Grade 3*2以上
安全性評価対象例数 43
副作用発現 43(100.0) 38(88.4)
血液およびリンパ系障害
貧血 6(14.0) 4(9.3)
白血球減少症 7(16.3) 6(14.0)
胃腸障害
下痢 10(23.3)
悪心 5(11.6) 1(2.3)
口内炎 11(25.6)
一般・全身障害および投与部位の状態
疲労 7(16.3)
浮腫 5(11.6)
臨床検査
好中球数減少 39(90.7) 33(76.7)
白血球数減少 9(20.9) 6(14.0)
代謝および栄養障害
食欲減退 8(18.6) 3(7.0)
筋骨格系および結合組織障害
筋肉痛 5(11.6)
神経系障害
味覚異常 6(14.0)
末梢性感覚ニューロパチー 25(58.1)
呼吸器、胸郭および縦隔障害
鼻出血 20(46.5)
皮膚および皮下組織障害
脱毛症 40(93.0)
斑状丘疹状皮疹 7(16.3)
血管障害
高血圧 18(41.9) 2(4.7)

社内集計

  • *1:MedDRA/J v19.1 *2:CTCAE v4.03-JCOGに基づく評価

重篤な副作用は6例(14.0%)に発現し、食欲減退2例(4.7%)、発熱性好中球減少症、骨髄機能不全、胃出血、上部消化管出血、蛋白尿、肺血栓症各1例(2.3%)でした。
アブラキサンで投与中止に至った有害事象はなく、ラムシルマブで投与中止に至った有害事象は5例(11.6%)で認められ、主な有害事象は蛋白尿2例(4.7%)でした。
副作用による死亡は認められませんでした。

大鵬薬品